交換は高いから修理で! でも「パンク修理」したタイヤってなんか不安だけど普通に使って問題ないのか?

この記事をまとめると

■パンクしたタイヤには3種類の修理方法がある

■あまり負荷をかけるような運転でなければパンク修理したタイヤでも十分に走れる

■最近普及してきたパンク修理剤で修理したタイヤは長期間使うことは難しい

タイヤのパンク修理ってどうやってるの?

 長年クルマに乗っていると、一度や二度はパンクに遭った経験はあるでしょう。そんなときはどうやって対処(修理)しているでしょうか? 完全に空気が抜けてしまったら走行はほぼできないので、路肩に寄せてスペアタイヤに換えたうえで、タイヤ専門店やガソリンスタンド、またはカー用品店やディーラーに行って修理を依頼するのがほとんどだと思います。

 きちんと修理が行われればそのまま普通に走行して帰れますが、なかには一抹の不安が芽生えて気になってしまうという人もいるでしょう。「このままずっといままで通りに使い続けられるのか?」と。

 ここではタイヤの構造とその修理方法を知り、パンク修理をしたタイヤとパンクしていないタイヤでどう違うのかを考えてみましょう。

■タイヤの構造を簡単におさらい

 クルマのタイヤが黒いゴムでできているのはご存じのとおりですが、ゴムはたわんだり膨れたりする性質があるので、それをタイヤの形に留めるために、内部に金属や高強度繊維のワイヤーで骨格が備わっています。

 タイヤは空気を入れて膨らませて、その圧力で車重や走行時の荷重を支えているのですが、風船みたいに膨らまないのは、その骨格が押し留めているためです。

 速いスピードで走っているときはタイヤも高速で回転していますが、このときタイヤのゴムや骨格自体には大きな遠心力が掛かっていて、タイヤを外に広げようとする力として働きます。その力に対しても、ワイヤーの骨格が押しとどめてくれているのです。

 一般的なクルマのタイヤには「ラジアル」と「バイアス」との2種類がありますが、「ラジアル」のほうが遠心力に耐えられる構造を持っているので、いまの乗用車のほとんどはラジアル構造のタイヤを装着しています。

■パンク修理の方法とその特徴

 少しクルマいじりができる人であれば、市販のパンク修理キットを購入して自力でパンク修理が可能なので、どういう方法でパンクが修理できるかを把握している人も少なくないと思いますが、そういう人は少数派だと思いますので、パンクをどうやって修復しているのかを知らないというケースがほとんどではないでしょうか。

 パンクの修理方法をカンタンに説明すると、釘などの鋭い破片を踏んで開いた穴に、専用のゴムのピース(プラグ)をネジ込んで、ゴム用の接着剤で結合させて固めて塞ぐというものです。

 もっと具体的に説明すると、まず刺さった破片を取り除き、その穴をプラグが刺し込めるように専用のリーマーで広げるとともに、穴の状態を均らして整えます。その穴とプラグの両方にゴムの接着剤を塗布して少し馴染ませたら、穴にプラグをネジ込みます。接着剤が固まる頃合い(約10分ほど)を見てタイヤ面からはみ出たプラグの尻をカットして完了です。

 ちなみにこのゴム用の接着剤は、ゴムを溶かして接合する種類のものなので、手順と分量をしっかり守って作業すれば、かなり強力にくっつきます。

 プラグの形状は修理キットのメーカーによって異なり、作業性や耐久性などに違いがあるようですが、ほとんどは穴にプラグを差し込む方式のため、細長い裂傷には向きません。

 あと、厚みのあるタイヤの接地面(トレッド面)には施工できますが、ゴムが薄いサイドウォール部には接着しろが少ないため施工できません。

使い続けても問題ないが、多少の注意が必要

■パンク修理したタイヤの耐久性や安心度は大丈夫?

 結論としては「普通に走る分には問題ありません」という見解がほとんどのようなので、長時間かっ飛ばしたり、スキール音が出るほどタイヤを酷使するような走り方をしなければ、ほぼ大丈夫と思って良さそうです。

 高速の走行に関しても、刺さった破片がワイヤーの骨格を痛めていなければ強度が落ちることはないと思いますが、実際にダメージを負っているかどうかを確認する方法はないので、修理したタイヤで高速を走行する際には慎重に運転したほうがいいと思います。

 それでも心配が残るということであれば、前輪より後輪に装着することで、万が一バーストしてしまった際にも、ハンドル操作が不能になる確率を下げることが出来ます。

 一方で、タイヤを激しくたわませるような運転をした場合は、修理箇所に大きな力が掛かって接着部が剥がれる可能性が高くなりますし、タイヤ表面の温度も高くなるために接着箇所の劣化を促進させる原因にもなるので、激しい運転はできるだけ避けたほうがいいでしょう。

 そうして接着部が劣化することで、なかの高圧の空気が留められなくなって、わずかな隙間から空気漏れが起こってしまったというケースを何件か聞いたことがあります。いわゆるこれは「スローパンク」という状態で、数時間から数週間かけてゆっくり空気が抜けていくので気付きにくく、「なんかハンドルが重いな……」という症状が出て初めて気付くというケースも少なくありません。

 そうして一度修理をおこなった箇所から空気漏れが起きてしまった場合は、再度その箇所を修復するというのは難しいようです。一時的に漏れが塞がっても、少し経ったら再発してしまう可能性が高いでしょう。

 このエア漏れをできるだけ起きないようにする方法もあります。それが「内面修理(裏貼り)」と呼ばれる方法です。穴にプラグをネジ込んで塞ぐ方法(外面修理)に加えて、その名前のとおりにタイヤの内側の面にパッチを当てて完全に穴を塞げるので、エア漏れの心配はほとんどなくなります。

 この方法がパンク修理としてはベストと言えますが、デメリットがふたつあります。ひとつはタイヤをホイールから外さないと施工できないこと。施工がおこなえるショップが限られるので、施工可能なところを探す必要があります。もうひとつはタイヤを外す工程が必要なため、費用が高くなることです。外面修理が1500円〜という価格に対して内面修理は3000円〜と倍くらいの価格になりますので、「そろそろ交換時期かな?」というタイヤに対しては考えてしまう価格。しかし、まだ履き替えたばかりで長く使いたいというときには、こちらの内面修理が有効になるでしょう。

■パンク修理剤を使ったときの寿命は?

 パンクの修理の方法には、上記のゴムのプラグを接着して接合するパンク修理キットを使うほかに、エアバルブから「シーラント」という充填剤を注入してパンクの穴を塞ぐ方法もあります。近頃はスペアタイヤを無くしてこの修理キットを積むクルマも増えているようですが、この方法で修理した場合の耐久性はどうでしょう?

 このシーラント方式を使った場合は、出来るだけ早くタイヤ交換することをオススメします。シーラントとはゴム成分や接着剤が混合された特殊な液で、タイヤの内側全体に広がってコーティングすることで、釘などによる小さな穴を塞いでくれます。しかし粘度の高い液体で薄くコーティングされているだけなので、穴を塞ぐ効果はプラグ接着式に比べると劣るようです。

 そしてその特殊ゴムの成分が補修箇所に染みこんでいるので、あとでプラグ接着補修をし直すことも出来ませんし、タイヤの内側とホイールにべったりコーティングが付着しているので、タイヤを交換する際にそれを除去するのもかなりの手間になります。

 そのため、後々のことを考えると、どうしてもやむを得ない場合を除いては修理剤の使用はできるだけ避けたほうがいいと思います。

 最後に、これはあくまでも自分の経験上の話ですが、以前に乗っていたR32GT-Rで10年に2回ほどパンクに遭い、どちらもパンク修理キットを使って接着補修しました。そのタイヤで高速道路で長距離をハイペースで走り続けたり、サーキットでスポーツ走行したりしましたが、所有していた期間にはタイヤの不具合は発生しませんでした。その経験から、修理したタイヤでも普通に使って問題ないというのが個人的な見解です。