トヨタを焦らせるほど人気のホンダ・ヴェゼル! それでも「喜べない」納期遅延という不安

この記事をまとめると

■いまホンダ・ヴェゼルが好調で、どのグレードも納期は来年となっている

■購入者の多くが他銘柄から流れてきているとみられ、トヨタをも刺激している

■納期が長いために今後キャンセルが出てくることが唯一の懸念点だ

グレード「PLaY」はとくに納期が長い

 ホンダ・ヴェゼルのヒットが止まらない! 9月上旬に某ホンダ系新車ディーラーを訪れ、半導体供給不足についてあれこれ話を聞いていると、「発売したばかりのシビックは現状2〜3カ月ほど納車までお待ちいただくことになります。ただ半導体不足の悪化や、新規受注が増えていけば、さらに納期は延びることになるでしょう」と話してくれた。

 そこで「ヴェゼルなども状況は同じですか?」と聞くと、「ヴェゼルの場合は、半導体の問題もありますが、依然として多くのお客様より新規に受注をいただいていることもあり、より深刻になっております」とのこと。セールスマンの話では、PLaY以外のグレードがすでに、2022年2月もしくは3月に納車、そしてPLaYにいたっては「1年待ちとまでは言いませんが、ご注文をいただく時には、納車は2022年5月、6月あたりとご案内させていただいております」と、すでにヴェゼル全車の納車は越年していると話してくれた。

 ホンダとしては量販グレードとしてZを想定し、ヴェゼルのなかでの生産ボリュームを多めにしているとのこと。しかし、予約販売段階からPLaYの受注が多めとなり、PLaYのみ納期が断トツで長いことが発売以来続いている。

 他グレードではオプションとなる、“HONDA CONNECT ディスプレイ”の標準装備や、シリーズ唯一PLaYにしか装備されない、“パノラマルーフ”などが人気となっているようである。ただ、そのパノラマルーフが納期を遅らせているともいわれている。

 現状では、半導体不足もあるので強くは言えないが、いつまでも「おかげさまで、納期遅延が顕著になるほど人気があります」と言っているわけにもいかないだろう。ヤリス クロスでも半年待ちでなんとか押さえているのに、最長でほぼ1年待ちというのは半導体不足下であっても少々待たせすぎである。

他銘柄から流れてきているケースが多いと予想される

 ただ、この“最長約1年待ちという状態でも受注が入り続けている”ということがトヨタを刺激しているようである。半導体不足もあったのか、発売直近ともいえるタイミングから本格的な予約受注活動を始めたのがカローラ クロス。しかし販売現場で聞くと、予約受注期間が短いのに、“予約受注でひとり3台以上”の受注をとるような販売促進コンペが展開されているとのこと。好調なヴェゼルを見ての動きのように見える。

 人気があるだけでなく、前述したように、すでに長期の納車待ちなのにオーダーが入り続けていることも、トヨタは気になっているかもしれない。先代ヴェゼルは確かに人気車だが、最近のホンダはN-BOXやフィット、フリードばかり売っているので、先代ヴェゼル以外のホンダ車ユーザーに新型ヴェゼルの販売促進をかけると、“アップグレード”になってしまうケースが多くなる。

 いまどきはダウンサイズニーズがあっても、アップグレードニーズはほとんど期待できない。CR-Vからのダウンサイズといっても台数はたかがしれているし、アコードやシビックからの乗り換えはさらに限定的となる。つまり、他銘柄(ホンダ車以外)から新型ヴェゼルへ流れてきているケースが多いのではないかと考えられるのである。この点でもトヨタにプレッシャーをかけている可能性は十分高い。

 ただ課題としては、多くの納車待ちのお客を1年(多くは半年ほどになるが)も待たせることができるかである。半導体不足が解消したとしても、バックオーダーを抱えているので、すぐに納期遅延が解消されるわけではない。現状では半導体不足は出口が見えない状況にあり、今後はより状況が悪化するとの見方も多い。

 トヨタはいままでも、しばしば納期遅延状態になる車種が目立ったので扱いに慣れているが、原則販売店在庫車の販売を優先させているホンダでは、その点で不安が残る。聞くところによると、日産は半導体不足の影響はあまりないとのことなので、キャンセルして日産へ流れるとか、中古車に購入対象を変更するといった動きが目立ってくるかもしれない。