死亡率の高い歩行者と自転車を守る対策! 全国で約800カ所もある「あんしん歩行エリア」って何?

この記事をまとめると

■警視庁と国土交通省が平成15年から各都道府県に制定している「あんしん歩行エリア」

■場所が指定される基準やどんな対策が講じられているのかを解説

■行政だけでなく地域住民も交通安全対策への協力でより実効性のある対策を講じている

歩行者と自転車の事故による死者数は先進国のなかでも高い!

 日本では年々、交通事故によって命を落とす人が減少していますが、依然として割合が高いのが歩行者と自転車利用者の交通事故死者数です。警察庁による令和4年度の交通事故死者数のデータでも、歩行中と自転車乗車中の割合が49.6%と、約半分となることがわかります。また、30日以内死者数で見ても、歩行中と自転車乗車中を合わせて51.8%にものぼり、これは先進国のなかでもっとも高い割合となっています。

 そこで、警察庁と国土交通省によって平成15年度以降、歩行者および自転車利用者の安全な通行を確保するために、緊急に対策が必要な場所については「あんしん歩行エリア」に指定し、都道府県公安委員会と道路管理者が連携して死傷事故抑制対策を講じることとしています。

 指定箇所は全国で796カ所あり、都道府県別でもっとも多いのが大阪府の53カ所。次いで神奈川県の50カ所、兵庫県の40カ所となっています。

 では、その「あんしん歩行エリア」ではいったいどんな対策がとられているのでしょうか。

 まずは歩行者・自転車が安全に通行できるような、歩行空間の整備があります。路側帯を広げたり、歩道や自転車道、歩車共存道路を整備したり。段差や勾配を解消したり、電線類を地中化するといった整備が行われるところもあります。そして、歩行者・自転車を優先するゾーンの形成として、最高速度規制やハンプの設置、歩行者自転車用道路の規制が適宜行われています。

 また、事故や違反車両が多い場所では、交差点そのものの改良も対策のひとつ。右折車線の設置や変形交差点の改良、駐車スペースの確保や違法駐車の取り締まりといったことが挙げられます。

 さらに、交通量等の情報を活用した信号機の制御や、LED式信号灯器、バリアフリー対応型信号機、高輝度・自発光式道路標識等の設置を行なって、交通の流れを適切にしたり、より確認しやすい信号機・標識にすることも「あんしん歩行エリア」の整備です。

標識の接地にクルマの速度を落とすような施策も

 具体的には、たとえば東京都では目黒区の学芸大学周辺があんしん歩行エリアとしての整備を行なっており、どのような整備が必要かを見極めるためにまず、交通量調査の実施、ヒヤリハット地図作成が行われています。

 ヒヤリハット地図というのは、地域住民が通勤・通学・買物・散策など普段の生活のなかで、クルマやバイク、 自転車に対して「ヒヤリ」としたり「ハッ」とするなど、交通上の危険を感じたポイントを示した地図のこと。これらの結果をもとに、地域懇談会などで交通安全対策について検討し、行政との協議を行いながら対策の必要性を確認し、エリア対策、路線対策、交差点対策の3点に着目した整備が行われています。

 エリア対策では、「あんしん歩行エリア」外周部の交差点にエリアであることを知らせる標識を設置し、まず幹線道路からの流入を抑制。さらに、学校周辺の通学路などではスクールゾーンの路面表示も明確化。

 そして、路線対策では、歩行空間をカラー舗装化することでクルマへの注意喚起をしたり、減速路面表示などでクルマの速度抑制を図っています。

 また、歩行者が集中する商店街と主要な自動車道線が交差する危険な交差点では、イメージ狭さく、止まれ強調路面標示、自転車止まれ路面標示などの対策を実施。クルマの流入抑制と速度抑制、出会い頭の事故防止策をはかっています。

 こうした整備はその場所ごとに必要な対策が検討され、実施されていますが、小型モビリティの普及などで状況は日々変化していくと思います。皆さんが日頃通行しているエリアでもし「危険だな」と感じていることがあれば、地域の窓口などへ声を上げることで、改善につながるかもしれませんね。