フォルクスワーゲンの歴代オープンモデルを紹介!

この記事をまとめると

■ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン

■過去、多くのオープンモデルを販売してきた

■フォルクスワーゲンの歴代オープンモデルを紹介

数多くのオープンモデルを販売してきた

 ゴルフをはじめ多彩な車種を販売し日本でも人気が高いフォルクスワーゲン。近年は他社同様、SUVのラインアップに注力している同社ですが、現在までに数多くのオープンモデルを販売してきました。

 今回はフォルクスワーゲンが販売してきたオープンモデルを紹介していきます。

ビートル(タイプI)カブリオレ(1950年〜)

 クルマ好きなら知らない人はおそらくいないと思われる初代ビートルことフォルクスワーゲン・タイプI。第二次大戦中に開発されたビートルの原型となるKdFを戦後、破壊された工場を再建するとともに再生産を開始。そのままフォルクスワーゲンと呼ばれるようになったのが初代の成り立ちです。

 そのビートルにはオープンモデルのカブリオレが用意されましたが、まず1948年にカロッツェリアの『ヘブミューラービートル』をベースに2シーターのカブリオレを680台生産。しかし、製造元の火災などにより1950年で生産終了となりました。

 その後、オーストリアのカルマン社が4シーターのカブリオレを開発・生産しています。

ニュービートル カブリオレ(2003〜2010年)

 初代ビートルのイメージそのままに、現代風にリファインして登場したニュービートル。1988年に登場した同車は初代ビートルを知っている人はもちろん、知らない人にも、その愛くるしいフォルムで人気を集めました。

 ベースとなったのは4代目ゴルフ。そのためRRレイアウトだった初代ビートルとは異なりFFレイアウトを採用しています。

 そんなニュービートルにカブリオレが追加されたのは2003年。電動ソフトトップを採用した同車はベースとなった4代目ゴルフカブリオレとは異なりロールバーは装備されていません。

 代わりに、危険な状況になったとクルマが判断した場合、0.25秒でリヤシートのヘッドレストが伸びて乗員の生存空間を確保するロールオーバープロテクションシステムを装備。安全性も配慮しています。

ザ・ビートル カブリオレ(2013〜2019年)

 先代モデルとなるニュービートルが可愛さを重視したファンシーフォルムだったことに対して、初代ビートルをモチーフにモダン化し、機能的要素も取り込んだ見た目が特徴のザ・ビートル。

 デザインだけではなく、ゴルフをはじめとする同社のコンパクトカー同様に実用性が高い「ちゃんとした」小型車に仕立てられていました。

 ザ・ビートルには先代同様、オープンモデルのカブリオレをラインアップ。自動展開式ロールバーを備えたことでオープン時の見た目はスッキリ。ソフトトップの開閉時間はオープン時が9.5秒、クローズ時は11秒で完了します。

 搭載されているエンジンは標準ボディ同様、1.2リッター直4ガソリンターボエンジンのみを用意。最高出力105馬力を発揮するこのエンジンにフォルクスワーゲンお得意の7速DSGが組み合わせ、軽快に走ります。

 ザ・ビートルは惜しまれつつ2019年に生産終了。後継モデルの登場もいまのところなさそうです。

カルマンギア(1957〜1969年)

 ワンボックスバンのタイプIIやセダンのタイプIIIなど初代ビートルことタイプIをベースに数多くの車種が開発されましたが、とくにクルマ好きの心に刺さったのはカルマンギアではないでしょうか。

 デザインはイタリアのギア社、生産は初代ビートル・カブリオレを担当したカルマン社が担い、クーペは1955年から販売が開始されています。

 美しいスタイリングを備えたことで大人気となったカルマンギアにオープンモデルのカブリオレが追加されたのは1957年。クーペ同様、ギア社が手掛けたカブリオレはスタイリッシュで、その美しさはいま見ても古さを感じない優れたデザインでした。

 あまり知られていませんが、カルマンギアはフォルクスワーゲン・タイプIIIが登場した1961年に同車をベースとしたカルマンギア1500というクーペを販売。1955年に販売されたカルマンギアと併売されましたが、1500は人気が出ず後から登場したにもかかわらず初代カルマンギアより先に生産を終了しています。

ゴルフのオープンモデルも!

初代ゴルフ カブリオ(1979〜1993年)

 FFレイアウトのコンパクト2ボックス車を世界的に広めたのが1974年にデビューした初代ゴルフ。長年、初代ビートルが用いたRRレイアウトから一転、フロントにエンジンを横置きで搭載することでコンパクトなボディにもかかわらず、広い室内空間を実現するなど高い実用性を誇ったことで世界的に人気もモデルとなりました。

 そんな実用性重視の小型車ゴルフにカブリオが追加されたのが1979年。初代ビートルカブリオレなどを手掛けたカルマン社により生産されたカブリオは、ビートルカブリオレとは異なりロールバーを備えていたのが外観の特徴です。

 ロールバーが配置されたことで不格好だと表する声は少なくありませんでしたが、当時厳しくなりつつあった安全基準を満たすためには必須の装備でした。

 初代ゴルフカブリオは2代目ゴルフにオープンモデルが設定されなかったこともあり、後継モデルとなる3代目ゴルフカブリオが登場するまで生産を継続。ただし、電動ルーフやヒーター付きシートなどオープンモデルに欲しい装備が充実し、1988年には2代目ゴルフっぽい4灯式ヘッドランプを備えるなど改良されていきました。

3代目ゴルフ カブリオ(1993〜1998年)/4代目ゴルフ カブリオ(1998〜2002年)

 2代目ゴルフに用意されなかったカブリオが3代目ゴルフには用意されています。

 1993年に発表された3代目ゴルフのカブリオは初代同様、カルマン社が生産を担当。ロールバーも引き続き採用されていますが、トップが電動化されたことは大きなトピックスといえるでしょう。

 1994年から国内販売を開始した3代目ゴルフカブリオは2リッター直4エンジンを搭載。国内外で高い人気を誇り、フルモデルチェンジで4代目が登場するまで販売が続けられました。

 ゴルフは1997年のフルモデルチェンジで4代目が登場。ヴァリアントやスポーツ仕様のGTI、V6エンジンを搭載するR32が登場するなかカブリオは1999年に日本上陸。

 ただ、新型となったカブリオのボディは3代目ゴルフカブリオのまま。フロントまわりのデザインを4代目ゴルフっぽくリファインした状態で販売されました。

6代目ゴルフ カブリオレ(2011年〜2014年)

 イオスにその座を譲ったゴルフカブリオレが約10年ぶりに復活。ゴルフファンをはじめ、オープンモデルが用意されたことは大きな話題となっています。

 復活したゴルフカブリオレは電動メタルトップが多くのオープンカーで採用されるなか、歴代モデル同様にソフトトップを採用。9.5秒でトップが開き、11秒で開閉する電動式のトップは時速30km/hまでであれば、走行中でも開閉が可能でした。

 ハッチバック車と比べて、アンダーボディやサイドシルの補強がなされボディ強度を向上。快適性を高めるためウインドディフレクターを装備し、安全性を重視するため自動ロールバーを採用。シートにはオープン時でも快適に乗車できるよう、日差しを反射し温度の上昇を防止するクールレザーが用いられていました。

 残念ながら7代目、および現行モデルとなる8代目ゴルフにはカブリオレが設定されていません。ドイツ本国でのオープンカー離れが進んだことが原因のようですが、復活することを願ってやまないカブリオレファンは少なくないはずです。

イオス(2006〜2010年)

 ゴルフカブリオレの後継モデル(発展モデル?)として2006年にデビューした4シーター・オープンモデルのイオス。5代目ゴルフをベースに開発されました。

 ゴルフカブリオレとの大きな違いは電動リトラクタブル・ハードトップを採用したこと。世界初となる5分割可能のハードトップはオープン時に約25秒でトランク内に収まることで、スタイリッシュなフォルムを実現しています。

 国内仕様のパワーユニットは2リッター直4ガソリンターボエンジンを搭載。日本市場では2010年に販売を終了したものの、本国などでは同年にフェイスリフトが行われ販売が続けられました。

まとめ

 これまで紹介してきたように、数多くのオープンモデルを発売してきたフォルクスワーゲン。残念ながら現在、国内で販売しているオープンモデルはありません。

 一時期、販売されていたクルマの3割がオープンモデルだったドイツ。現在はSUVなどに押されていることで新たなモデルを登場させにくくなってしまったようですが、フォルクスワーゲンの新たなオープンモデルを見たいのは筆者だけでなないでしょう。