ベンチレーテッドは2枚のディスクを合わせて放熱性を高めたブレーキ

 ベンチレーテッドディスクと一般的なディスク=ソリッドディスクの違いは、ずばり形状。ベンチレーテッドディスクは、二枚のディスクの間に、フィンが挟まれていて、この間を空気が抜けることで、放熱性を高めている。

 もともとディスクブレーキは、回転するディスクにブレーキパッドを押し付け、クルマのスピード=運動エネルギーをその摩擦によって、熱エネルギーに変換するシステム。ブレーキをかければローターは熱くなるが、ローターが回転している間に外気に触れることで放熱し、再び熱を受け止め処理できるようになる。

 この加熱と放熱のバランスにおいて、ローターの放熱が勝っている間は、きちんと減速させることができるが、ハードなブレーキを繰り返し、過熱に放熱が追い付かなくなると、フェード現象と言ってブレーキを踏んでも減速しなくなってしまう。

 熱を蓄えられる容量=熱容量を増やすには、ローター径を大きくし、表面積を増やすか、より空気を当たりやすくするのが一番有効。こうした発想から生まれたのが、「通風。換気。風通し」という意味の「ベンチレーション」から名付けられた、ベンチレーテッドディスクというシステム。

 運動エネルギーは「質量×速度の二乗」なので、車体が重いクルマ、動力性能の高いクルマほど、熱量量が大きいブレーキが必要になるので、速くて車重の重いクルマのフロントブレーキは、ベンチレーテッドディスクが標準的。ハイパフォーマンスカーになると、リヤブレーキにもベンチレーテッドディスクを装着している場合もある。

 とくに、ブレーキ性能を重視しているポルシェなどは、「360馬力のエンジンに対して1450馬力のブレーキ(※)」を用意するという考え方で、そのストッピングパワーには定評がある。
(※制動距離と時間から減速Gを算出し、4つのローターの熱容量の合計をカロリー計算して、馬力に換算)

 このベンチレーテッドディスクのフィンの形状も、一種類ではなく、直線的なフィンを24〜48本入れるストレートタイプがもっとも多い。その他、渦巻き状になっているカーブヴェーンや、ブレンボのように二枚のディスクの間に、フィンではなく、無数の柱で結ぶ、ピラータイプというのもある。

 なお、ベンチレーテッドディスクでも、ローターの外周ほど冷えやすく、中心側は熱が抜けにくいので、ブレーキ用に冷却ダクトを引く際は、ローター表面に風を当てるのではなく、ベンチレーテッドディスクの中心側のフィンに風を当てるようにして、空気がフィンの中心から外側に抜けるようにレイアウトするとより効果的。

 熱容量とディスクの大きさと重さは比例するので、これからの高性能ブレーキは、ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ(PCCB)のように、軽量でなおかつ熱容量の大きい(鋳鉄ローターよりも50%も軽い)ブレーキが求められていくのだろうが、コストという大きな課題も残っている……。
(PCCBのオプション価格は、ブレーキシステムだけで約150万円!)