人気ミニバン「日産セレナ」の魅力とは?

子どもを持つファミリーから圧倒的な人気を誇る

 利便性やユーティリティなどの面でファミリーカーの主役となったミニバン。とくに子どもを持つ家庭にとって、いまや「一択」ともいえるほどだ。近年、高いユーティリティを誇るSUVの勢いにおされつつあるものの高い人気を保っている。

 そんなミニバンセグメントにおいて5ナンバーワンボックスはボリュームゾーン。そのなかで販売ナンバー1の座を維持しているのがセレナだ。その人気はどこからくるのかを探っていこう。

e-POWERに注目! 日産セレナとは

 現行セレナは2016年に登場した5代目。自動運転技術プロパイロットを初採用したことで大きな話題となった。ただし、プラットフォームは先代モデルからのキャリーオーバーだ。

 ボディタイプは5ナンバーサイズに収まる標準ボディ、さらに専用エアロパーツを装着しスポーティーに仕立てたハイウェイスターを用意。ハイウェイスターは3ナンバーサイズとなる。

 標準ボディは全長4690mm×全高1865〜1875mm×全幅1695mm。ハイウェイスターは全幅が1740mm。ホイールベースは2860mm。

 セレナが人気を集めるポイントのひとつがパワーユニット。ハイブリッドを2種類が用意されている。2リッター直4MRDD型ガソリンエンジンをベースにジェネレーターをアシストモーターとして使用するSハイブリッド、さらに2018年に追加されたシリーズハイブリッドのe-POWERだ。

 Sハイブリッド、e-POWERと2種類のハイブリッドは、システムは大きく異なる。

 アシストモーター専用のバッテリーを装備せず、従来のバッテリーを大型化。最大トルク48Nmを発揮するモーターでアシストするのがSハイブリッド。機械類をガソリンエンジンと同等なスペースに収めることができ、リーズナブルにハイブリッド化できるメリットを持つ。ミニバンにとって居住性に影響を与えずシステムを搭載できることは大きな利点となることは言うまでもないだろう。

 一方、e-POWERは先にノートへ搭載され話題となった日産自慢のシステムだ。発電用となる1.2リッターエンジンを搭載し、発生させた電気を動力用バッテリーに蓄電。そこから電力をモーターに送りタイヤを駆動する。発電用のエンジンを最高効率で使用できることで走行効率を高めるメリットを有する。モーターの最高出力は136ps。ノートe-POWERより増強されているのが特徴だがSハイブリッドの出力より劣っている。

 モーターの瞬発力を重視するならe-POWER、ゆとりある走行性能を求めるならSハイブリッドを選びたい。

 気になる両タイプの燃費性能をどうなのだろうか。

 SハイブリッドはWLTCモードが13.2km/L、JC08モードが15.4km/L。e-POWERが、WLTCモードが18.0km/L。JC08モードが26.0km/L。燃費性能はe-POWERが勝るが、ライバルとなるステップワゴンのハイブリッド(e:HEV)はWLTCモードが20.0km/L、JC08モードが25.0km/L。e-POWERが特段、燃費に優れているわけではない。

 また、e-POWERで忘れてはならないのがアクセルペダルだけで加減速できるワンペダル。最初は慣れが必要だが、アクセルを戻すだけで停止まで持ち込めるこのペダルは、モーターの加速やスムーズさとともにe-POWERの魅力を引き立てている。

セレナが人気の理由

人気の理由その①「広大な室内スペース」

 クラストップの人気を誇るセレナ。その大きな理由は広大な室内スペースにある。室内長は先代比110mm拡大した3170mm、3列目シートのスライド機構を利用して最後端まで移動させると3240mmにもなる。

 ライバルステップワゴンの室内長は3220mm、ノア/ヴォクシーは2930mm。室内幅もセレナが1545mm、ステップワゴンが1500mm、ノア/ヴォクシーが1540mmとライバルより広い。

 運転席の着座位置は高めだ。アイポイント地上高は1410mmでステップワゴンやノアなどライバル車より高い。これにより視界は良好だ。また、視界の良さは細くしたAピラーや三角窓の可視面積を拡大したことも貢献している。

 ただ、一列目シートの着座位置は高いとはいえ頭上空間は広大。標準装備されているハイトアジャスターで様々な体型のドライバーが理想の運転姿勢をとることができる。

 広大な室内長の恩恵を受けた2列目シートの足元には大きな余裕がある。スライド量は570mm、超ロングスライドを使用することで690mmを可能とした。

 2列目シートのトピックスは標準装備のスマートマルチセンターシート。

 マルチセンターシートとは2列目中央部のシートで、1列目シート横までスライド可能。前席のフロアコンソールとして、また前席&2列目のアームレストとして、さらに3名掛けのベンチシートとして使用できる。

 また2列目シートは横スライドできることで、乗降性を容易にしている。

 ただしe-POWERの2列目はスマートマルチセンターシートを廃止したキャプテンシートを採用。ガソリン車と違い1〜3列目までのウォークスルー移動を可能にした。

 120mmの前後スライドを可能にしている3列目シートはライバル車よりゆとりがあるため、大人2人のロングドライブも快適。5対5分割で左右跳ね上げ式の格納機構を採用し、3列目の格納時は奥行き1080mm+高さ1220mmのラゲッジスペースとなる。

人気の理由その②「快適装備が充実」

 もちろん、室内の広さだけがセレナの売りではない。快適な装備が充実していることにも注目だ。

 ナビは9インチワイド画面を用意(7インチもラインアップ)。9インチを選ぶと見た目の良さが引き立つ専用パネルが装着される。またBlu-rayディスクに対応し、後席モニター(オプション)にも映像を流すことも可能だ。

 また特質すべきは3列それぞれに用意されるUSB電源ソケット。最大6箇所装備できるのは、とくにファミリーユーザーはありがたさを感じるはずだ。そんなファミリーユーザーに対して、室内収納も数多く用意されている。

 また便利機能でいうと、スライドドアの下に足元を入れ、さっと引くと自動でドアが開くハンズフリーオートスライドドア、キャップレス給油口、バックドアの上部半分のみを開閉できるデュアルバックドアを装備していることにも注目だ。

人気の理由その③「プロパイロット」

 デビュー時に「自動運転」とのワードを押し出し大きな話題を集めたプロパイロットはe-POWER、SハイブリッドともにハイウェイスターVとGに標準装備。

 高速道路をはじめとする自動車専用道路での高速(最高時速100kmまで)・巡航走行、また渋滞時(時速30kmまで)のアクセルやブレーキ、さらにステアリングの操作を自動制御やアシストする機能。ステアリング右側にあるプロパイロットのスイッチをオンにして、速度をセットスイッチで調整すれば機能が作動する。

 正直、セレナがデビューした当時のプロパイロットはとくに渋滞走行時の減速でスムーズさがかけていたよう感じたが、機能自体が進化した現在は渋滞時での走行にも不安を感じなくなった。前車の減速にあわせ、速度を落とし車間維持してくれる。ただし、スカイラインに搭載されるプロパイロット2.0とは違い、ハンズオフ(手放し運転)はできない。

 プロパイロットに加え、単眼カメラやミリ波レーダを追加したインテリジェント・エマージェンシーブレーキ、対向車がいてもハイビームのまま走行できるアダプティブLEDヘッドライトシステム、インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)、BSW(後側方車両検知警報)などの先進安全装備を備えたことで360°の安全性能を備えている。

車中泊派に嬉しいマルチベッドが登場

 室内の広さやユーティリティが自慢のセレナにアウトドア向けのモデルが登場した。

 2月10日にデビューしたセレナマルチベッドはオーテックジャパンが手掛けた車中泊仕様。3列目シートを廃し、収納式のベッドシステムを備えている。

 2列シートとなったことで、ガソリンやSハイブリッドは5人乗り、e-POWERは4人乗りのシートレイアウトとなっている。

 セレナの人気オプションである防水シートを標準装備し、ベッドにはシートと同じ防水性のある素材を採用。アウトドアや各種レジャー時に付いた汚れが拭き取りやすく手入れがかんたんに行えるところがポイントだ。

 また、小物類や各種ウェアを掛けることができるサイドマルチパイプラック、サーフボードや釣り道具などを積載するためのアイテムをオプション設定。ユーザーの志向に合わせ室内外をカスタムできる仕様となっている。

 セレナマルチベッドは323.18万円〜399.41万円。Sハイブリッドモデルは2WDと4WDから選択可能だ。

豊富なラインアップ! 人気グレードはこちら

人気グレード①「e-POWERハイウェイスターV」

 ファミリーカーとしてはもちろん、エアロパーツを施した見た目でスポーティーさを重視したいユーザーに人気のグレード。日産独自のe-POWERを搭載しているところもポイントだ。

 専用の前後エアロバンパーやサイドシルプロテクターなどを装備したカスタム仕様。フロントグリルも専用で上下に面積を拡大し日産のデザインテーマ“Vモーション”を強調した造形を施した。

 ヘッドランプはLED。プロパイロットや専用サスペンションも標準装備されている。

 シート表皮はジャカード織物&トリコットを採用。カラーはブラックとグレージュの2種類が用意された。

 価格は358万2700円。

人気グレード②「ハイウェイスターV」

 スポーティーさを重視したいユーザーに人気のグレード。e-POWERよりリーズナブルなところも人気の秘訣と言える。

 ハイウェイスターVは、エアロバンパーなどe-POWERハイウェイスターVと同様に専用パーツを施したカスタム仕様。ただし、ルーバーの形状などグリルはe-POWERハイウェイスターVとはデザインが異なる。

 内装色はブラックのみ。また防水シート仕様もラインナップされた。

 LEDヘッドランプ、プロパイロットや専用サスペンションはe-POWERハイウェイスターV同様、標準装備されている。

 価格は2WDが307万100円、2WD防水シート車は310万3100円、4WDは335万5200円。

人気グレード③「XV」

 Sハイブリッドを搭載した売れ筋モデル。装備が充実しているわりには、リーズナブルに購入できることでファミリー層からの人気が高い。

 ベーシックグレードのXに加えて、2列目、3列目シートに配置されるUSB電源ソケット、ワンタッチオートスライド、インテリジェントFCWが装備される。

 またシート表皮に防水シートを装備したモデルもラインナップされている。アウトドアを楽しみたいユーザーは、こちらを選びたい。

 価格は2WDが273万6800円、2WD防水シート車は276万9800円、4WDが298万5400円。

試乗するときのチェックポイント

 ディーラーなどでセレナを試乗する際、確認したいポイントはいくつかある。

 まず、運転視界。セレナは先に挙げたように運転視界の広さが売りのひとつだが、前方や三角窓から見える視界は重要なチェックポイントとなる。実際運転したときどうかを確認しよう。

 合わせて後方の視界やバックでの駐車のしやすさも重要。ボディサイズが大きなクルマだけに、このあたりは確認しておきたい。

 また子どもを持つユーザーならとくに居住性や快適性もできるかぎり確認しておきたい。楽に乗り降りできるか、3列目の乗り降りについても試乗時に試しておきたいチェックポイントとなる。

 e-POWERモデルの購入を考えているなら、ワンペダルのフィーリングも要チェックだ。アクセルを戻すだけで減速できる優れた機能だが、そのフィーリングが苦手な人もいるかと思う(ただ、すぐ慣れる可能性が高い)。

 さらに、プロパイロットの装着を考えているならぜひ試したい装備だ。ディーラーによっては試乗コースに高速道路を含めプロパイロットを体感できるお店もある。事前にディーラーの試乗コースなども確認しておきたい。

売れるクルマには理由がある

 ファミリー層に高い人気を誇るセレナだが、改めて確認すると「そりゃあ売れるよな」というポイントばかり。かゆいところに手が届くというか、ファミリーユーザーが欲しいニーズがすべて揃っているのだ。

 子どもを持つ家庭にとって、セレナは家族と過ごす時間をより有意義なものに変えてくれるはずだ。