FIA世界耐久選手権には女性ドライバーも多数参戦! 女子レーサーと自動車部所属の女子学生が女性だけの交流会に参加した

この記事をまとめると

■FIA世界耐久選手権 富士6時間耐久レースには女性レーサーも参戦

■「JAFウィメン・イン・モータースポーツ」主催のピットツアーを開催

■女子自動車部員と日本の女性レーサーが、参戦するドライバーと交流した

WEC世界耐久選手権には女性ドライバーも参戦中

 WEC世界耐久選手権のLM GTE Amクラスには、女性トリオで参戦しているチームがある。それがカーナンバー85をつけるアイアン・デイムズだ。同チームは2019年にイタリアのレーシングチームであるアイアン・リンクスが、女性の活躍のために結成。2020年から本格的に活動を開始して、昨年からは女性ドライバーだけでフル参戦している。マシンはポルシェ911 RSR-19で、ドライバーを務めるのはベルギー出身のサラ・ボヴィ、デンマーク出身のミシェル・ガッティン、そしてスイス出身のラヘル・フライの3名だ。第2戦のポルティマオではクラス3位入賞を果たし、現在チームランキングも3位につけている。

 また、LMP2クラスに参戦するプレマ・レーシングは、日本のSUPER GTにも参戦していたアンドレア・カルダッレリとF1で表彰台を獲得した経験もあるダニール・クビアトに加え、19歳の女性ドライバーであるドリアーヌ・パンを起用。フランス出身の彼女もまた、昨年までアイアン・デイムズの一員として、スパ24時間レースやWEC LM GTE AMクラスにスポット参戦。そのほか、フェラーリ・チャレンジでも腕を磨き、昨シーズン末に行われたWECルーキテストではLMP2カーを初めてドライブした。

 その際の走りが評価され、今シーズンはプレマ・レーシングのレギュラーシートを獲得。開幕戦のセブリングでは、いきなりクラス2位に入る活躍ぶりだ。

トッププロに聞く「女性レーサーに必要なこと」とは?

 女性のモータースポーツ参加促進を目的に、2014年に設立したグループの「JAFウィメン・イン・モータースポーツ」は、今回WECが行われている富士スピードウェイでサラ・ボヴィ、ミシェル・ガッティン、ラヘル・フライ、ドリアーヌ・パンの上記4名と、日本国内の女性ドライバーと大学の自動車部女子部員ら7名らと交流を図るために、「Meet and Greet」を開催した。

 アイアン・デイムズのピットツアーでは、ドライバー自らが説明を実施。普段はなかなか見ることができない世界選手権のピットの様子に、国内の女性ドライバーたちは終始大興奮。自分たちのスマートフォンで、写真や動画の撮影をしていたのが印象的だった。

 ピットツアーを終えた後は会議室に移動。国内の女性ドライバーたちは、世界を知る4人のドライバーからアドバイスをもらった。交流会参加メンバーのひとりである猪爪杏奈は、TCRジャパンシリーズで現在ランキング首位につけており、シリーズチャンピオンを目指している最中。さらに、今大会のサポートレースとして開催された「フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ」にもエントリーしている。

 そんな彼女からは、「女性のライフステージとレーシングドライバーとしてのキャリアを両立しながら、活躍するには何が必要か?」と質問。

 この質問に対してラヘル・フライは、「結婚して子どもを出産すれば、育児に時間を費やすことになります。いま、私はレーシングドライバーとして活躍したい。そんな思いがあるので、子どもはいません。でも、女性レーシングドライバーでは20代で出産をして再びドライバーとして戻ったケースもありますし、逆にドライバーを引退してから出産した方たちもいます。一番大事なことは、いまの夢や目標はなにか。その部分を明確にすることが必要です」とアドバイスした。

 現在、WEC世界耐久選手権に参戦する日本人女性ドライバーはいない。だが、交流会に参加した国内の女性ドライバーたちにとって、世界を知る4人の女性ドライバーとの交流は、今後ステップを果たしていくうえで、いい刺激になったことだろう。

 さらなる高みを目指して数年後、WECのエントリーリストに日本人女性ドライバーの名前が掲載されていることに期待したい。