片方にだけマニアグレードが存在することも

 兄弟車と言えば、同じコンポーネンツを使って仕様違いを作り上げるもので、OEM供給などもここに入るだろう。エンブレムのみ交換したものから、外板パネルを大きく作り替えたものまで、仕上がりはさまざまだが、今回はそのなかから独断と偏見でピックアップしたものをご紹介したい。

1)日産・シルビア/日産・180SX

 1988年に登場した5代目シルビアと、その兄弟車として翌1989年に登場した180SXは共に名車と言って過言ではないだろう。新車時はデートカーとしてもスマッシュヒットを記録したシルビアは、中古車となってからは手ごろなサイズのFR車として、ドリフト競技のベース車としても人気を博している。

 また、兄弟車の180SXは元々輸出仕様であった240SXがベースとなっており、ハッチバックボディにリトラクタブルヘッドライトと一見すると兄弟車とは思えないほど外観に差別化がなされていた。

 なお、シルビアは1993年に6代目へとフルモデルチェンジを果たしたが、180SXはマイナーチェンジのみで販売が継続され、シルビアが7代目になった98年まで販売が続けられていた。

 ちなみに車名の数字は排気量を表しており、輸出仕様は2400ccが、180SXもデビュー当初は1800ccエンジンが搭載されていた。しかし、91年にシルビアと共に2リッターエンジンへ換装されたものの、名前は変わらずであった。

2)トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(初代)

「プチトヨタ」のCMでおなじみだった初代パッソ。ダイハツからのOEM車だと思われがちだが、あくまで共同開発車であり、それぞれの工場で個別に生産されていたほか、車両型式もそれぞれ個別のものが付けられている。余談だが、2WDの1リッター車は型式が「KCG10」となり、ハコスカ2000GTと同じとなる。もっとも排ガス記号は異なるのだが。

 そんなパッソにはブーンにないグレードが存在する。それが、「TRD Sports M」だ。通常のパッソには用意されない5速MTのギヤボックスが搭載され、吸排気系と足まわりにライトチューンを施したモデルだ。強烈なパワーこそないが、小排気量NAエンジンを使い切って走る楽しさがあるモデルとなっていた。

 一方のブーンにも特殊なグレードが用意されていた。それは「X4」である。こちらはパッソのTRDとは異なり、カリカリの競技ベースモデル。搭載されるエンジンは936ccのターボエンジンで、中途半端な排気量はモータースポーツに参戦するときにターボ係数の1.7をかけても1600cc以下に収まるように計算されたもの。ミッションも高速走行を無視したようなクロスミッションが搭載されていた。

3)ダイハツ・トール/トヨタ・ルーミー/タンク/スバル・ジャスティ

 近年では同じメーカーで複数の販売チャネルを持つことも少なくなり、OEM供給以外での兄弟車の設定が少なくなってきた時代に彗星の如く現れた兄弟車界の新星、それがトール4兄弟だ。過去にもトヨタはマークII3兄弟やタウンエース3兄弟、ノア3兄弟など3兄弟は存在していたが、それを超えたのである。

 といっても、エンジンのラインアップなどはどの車種も共通。トールとジャスティは標準車とカスタムの2つのフロントマスクが存在し、トヨタの2車種はそれぞれの車種にフロントマスクを振り分けているだけとなっており、他はオプションの組み合わせやボディカラーの設定の違い程度となっている。

 まだデビューから1年も経っていないトール4兄弟だが、今後何度かマイナーチェンジを重ねることで兄弟車マニア泣かせ(存在するかどうか不明だが)な伝説のクルマたちになる気がしてならない。