軽自動車は日本のガラパゴス車じゃなかった! 海外からの熱視線に応え排気量「チョイ足し」で売られるKカーたち

多くが日本専用モデルとなっている軽自動車

 軽自動車は、日本でしか新車として買えない・乗れない、いわゆるガラパゴス車。そういうイメージを持っているユーザーが大半だと思う。

 軽自動車は戦後、庶民がクルマを持てるように国が考案した、いわゆる国民車だ。エンジン排気量と車体サイズを小さくして価格を抑え、さらに税制でも優遇措置を講じてきた。

 1970年代までは商用車というイメージが強かった軽自動車だが、スズキ「アルト」が登場したことで市況は大きく変わった。商用から乗用、また男性だけではなく女性ユーザーも増えた。

 さらに、スズキ「ワゴンR」登場でハイト系ワゴンが人気となり、1980年代から2000年代前半まではスズキ vs ダイハツのライバル構図が鮮明になった。

 その後、ホンダ「N-BOX」登場で軽市場は激変することになったわけだが……。

じつは排気量をアップした軽自動車が多くの国で愛されていた

 そんな軽自動車を、海外ではどう見ているのか? 来日した人の多くが「ジャパニーズ・マイクロカー」と呼び、限られたスペースに日本の自動車技術や集約されている商品性に舌を巻く。

「軽自動車のようなクルマを我々の国でも生産して、そして販売して欲しい」という相談をスズキの鈴木修社長(当時)に持ちかけたのは、1980年代当時のインド政府だった。庶民に手が届く価格で、丈夫で壊れにくくメインテナンスのコストも安いクルマとして、経済成長を模索していたインド政府が目を付けたのが、軽自動車だったのだ。

 そして実現したのが、マルチスズキによるインド仕様のアルト、マルチ800だ。現地での道路環境などを考慮して、排気量を800ccとしたアルトは、インド政府の思惑通り、まさに国民車のような存在になった。

 また、スズキは2000年代までは、ワゴンRの排気量拡大版を欧州市場向けに発売しており、欧州各国では根強い人気を誇っていた。

 直近では、インドのスズキ工場で生産されたアルトは1リッターエンジン搭載の「K10」として輸出もされている。

 そのほかでは、周知のとおり「ジムニー」の海外仕様は、日本の「ジムニーシエラ」である。

 ダイハツの場合、軽の技術を活用してインドネシアを基点に東南アジアでの事業を拡大してきたが、軽ベース車という位置付けではない。古くは「ミゼット」を東南アジアなど海外で発売していたことがある。

 また「コペン」については、当初は660㏄エンジン搭載で、後に1.3リッターエンジンを搭載したモデルの海外販売を行った。

 いずれにしても、軽自動車は日本の自動車の技術力のみならず、自動車文化を世界の人々に知ってもらうことができる逸品である。