最高裁判決は出たが強制力はなくトヨタのHVが人気

 日本では2017年秋からトヨタのJPNタクシーの本格運用が始まり、今後街なかで走るタクシーは日産NV200タクシーと合わせ、日本ではMPVスタイルのものがほとんどとなることだろう。

 ニューヨーク市では、タクシー車両の統一化を行おうとし、日産自動車のNV200の独占供給を決めたのだが、その後タクシー業界などの反対などもあり、訴訟にまで持ち込まれた。その結果は2015年に最高裁がNV200タクシーの独占供給を認める判決を下した。

 それならば2015年以降は順次NV200タクシーに入れ替えが行われ、ニューヨーク市内はNV200タクシーで埋め尽くされるはずが……、現実はそうではないのが実状。

 最高裁判決は出たものの強制力はなく、その後もNV200タクシーで独占されず、それまでの3代目プリウスタクシーが、プリウスV(日本名プリウスα)やカムリハイブリッドに変わっているのが現状となっている。これは結局のところ燃費性能が良く、燃料代負担が軽くなるためだ。

 今回は街角でどんなタクシー車両が目立っていたのかをお伝えしよう。ただし、あくまで筆者が市内を歩き回ってみかけた頻度での紹介なのであしからず。

 まず一番目立ったのがプリウスV。一時3代目プリウスのタクシーがニューヨーク市内にも溢れたのだが、居住スペースが狭いだけでなく、積載スペースが狭いこともあり一気にプリウスVへシフトしたようだ。

 そしてこのプリウスVと同じか、それ以上走っているのがカムリハイブリッド。まだ現行モデルは見かけることはできなかったが、ニューヨーク市内は先代のカムリ・ハイブリッドタクシーだらけといっても過言ではないだろう。

 さらに昨年はあまり見かけなかったのだが、RAV4ハイブリッドのタクシーで、こちらも赤丸急上昇中で増えている。ニューヨークショーでは次期型が登場しており、今年夏までは現行モデルの最終在庫セールに拍車がかかるので、さらに増えるかもしれない。

 あとはハイランダーハイブリッドや、ハイブリッドではないものの、ミニバンのトヨタ・シエナなども走っている。

 気が付いてみるとニューヨークのイエローキャブの多くはトヨタ車であった。ハイブリッド仕様を多数ラインアップしているし、やはり初代プリウス登場から20年という、ハイブリッド車ラインアップに対する信頼性も高いようだ。

 タクシードライバーがハイブリッド車を選ぶ理由はずばりガソリン代の負担軽減がある。プリウスなどが台頭してくる前には、5リッター近い大排気量のV8エンジンを搭載し、燃費が数km/Lといったフォード・クラウンビクトリアのタクシーがほとんどであったが、こちらに比べれば排気量が格段に小さくなっているだけでも、エコランを意識した走りをしなくても絶対的な燃費性能は良いはずで、ガソリン代のセーブは確実にできるというもの。またニューヨーク市にしてみれば、環境にやさしいハイブリッドタクシーの積極導入は市民からの評価も高いといった背景があるようだ。

 ただプリウスのタクシーが目立つようになったころ、乗り合わせたプリウスタクシーの運転手に話を聞くと、「燃費がいいのは助かるけど、事故起こすと修理代が高いので、修理代が払えず辞めていった仲間もいる」と話してくれた。ぶつけどころが悪かったらしくて、二次電池やハイブリッドユニットの交換まで必要になってしまったのかもしれない。

 ただハイブリッドとはいえ腰高のSUVタクシーは乗降に難があるので、あまり積極的な導入は控えてもらいたいと個人的には考えている。