【試乗】電動化でも日和ってない! トナーレのPHEVモデルに乗ったらやっぱり「アルファロメオ」で安心した

この記事をまとめると

■アルファロメオ・トナーレにPHEVとなる「Plug-in Hybryd Q4 Veloce」が追加された

■リヤがモーター駆動する4WDシステムを採用

■PHEVでもアルファロメオらしい走りは健在

PHEVの追加で電動化を急速に進めるアルファロメオ

 昨年マイルドハイブリッドを搭載したFFモデルが日本導入となったコンパクトSUVのトナーレ。アルファロメオにとっては電動化へ舵を切った第一弾となるのがこのクルマだったが、このたび、さらなる電動化へと突き進むことになる。それがPlug-in Hybryd Q4 Veloceだ。

 Q4の文字が加わることからも理解できるように4WDとなる。フロントは直列4気筒1.3リッターマルチエアーガソリンエンジンに33kWのモーターをプラス。リヤは90kWのモーターのみで駆動している。

 1.3リッターと聞くと小さく感じるかもしれないが、じつはシステムをフルに使うと280馬力にも達している。床下には15.5kWhのバッテリーを搭載。これにより航続可能距離72kmを誇る。

 ちなみに前後重量配分は53:47。プラグインハイブリッドになろうとも、楽しく速く走らせてやろうという狙いがある。

 エクステリアは6月にマイナーチェンジを行ったジュリアやステルビオと同じく3眼のヘッドライトが特徴的。イタリアンデザインのDNAここにあり! といった感じだろうか。

 グラマラスなボディラインを描いているため、写真だと大きく見えるだろうが、ステルビオよりは小さく、全長×全幅×全高は4530×1835×1615mmとなっている。

PHEVになってもアルファロメオは「走り」を諦めない

 実際に走らせてみると、このサイズは都心のパーキングでもちょうど良い大きさ。あまり気を使うことなく扱える。プラグインハイブリッドの良さを味わうため、まずは「Advance Efficiency」モードでモーター走行だけで動き出してみた。

 当然ながら静かにスムースにスルスルと動き出したそのモードは、街乗りだけでなく首都高速でも走行可能。トルクも必要十分なくらい。アクセルを床までベタっと踏み込めば、モーター走行が解除されるようにセットされているから、合流時などの加速に不満は出ない。

 後に「Natural」モードを選択すれば、今度はなかなかのバランス。ハイブリッド状態で走るこのモードは、豊かなトルクで余裕の高速巡行を約束してくれる。その際、電子制御ダンパーはマイルドな設定となるが、1.8トンオーバーの重さと相まってしなやかな乗り味を実現。コンパクトSUVとは思えぬゆったりとした感覚がうれしい。

 興味深かったのは、モーターもエンジンも足まわりも臨戦態勢になる「Dynamic」モードだ。すべてが一気に引き締められた感覚になるそれは、ステアリングのひときりから応答性がすこぶる高まるから面白い。

 クルマが小さく感じるその動きは、コンパクトSUVになろうが、PHEVになろうが、走りを大切にしているアルファロメオらしさがよく伝わってくる。首都高速のワインディング区間がかなり気持ち良く感じられる。それでいて継ぎ目などでガツンと来ないところもなかなかのバランス。これもまたPHEVならではの重さが良い方向に作用しているのだろう。

 アルファロメオはエンブレムに人を喰う大蛇(諸説あり)「ビショーネ」をあしらっているが、今回のトナーレには後席ガラスに描かれたそれは人ではなく電気を喰らっていた。ひょっとして改心した? なんて思えたが、じつは本当の中身は何ら変わらないのだなという印象がある。

 PHEVになろうとも走りを諦めないその姿勢を見ていると、これからの電動化も心配じゃない。まだまだ元気良くキビキビと走ってくれるアルファロメオの世界観は不変だ。