「自然災害」「コロナでの事故増」「残価設定ローンの普及」で注目される保険の「車両新価特約」とは?

全損でなくても新車価格相当額が支払われる

 台風被害が年々甚大なものとなっている。ゲリラ豪雨や豪雪など、近年は自然災害に遭うリスクは高まり、その時の被害は拡大する一方である。そのようななかで地震や噴火に起因する自然災害には使えないが、多くの自然災害により愛車が被害に遭ったときの強い味方が車両保険となる。

 “車両全損時諸費用特約”が自動付帯されるのが一般的となっており、廃車手続きに関する諸費用や、次の新車購入に必要な諸費用の一部はカバーされる。しかし、これはあくまで保険加入車両が”全損”扱いになることがマストとなる。仮に全損扱いにならなくとも、車両に致命的なダメージ(フレーム修正が必要になるなど)を受け、その修復に100万円以上かかるとなれば、車両保険を使って直すことができることもあるが、「新車に入れ替えたいなあ」というのが本音となるだろう。

 そのような状況になったときに強い味方となるのが、”車両新価特約”というもの。この特約で設定した協定新価保険金額の50%以上の修理費のかかるダメージを受けた場合に、新車価格相当額となる協定新価保険額が支払われる特約となる(当然全損でも適用となる)。つまり、全損扱いではなく相当額の修理費のかかるダメージの大きい損傷を受けた場合でも、修理して原状回復して乗り続けるのではなく、新車へ入れ替えることが可能となるのである。

 車両保険では減価償却に基づき、保険金額が契約更改時に減額されていくのだが、新価特約をつけることで”協定新価保険金額”が設定され、減価償却に関係なくいわば新車時価格が維持されることになる。

 たとえば新車時の車両保険金額が250万円とすると、減価償却に関係なく新車時車両保険金額の半額、つまり125万円以上の修理費用のかかる、フレーム修正など甚大な損害が生じていれば、協定新価保険金額が支払われることになる。

 近年、残価設定ローンを使って新車を購入するひとが目立ってきている。ローン支払い途中での全損事故やダメージの大きい事故を起こすと、新車への入れ替えも含め、身動きの取れない状況となるので、身動きがとれるようにと車両保険への加入を販売現場ではより積極化させている。そして、車両新価特約により、さらなるフォローアップが可能となっている。もちろん自動車保険の等級は下がるので、保険料はアップすることになる。

ユーザーだけでなくディーラーにもメリットは大きい

 車両新価特約は販売する側、つまりディーラーにもメリットは大きいとのこと。現場のセールスマンは「一般的な新車販売のように値引き販売すると、(協定新価保険金額で)保険会社から支払われる保険金額は減額されます。そのため、一般的な新車販売ではあまり例はありませんが、値引きなしで新車販売することができるのです」と語ってくれた。

 さらにこのセールスマンは、「新型コロナウイルス感染拡大が始まったころから、交通事故が非常に増えております。公共交通機関を利用しての感染リスクを避けるために、ペーパードライバーなど、あまりクルマを運転していなかった方も頻繁にクルマを運転するようになるなど、交通環境が変化していることがあるようです。すでに事故で愛車に甚大なダメージを受け、車両新価特約を使われて新車に入れ替えたケースは、私の担当するお客様でも数件あります」とも話してくれた。

 車両保険に入るだけでなく、車両新価特約の付帯が新型コロナウイルス感染拡大後の“新しい生活様式”下の新しいカーライフとなるかもしれない。

 いまどきの自動車保険は特約が多岐に渡っているなど、複雑なものとなっているので、契約内容の変更などをする時は、新車ディーラーや保険代理店などで内容確認し、個々でしっかりと損得勘定を判断してもらいたい。

 車両新価特約は、いうなれば損害保険会社と新車ディーラーのコラボ商品のようにも見えるというのは、けっして的外れな物言いでもなさそうだ。