新型フィットはスイッチ式から旧来のレバー式へ! 音声入力の発達が流れを変える最近のシフト事情

ボタン式のATセレクターは古くから存在

 トヨタ・プリウスのホームポジションに戻るタイプのシフト操作系は常に賛否あるところだが、ハイブリッドカーに限らず、最近のオートマチックトランスミッションの操作系は多様になっている。かつてのようなシフトレバータイプが主流ではあるが、メルセデスはコラムに置かれた小さなレバーで操作するものに統一されているし、始動すると円筒状のシフトダイヤルがせり上がってくるジャガーも個性的だ。ランボルギーニなどはシフトレバーがなく、パドルシフトを操作してDレンジに入れるといった具合だ(リバースは専用のレバーがある)。

 ハイブリッドだろうが、DCTだろうが、ステップATだろうが、このようにシフト操作系の自由度が上がったのは、物理的につながっている必要がなくなったからだ。電子制御のトランスミッションはバイワイヤといって電気信号でコントロールできる。そのためトランスミッションと操作系を物理的につなぐ必要がなく、どこにでもセレクターをレイアウトできるようになった。形状もレバーではなく、スイッチやボタンでよくなった。

 ただし、ボタン式のATセレクターというのは新しいものではない。1950年代のアメリカ車では、ぼちぼち見ることができる。代表的なのはクライスラー・インペリアルだろう。日本ではウルトラセブンに出てきた劇中車「ポインター号」のベース車両として知られているインペリアルのATセレクターはメーター脇に置かれたボタンで操作するというデザインになっていた。マニアであれば既知の情報だろうが、それほどボタンATセレクターの歴史は古い。

新型フィットはレバー型に回帰!

 だから、レバー式以外のシフト操作系は最近のテクノロジーではない。ただし、増えてきたように感じるのは従来よりもシフト操作の重要度が減っていることに起因している。マニュアルトランスミッションであれば手の届きやすい場所にシフトレバーを配置する必要がある。しかしオートマとなればD(前進)かR(後退)を選ぶだけといえるし、通常の走行時にはDレンジに入れっぱなしであるからシフト操作をする必要がない。エンジンブレーキを強めたいときにはパドルを操作するほうが手の移動が少なく合理的だ。

 また、従来シフトレバーを配置している場所を奪うデバイスが登場したことも影響している。それがコマンダーなどと呼ばれるナビやインフォテイメントシステムの操作系。マウスやタッチパネルのような入力デバイスは手のひらや指先でコントロールする。前述のようにオートマではほとんど入力が不要だが、こうしたデバイスは目的地の設定、オーディオの切り替えなど利用頻度が高い。そのため、シフトレバーを置いていたセンターコンソールの一等地を奪うカタチになった。追い出されたATセレクターは自由度の高いスイッチ型、ボタン型になるケースが増えてきたという面はある。

 ただし、新型フィットではハイブリッドシステム自体は2モーター型の電動領域の広いタイプを採用しながら、シフトレバーはオーソドックスなストレートタイプを採用している。これはユーザーに自然に操作してほしいと作り手が考えたからだ。旧型モデルのハイブリッドでは、いわゆる「プリウス・タイプ」を採用していたことを思うと、大きな変節であるし、旧型から乗り換えたユーザーからすれば不慣れな操作系になる可能性もあるが、エンジン車と共通のデザインにする量産メリットなどもあるのだろう。

 そして、この流れは他社にも拡大するのではないかと思える。なぜなら、シフトレバーをセンターコンソールから追いやったコマンダーが、音声入力の高性能化と普及により不要になっていくことが容易に予想されるからだ。一等地であるがゆえに、コマンダーが不要になったスペースを単なる小物入れにしてしまうのはもったいない。短期的なトレンドであろうが、シフトレバー回帰の流れが生まれるかもしれない。