単なるスマッシュヒットじゃない! 売れ行き絶好調の「オーラ」が「日産復活」の鍵を握るワケ

わずか3週間で1万台を越えた!

 5ナンバーコンパクトハッチバックとなる、“日産ノート”の3ナンバーワイドボディ版として、“日産ノート オーラ(以下オーラ)”が6月15日に発表されてから、好調な販売が続いていることを販売現場で確認していたところ、日産自動車から次のようなニュースリリースが発信された。

 オーラは6月15日に発表されたが、正式発売は8月17日となっている。そして、正式発売から約3週間で累計受注台数が1万台を突破したというのである。この情報と同時にどんな仕様が売れているのかという情報も公表されている。Gグレードのみのモノグレード構成となっているが、FFと4WDがあるなかで売れ筋はFFで、しかもシート地などがレザーとなる、“レザーエディション”が全体の45%を占めているとのこと(4WDも加えると全体の70%を超えている)。

 また、メーカーオプションは、日産コネクトナビゲーション、プロパイロット、そしてBOSEパーソナルサウンドシステムがセットとなったもののみしか設定はないのだが、こちらの装着率が88%となっている。いまどきの日産車を買うのなら、プロパイロットは装着したいところだが、それにも増してBOSEシステムがやたら好評を博しているとのことである。

 ボディカラーは、結構バラバラとなっているのだが、ピュアホワイトパールの人気が高く、単色かスーパーブラックの2トーンが、オプションカラーとして選択可能となっている。

 以上の販売構成比を見てもらえばわかるのだが、とにかく豪華に“盛った”仕様がよく売れているのである。これは、行き場を失っていた、ティアナやシルフィなどの3ナンバーセダンユーザーのなかには、5ナンバーサイズのノートへのダウンサイズに抵抗があっても、「3ナンバーのオーラならいいかな」ということで乗り換えが進んでいることがあるようだ。また、従来輸入車に乗っていたひとたちからの乗り換えも目立っているとのこと。

 さらには、BEV(バッテリー電気自動車)のリーフには興味があるが、敷居の高い印象を持っていたひとが、「オーラなら」ということで、他メーカー車ユーザーが流れてきていることも人気を支えているようだ。

日産得意の「純EV」への乗り替えがスムースになる!

 そもそも、2010年に初代リーフが発売され、10年強にわたり本格量産BEVの発売を行ってきた日産系ディーラーだが、いくつかの店舗をまわると、BEV販売の敷居の高さによる量販の難しさをセールスマンが語ってくれることが多い。

 充電施設は増えてきているのだが、それなりにBEVも増えているので充電施設に先に充電している車両があれば、2時間とはいわないまでも結構な時間を充電に取られることになる。また、内燃機関車より日進月歩で技術の進化スピードが速いこともあり、リセールバリューはお世辞にもよくない。さらに直接関係はないのだが、猛暑や大寒波が到来すると、電力供給逼迫のニュースがメディアで取り上げられるので、「こんな状況下で政府はBEVを増やそうとしているが大丈夫なのか」といった筆者への問いかけは一般のひとだけでなく、新車ディーラーのセールスマンからも多い。

 そこでリーフと比べ、外部からの充電ではなく、発電用にガソリンエンジンを搭載するe-POWERは、“内燃機関車とBEVの間を結ぶ階段の踊り場的モデル”として購入するひとも多いようだ。しかし、いままでは、セレナやノートしかなかったが、オーラの登場で「それじゃ乗ってみるか」というひとが増えてきたといってもいいだろう。オーラのシステムとは異なる旧世代システムとなるキックスも、全幅1760㎜となる3ナンバーサイズのコンパクトクロスオーバーSUVとなり人気が高まっている。

 販売現場では、「燃費性能など実用性能では、トヨタさんのTHS(トヨタのハイブリッドシステム)にはかないませんが、トヨタさんにはないサイズと存在感を見せる電動車ということでオーラは人気が高まっているようです。電動車だからといって厳密に燃費などの性能にこだわるお客様は限定的となっているように見えます」とは現場のセールスマン。

 オーラは“プレミアム コンパクト”と銘打っているが、より格差社会が広がるなか、“プチ贅沢”が定着しつつあるコロナ禍、そしてその後の“WITHコロナ”へ向け、さらにオーラの路線を拡充して、日産以外の他メーカー車のユーザーだったひとも多く囲い込めれば、その後は、さらにブラッシュアップしたリーフなどのBEVへの乗り換え促進もできるので、将来的にはBEV販売への転換が容易になるともいえよう。

 トヨタは1997年の初代プリウス発売以来、ハイブリッド車を足掛け24年間販売してきているので、トヨタのハイブリッドシステムであるTHS自体へのファンや信頼を寄せるひとも多く、“ハイブリッドのトヨタ”というイメージが定着しすぎており、BEVへの販売転換となると、“BEVのトヨタ”とイメージを変えていくのも時間がかかりそうだし、相当な体力が必要となるかもしれない。