カーボンニュートラルが叫ばれるが……クルマは本当にそこまでCO2排出量を抑えなければならないのか?

この記事をまとめると

■日本における2019年度のCO2総排出量は11億8000万トン、うち運輸部門が18.6%

■運輸部門の内訳を見ると、86.1%を自動車が占める

■よってCO2削減で自家用乗用車の果たす役割は重要だと言える

CO2削減で自家用乗用車の果たす役割は重要だと言える

 このところ、カーボンニュートラルという言葉をネットやテレビで見かける機会が一気に増えた印象がある。

 カーボンニュートラルとは、人類が各種の活動によって排出するCO2(二酸化炭素)の量を、森林など自然界で吸収するCO2量と相殺するという考え方だ。

 そもそも、なぜCO2量が増えると困るのかというと、CO2を主体とする温室効果ガスと称される種類の気体によって地球の気温が上昇し、南極の氷河が溶ける速度が早まったり、また地球全体での気流の状況が変化することが異常気象の原因になるとの説が有力であるとの判断が、世界の主要国の間で主流だからだ。

 では、具体的にCO2排出量がどれほどなのか?

 国土交通省が2021年4月に公表した、日本における2019年度のCO2総排出量は11億8000万トンだ。

 内訳としては、もっとも多い34.7%が産業部門、ついで運輸部門の18.6%、業務・その他部門が17.4%、家庭部門が14.4%などとなっている。

 運輸部門を詳しく見てみると、全体の86.1%が自動車で、残りは航空が5.1%、内航海運が5.0%、そして鉄道が3.8%となり、自動車の存在が圧倒的に大きいことが分かる。

 また自動車のうち、約半数が自家用乗用車で、その半分弱が営業用貨物車や自家用貨物車になっている。

 つまり、CO2削減で自家用乗用車の果たす役割は重要だということになる。

政府や自動車メーカーはより丁寧な説明を行うべき

 こうしたなか、政府は2021年6月に「グリーン成長戦略」を最終的にとりまとめ、そのなかで乗用車については「2035年までに軽自動車を含めて新車100%を電動化」という目標を掲げた。

 ここでいう電動化は、マイルドハイブリッド、シリーズハイブリッドなど各種のハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV(電気自動車)、そして燃料電池車を含む。

 また、四輪と二輪の国内メーカーでつくる業界団体である日本自動車工業会は、豊田章男会長が定例記者会見で度々「CO2削減には、たんなる電動化のみならず、水素やeフューエル(合成燃料)を使った内燃機関を含めた総括的な研究開発と社会実装が必要だ」と強く訴えている。

 さらに、クルマ単体でのCO2排出量のみならず、電気を作るための資源となる天然ガスや原油の採掘、船などによる移動、車両部品の製造や車両の最終組立ての工場、そして新車販売後の二次利用や三次利用など、大きな意味での「クルマの一生」という視点である

 LCA(ライフサイクルアセスメント)としてCO2削減の議論が重要だとも言っている。

 昨今の電動化の議論は、欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)が掲げるグリーンニューディール政策のように、投資を中核とした経済政策という政治的な思惑が強く現れている印象が強く、そうしたトレンドに日本も大きく影響されている。

 そうした状況でユーザーが、クルマに対する電動化やCO2削減に関する各種報道を日常的に接するなかで「本当にクルマはそこまでCO2削減が必要なのか?」という疑問を持つことは自然なことだと思う。

 CO2削減について、政府、そして自動車メーカーはユーザーに対してより丁寧な説明を継続的に行うべきだと考える。