「一発免取の可能性」「えん罪予防にドラレコ必須」! あおり運転の定義と厳罰化の中身

今まであおり運転の規定はなく行為ごとに罰則を適用していた

 ご存じのように、6月2日に衆議院で可決され、6月20日からあおり運転が厳罰化された。これは2017年6月に、東名高速道路で発生した夫婦死亡事故や、高速道路上で停止し、暴行しつつ、ガラケーで記録するといった社会問題になった事例が後押しをしての結果だ。

 なぜ、今厳罰化されたかというと、それ以前の問題で、そもそも改正前の道路交通法では「あおり運転」に対する規定すらなかったのだ。もちろん野放しになっていたわけではなく、個々の行為に対してある法律で対応してはいた。

 たとえば、あおり運転でもっとも多い、後方からのプッシングに対しては「車間距離不保持違反」を適用。左車線から追い越されるなどの場合は「追い越し方法違反」で。前に出ての急ブレーキは「急ブレーキ禁止違反」などで対応することになっていた。

 さらに問題は現在のようにドライブレコーダーが普及していれば証拠がある(現在、ドラレコのデータは有効)。しかし、普及していないと、基本的に取り締まりは現行犯でなければならず、摘発がむずかしく結局逃げられておしまいというのがほとんどだった。

 また捕まえたとしても「車間距離不保持違反」で見ると、一般道で違反点数1点/反則金6000円、もしくは5万円以下の罰金。高速道路では違反点数2点/反則金9000円、3月以下の懲役または5万円以下の罰金(高速道)と、正直軽かった。

妨害運転罪として細かく規定したものの基準は不明確

 2017年の東名高速での事故は、子どもを残して両親が死亡するという痛ましい事故で、現在係争中だが重い「危険運転致死傷罪」を適用することは難しいとされる。追い越し車線に停車させることと、そこに追突して死亡事故になったこととの因果関係があいまいだからだ。心情的には厳罰とはいえ、法律の規定に従うしかない現状は被害者にとって理不尽である。そこで、厳罰化となったわけだ。

 6月30日施行の改正道路交通法では「あおり運転」の罰則を大幅に重くしている。法文に「あおり運転」とは書けないので、「妨害運転罪」という新語を登場させた。妨害運転罪=あおり運転で、妨害運転罪は「通行区分違反」「急ブレーキ禁止違反」「車間距離不保持」など10項目で構成される。

 罰則は2段階に設定されていて、「交通の危険のおそれ」なら3年以下の懲役または50万円以下の罰金、違反点数25点&免許取り消し(欠格期間2年)。「著しい交通の危険」なら5年以下の懲役または100万円以下の罰金、違反点数35点&免許取り消し(欠格期間3年)。しかも前歴などある場合はさらに重くなる。いずれにせよ、従来と比べれば段違いに重くて、一発で免許取り消し&3ケタ万円の罰金となる可能性があるのだ。

 厳罰化は運転者以外にも及び、あおり運転を「そそのかした」と認定されたら免許取り消しの処分が下される(欠格期間は最低2年)し、そそのかしただけで同乗しなかったとしても取り消し処分となってしまう。

 あまりに細かく規定された分、それぞれの基準が明確になっていないだけに、「あおり運転のあおり」という問題もささやかれている。たとえば車間が自然に詰まってしまったのに、あおられたとするもの。防止策としては紛らわしい行為はできるだけ避けて、ドライブレコーダーを装着すること。言いがかり的な通報をされたら、ドライブレコーダーの映像で対処するしかないというか、それが唯一の証拠になるので、ぜひ装着しておきたい。