25年ルール以外に「ゲーム」や「Youtube」の影響も! 国産旧車スポーツの中古価格「爆上げ」が止まらないワケ

アメリカの「25年ルール」による影響は無視できない

 旧車の価格高騰が止まらない。ネオヒストリックと呼ばれる1980〜90年代のモデルも含めて、もはや新車時を超えるプレミア価格となっていることは珍しくない。その象徴といえるのが日産スカイラインBNR32 GT-Rで、最低でも500万円、上コンディションの個体では1000万円を超える中古車価格をつけていることは珍しくない。

 そこまでいかなくとも、10〜20年前が底値となっていて、多くのネオヒストリック車は価格を上げている。新車当時は、それほど貴重とは思われていなかったような大衆モデルであっても中古車相場は上昇している。

 その背景にあると、よく言われているのが、アメリカの「25年ルール」だ。ご存じのように、アメリカでは右ハンドルの輸入車は基本的にNGとなっているが、製造から25年を過ぎると自由に輸入できるようになるという決まりがある。

 これによって、スカイラインGT-Rのような日本専用モデルの価値が世界的に上がっているのだ。逆にいうとアメリカでも販売されていたモデルについては、そこまで相場は上がってこない。たとえばホンダ初代NSXについていえば、まだまだ新車価格を超えるレベルに達していないのは、そうした背景を考えると理解できるだろう。

 とはいえ、日本は資本主義である。そうした社会において中古車価格というのは需要がなければ上がることはない。アメリカでも同様で、ネオヒストリックを含む旧車を求めるユーザーが多いからこそ価格が上がっているのだ。

 そこにはいくつかの要素があげられる。

 大きく影響しているといわれるのが、プレイステーションのドライビングシミュレーションソフトである「GT(グランツーリスモ)」シリーズだ。このソフトによって、世界中のクルマ好きがスカイラインGT-Rのような日本限定のレジェンドスポーツカーの存在を知り、それが実車の価値を高めた。

安全性能の向上に反してスポーツカーの持つ刺激に憧れを抱く人も

 また、映画「ワイルドスピード(原題:Fast & Furious)」シリーズに、スカイラインGT-Rや三菱ランサーエボリューションが登場したことも、北米での日本車人気を高め、25年ルールのタイミングと相まって、世界的な相場上昇につながったという部分も見逃せない。

 ほかにも、最近の国内における旧車ブームにはYouTubeの影響は大きいだろう。芸能人のチャンネルなどで、旧車を楽しんでいる様子を見て、そうしたクルマがある生活に憧れるという人も少なくない。

 いずれにしても各種メディアによって、その価値を知ることが需要を掘り起こす。そうなると、中古車というのは減ることはあっても増えることは絶対にないわけだから、相場は上がる一方で、それが現在の状況になっているといえる。

 また、そもそも相場が形成されるほどの台数がない旧車やネオヒストリック車については専門店が価格を決めている部分もある。売れなければ価格は下がるわけだが、25年ルールによる価格上昇の波に乗って、そのルールとは関係のない時代の旧車も相場を上げているという面は否めない。

 ではなぜ故に、旧車・ネオヒストリックのニーズは高まっているのだろうか。

 それはクルマの価値観が大きく変わっていることが影響しているといえるだろう。よく言われているように、現在は自動車業界100年に一度の大変革期だ。それを「CASE革命」などというが、各社は電動化や自動運転といったテクノロジーに注力している。

 それはそれで自動車の進化としては間違っていないのだが、ドライビングにおける刺激が重要だった古き良き時代の価値観からすると真反対といえる方向であるのも事実だ。

 絶対的な速さでは電子制御によって作り込まれた現代のスポーツカーのほうが圧倒的だとしても、多くの領域をドライバーのスキルでカバーしていた時代のスポーツカーが持つ刺激というのは、もはや完全に失われている。

 自動車は安全性や利便性、環境性能を求めて進化してきたが、そのアンチテーゼとして失われた刺激が価値を生み出している。だからこそ、旧車やネオヒストリック車を手に入れ、古き良き価値観を味わいたいと思うユーザーが増えてきているのだ。