どんだけ殿様商売なんだ! フェラーリやポルシェの「役物」にたどり着くには時間と莫大なお金が必要だった

この記事をまとめると

■フェラーリやポルシェといったメーカーの新車は車種によっては「一見さんお断り」状態

■その購入のためには資金だけでなくこれまでの購入実績と信頼がモノをいう

■ブランド価値維持のための「選別」という見かたもできる

お金をもっているだけでは買えないクルマ

 フェラーリやポルシェのディーラーで新車、それもGT3やF80といった役物を買おうとすると、「だったら、カタログモデル3台買ってください。そのあとでご相談しましょうか」などと、にわかには信じがたいことになるそうです。「ディーラーってどんだけ高飛車なんだよ!」と思われがちですが、もちろん相応の理由があるのです。ややこしくて、庶民には悔し涙しか出てこない背景をご案内しましょう。

 すでに、さまざまなブログやSNS、あるいは動画サイトでまことしやかに流れているのが、フェラーリやポルシェの新車は「一見の客には売ってくれない」という噂。じつはこれ、例外こそあれおおむね真実です。筆者の友人も暗号通貨とやらでひと儲けしたということで、「プロサングエ、欲しいのらー」と、喜び勇んで正規ディーラーに駆け込んだところ、じつに丁寧な対応ながら「再来年なら、もしかしたら」などと、実質的には断られたとのこと。

 クルマはベントレー・ベンテイガで乗りつけ、腕時計はパテック・フィリップのノーチラスWGをチラつかせるなど「金ならある」アピールをしまくったらしいのですが、無駄な抵抗に終わったようです。

 理不尽な仕打ちと思われても仕方のないところですが、なにもディーラーは意地悪をしているわけでも、売り惜しみしてプレミアがつくのを企んでいるわけでもありません。じつのところ「売れるタマがあるなら、こんな成金にだって売れるのに!」と内心では歯ぎしりしているかもしれません。とにかく、売ってくれないのは日本に割り当てられるクルマの数が決まっており、それがとても少ない台数であるためなのです。

 となると、フェラーリにしろポルシェにしろ、これまでの太客、上得意は山ほどいるわけですから、そういうヘビーユーザーが優先されてしまうことは簡単にわかる事実かと。

 で、前述の「3台買ってくれたら……」というのは、それだけ買ってくれたら得意客と認めましょう、という意味もさることながら、3台の登録やら車検やらをしているうちに「再来年のぶん」や「急なキャンセル」が出てこないとも限りません。もちろん、3台買える財力や信用が確かめられていることはいうまでもないでしょう。

ブランドイメージを守るという意味合いも

 細かな話になりますが、フェラーリの特別な限定車の場合はもう少しスケールが大きくて、カタログモデルを3台買って、登録後すぐにディーラーの提示する価格で下取りさせてようやく手に入るのだとか。つまり、限定車の価格に3台の下取り差額が乗せられるわけですから、なかなか思い切った買い物になりそうです。

 これをアコギな商売といい捨てるのは簡単ですが、実際には世界中で似たようなことが起きています。日本などはまだ割り当て台数があるほうで、少ない国になると新車価格からして日本やアメリカの2倍なんていうのも珍しくありません。当然、限定車や役物の価格もべらぼうですから、そうした国のお金もちは、それこそアメリカや中国まで出向くことが習わしにすらなっている模様です。

 もっとも、フェラーリにしろポルシェにしろ、本社はこうした風潮を関知していないわけでもありません。彼らにしても、本音は「じゃんじゃん作って、バンバン売ろう」だと思われますが、それではブランド価値が守り切れない。なんせ、バンバン売れば転売屋も出てくるでしょうし、中古市場でタマがだぶついたりしたらブランドの沽券にかかわります。

 つまり、売り惜しみ、出し惜しみに見えたとしても、長い目で見れば顧客を守る方策といえなくもないのです。まぁ、じゃんじゃん作ろうったって、両社とも生産規模がそこまで追いつかないというのが本当のところではないかと思いますけど(笑)。

 ちなみに、ベンテイガ乗りの友人は、たまたま出かけたフェラーリのサーキットイベントで仲よくなったコレクターから、程度のいい488ピスタを譲ってもらえたそうです。今度はそれに乗ってディーラーへ行ってみると鼻息を荒らげていましたが、果たしてどうなることやら楽しみでなりません。