
この記事をまとめると
■2025年のバンコク国際モーターショーでは中国系14ブランドが大規模出展し主役に浮上
■最大132万円の値引きや0%金利など過激な特典で中国勢が販売合戦を展開
■乱売が再販価値の下落や消費者の買い控えを招き、タイ市場に混乱が広がっている
中国系が支配するタイの新車販売
2025年3月26日から4月6日の会期にて、タイの首都バンコク近郊で開催された「第46回バンコク国際モーターショー」の会場を訪れると、会場の外ではあいかわらず日本車が目立つなか、会場内での主役は中国系ブランドとなっていた。会場に出展していた中国系ブランドは14にもなっていた。
引きつづき「インパクト・チャレンジャー」を会場として行われたが、前年(2024年)からいままでのホール1〜3に加え、新たに展示会場を拡大していて、それでも増えつづける中国系ブランドへの対応のためなのか、一部ブランド展示ブースの面積が狭くなっていたような印象も受けた。
中国系ブランドはその数だけではなく、正式開幕に先立って行われたプレスデーにおけるプレスカンファレンスで次々に発表された、値引きを含む開催期間中に会場にて成約した際の購入特典も、まさに度肝を抜く内容のものであった。ちなみにバンコク国際モーターショーは、会期中に会場内で積極的に新車を販売する「トレードショー」に特化しており、中国系に限らず、魅力的な購入特典を用意するのが一般的となっている。
扱う車種すべてというわけでもないのだが、最大で30万バーツ(約132万円)にもおよぶ新車価格からの値引きは、中国系ブランドではほぼ常態化しているようにも見えた。さらに、タイではオートローンを使っての新車購入が一般的となっているが、タイでもここのところ金利上昇傾向が目立っているなか、「金利0%」というものも中国系ブランドでは積極的にアピールされていた。
タイでは、2024年の新車販売台数で前年比約20万台減という深刻な新車販売不振状況となっている。その原因のひとつがローン審査の厳格化といわれている。消費者個々の抱える債務が見すごせない状況となったことによる対応ともいわれているが、政府も新車販売の深刻な不振を受け、ローン審査厳格化の緩和を図っているとの話も聞いている。
販売を競うあまりに「潰し合い」に発展
ただ、ローン審査の厳格化傾向はいまも続いているのだが、「中国系ブランド車を買ってもらうのならば審査を甘くしますよ」という動きもあると会場で聞くこともできた。
大幅値引き、そして0%金利ローン、これだけでも魅力的なのだが、さらにショー会場限定特典としてオプションパーツ無料装着や保証期間の延長、メンテナンスパックの無料付帯など、購入特典は留まるところを知らない状況となっており、まさに中国系ブランド同士で「潰し合い」をしているように見えた。
主催関係者からも、「ついこの前市場参入したブランドが大幅値引き販売している現状は信じられない」というコメントもあるが、中国系ブランドのまさにタイにおける“乱売”ともいえる現状については、異口同音に「なぜここまで行うのかはっきりとしたことはわからない」と語ってくれた。
中国系ブランド以外でも深刻な新車販売不振を受け、さまざまな購入特典を用意しているのだが、中国系ブランドの動きに対しては、まさに「ドン引き」して距離をおいているように見えた。
前述したとおり、タイではオートローンの利用が一般的となっている。そして、比較的短期間(2〜3年)で新車へ乗りかえるという消費行動が目立っている。そのため、日本以上に再販価値というものが重視されている。中国系ブランドが行う、いまの乱売傾向は結果として再販価値の大幅下落を招くことは必至ともいえる。となれば、数年先には再販価値の下落を補填して販売した車両を引きとるような事態も招きかねない。
また、販売促進を狙ってこのような動きを見せているようだが、消費者からは乱売合戦が続く状況を見て「底値がわからない」などとして買い控える動きも出てきているようである。
ショー開催期間中の限定特典とはいえ、日本では418万円となっているBYD ATTO3が、タイ(ショー会場)では約309万円で購入可能となっている。日本も含め諸外国では「BEVは同クラスICE(内燃機関)車と価格面で比べると割高」というのが一般的な見方となっている。
しかしここタイでは、「BEVは同クラスICE車より割安で買える」というイメージを広く消費者が抱くようになってきたといわれるほど、現状では終わりなき乱売が中国系ブランドでは展開されている。


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