信号はもちろん曲がり方でも変わる! そこかしこで発生する「右直事故」の過失割合とは

この記事をまとめると

■右直事故が問題視されて久しい

■右直事故とは交差点で右折車と直進車が衝突すること

■今回は右直事故の過失割合について解説

発生件数の多い右直事故

 右直事故とは、交差点で右折車と直進車が衝突する事故をさす。右直事故は、件数が多いという。

 ではその過失の割合はどうか。

 基本的には右折したほうが8割、直進が2割とされている。ただし、信号機のある交差点内での事故の場合、右折車と直進車の信号がどうであったかによって、過失割合にも違いが生じる。

 たとえば、右折車が青矢印の信号で曲がったにもかかわらず、赤信号を無視した直進車と衝突した際には、直進車が100%の過失割合になる。また、右折車も直進車も黄色の信号で交差点内に入って衝突した場合は、右折車が6割、直進車が4割といった具合だ。

 右直事故でも信号機のない交差点で、直進車と交差する横の道から入ってきた右折車との衝突では、右折車が6割で直進車が4割になる。

 優先道路や道幅の広い道路での右直事故は、優先道路を走るクルマの過失割合が低くなるが、その比率はやはり現場の状況によって幅がある。直進車と右折車が同じ方向へ向かう場合は、過失割合の差が少なくなる。

 右折と左折のクルマの衝突では、左折車が優先なので、過失割合は左折が3割、右折車が7割だ。右折同士の衝突でも左方車優先の原則があるので、左側からの右折車が4割、右側からの右折車が6割になる。

 クルマとバイクでの右直事故では、ともに青信号での場合、右折するクルマが85%、直進のバイクは15%となる。逆にバイクが右折の場合は、バイクが7割、クルマが3割になる。

 そのほかにも、個別の状況によって過失割合は変化する。

状況によって過失割合は変わる

 そのうえで、右折の仕方によっても過失割合が加算される場合がある。たとえば交差点の中心近くを右折するのではなく、中心から離れた手前で右折した場合や、右折する前にあらかじめセンターライン近くへ寄せずに右折した場合などは、右折車の過失割合が加算される。ウィンカーを出さずに右折して衝突した際も、右折車への加算がある。

 いずれにしても、まずは信号や左方車優先の原則を守ることが大切で、そのうえで、右折の際には対向車はもとより、横道から出てくるクルマ、あるいは横断する歩行者など含め、周囲の様子を十分に確認しながら曲がっていくことが重要だ。急ぐ気持ちはあっても、もしそこで事故を起こせば、余計な時間を費やすことになってしまう。それを思えば、一呼吸整え安全を確認してから右折することが何よりだ。

 一方で、以前に比べ直進車を確認しにくくなっていえるのも事実だろう。たとえば3ナンバー車が増えたことで、車線の幅いっぱいの大柄なクルマが直進してくると、後続車の有無を確認しにくくなる。ミニバンやSUV(スポーツ多目的車)といった背の高いクルマが増えたことも、後続車の有無を認識しにくくしている。

 ほかに、米国では右折車(右側通行の米国では左折車)を先に進め、そのあと直進の信号を青にすることで、より安全に右折させ、また、直進車の流れも、右折待ちのクルマで停滞させない信号機の運用がなされている。そうしたクルマを安全に流し、交差点内の安全を確保する信号機の運用が日本でも実行されていいのではないか。