電動化じゃなくカーボンニュートラルこそが目的! トヨタが「売れなくても」水素を推すワケ

この記事をまとめると

■トヨタは近年、水素自動車に意欲をみせている

■MIRAIはすでに2代目を販売、水素エンジン車でレースにも参戦している

■なぜトヨタは水素に力を入れているのかについて解説する

トヨタMIRAIはすでに2代目を販売

 トヨタは1997年に初代プリウスを発売して以来、ハイブリッド車を積極的に手掛けてきた。2021年1〜6月におけるトヨタの国内新車販売状況を見ると、乗用車の40%をハイブリッド(少数のプラグインを含む)が占めた。

 ちなみに他社のハイブリッドには、マイルドタイプもあるが、今のトヨタが搭載するのは基本的にストロングタイプのみだ。従ってハイブリッド比率が40%であれば、総合的な燃費向上率も高い。

 このトヨタが最近は、水素にも意欲を見せる。とくに注目されるのが燃料電池車のMIRAIだ。2014年には本格的な量産燃料電池車となる初代(先代)MIRAIを発売して、2020年には2代目の現行型にフルモデルチェンジした。

 ホンダも燃料電池車を手掛け、2008年にFCXクラリティ、2016年にはクラリティフューエルセルを設定したが、いずれもリース専用車だから市販はされていない。そこがMIRAIとの違いだ。

 燃料電池車は、水素と空気中の酸素を反応させて電気を取り出すから、水素を充填する水素ステーションが不可欠になる。水素ステーションの数は、2014年には全国でわずか16箇所だったが、2015年には76箇所に増えて、2021年には130箇所を超えた。

 ガソリンや軽油を扱う給油所(ガソリンスタンド)の数は、2020年の時点で3万箇所を下まわり、最盛期だった1994年に比べると半減した。それでも水素ステーションに比べると圧倒的に多い。

 水素ステーションの数が少ないためにMIRAIの販売規模も小さいが、現行型の2021年における登録台数は、1カ月平均で290台に達した。初代MIRAIの発売によって水素ステーションも増え始め、この影響もあって2代目MIRAIの売れ行きも伸びた。燃料電池車は小さな市場だが、そのなかでは車両と水素ステーションの増加が相乗効果を生み出し、両方とも徐々に増え始めている。

エンジンの否定はかえってCO2削減を困難にする

 その一方でトヨタは、水素エンジンを搭載するカローラも開発して、レースにも参戦している。水素エンジンは、水素と酸素を反応させて電気を取り出し、モーターを駆動する燃料電池車ではない。水素をガソリンのようにエンジン内部で燃焼させて駆動する。それでも燃焼させるのが水素になると、基本的には二酸化炭素を排出しない。

 トヨタが水素に注目する理由もこの点にある。「二酸化炭素を排出しない」という目的を達成できる技術は、エンジンを搭載しない電気自動車に限られないことだ。水素から電気を取り出す燃料電池車、さらに従来と同じエンジンでも、水素を燃焼させれば二酸化炭素の排出を抑えられる。

 最近は二酸化炭素の排出量を抑える手段であるはずの電気自動車が、目的にすり替わっている。エンジンを否定/廃止する考え方も多く見られる。この考え方に基づくと、二酸化炭素排出量を抑える目的の達成が、むしろ遠ざかってしまう。すべての車両が電気自動車になれば、電力供給に対する負荷も増えるからだ。さまざまなパワーユニットをバランス良く使い、偏りを避けることが必要になる。

 そうなると自動車メーカーも、さまざまなパワーユニットを用意せねばならない。良く聞かれる「選択と集中」には逆行するように思われるが、いずれも燃焼や電動化の技術だから、今までの知見はすべて応用できる。

 そして仮に水素エンジンの開発を進めれば、これを使ったハイブリッドやプラグインハイブリッドも当然に登場する。燃料電池車に加えて、水素エンジン車や水素エンジンを使った電動車も加われば、水素ステーションの活用も広がる。

 以上のように、トヨタが水素に注目して開発を進めるのは、自動車メーカーとして当然の成り行きだ。開発する以上は、世の中の注目を集めたり過酷な条件下で使うことも大切だから、レースにも参戦している。いずれも当然に行うべきことだろう。

 トヨタは1997年に初代プリウスを発売して以来、ハイブリッド車を積極的に手掛けてきた。2021年1〜6月におけるトヨタの国内新車販売状況を見ると、乗用車の40%をハイブリッド(少数のプラグインを含む)が占めた。

 ちなみに他社のハイブリッドには、マイルドタイプもあるが、今のトヨタが搭載するのは基本的にストロングタイプのみだ。従ってハイブリッド比率が40%であれば、燃費向上率も高い。