同じお金を払うならドッチが幸せ? 国産新車 vs 高級輸入車の中古を4番勝負で比べてみた

この記事をまとめると

■国産車の新車と高級輸入車の中古はどちらがお得か徹底比較

■1000万円クラスの高級車も中古なら数百万円で買える

■輸入車のネックは維持費だがそれを踏まえても買うべきかどうかを検証する

国産の新車と高級車の中古、「幸福度」はどっちが高い?

 仕事がないためヒマを持て余し、多摩川の河原をぼちぼち散歩していた私のアイフォーンがポポポーンと鳴った。

 見ればWEB CARTOPからの久々の依頼であり、「たとえばトヨタ RAV4と同額中古のレンジローバーなど、新車と中古車で同じような価格で購入できるモデルを比較し、どっちを選べば幸せになれるか検証せよ」との内容だった。

 ……仕事をくれるのはありがたいが、なんとまあ厄介な依頼をしてくれたものだ。これが「総額100万円で買える秋のおすすめ中古車5選!」みたいな原稿なら30分、いや15分もあれば書けるのだが、このお題の場合はそうもいかない。

 なぜならば、「クルマに対しての趣味嗜好や哲学」だけでも十人十色なのに、そこに「幸せ」という曖昧な概念も掛け合わされると、答えは一つだけでなく、それこそ幾億通りにもなってしまうからだ。

 とはいえヒマであり、原稿料も欲しいので、考えてみることにしよう。あくまで「私はこう感じる」という話にしかならないが、国産新車を買った場合と、それと同ジャンルでほぼ同価格だが格上の中古輸入車を買った場合との、「幸福度」の比較である。

 まずはお題の例にあった「新車のRAV4対中古のレンジローバー」。

 現行型トヨタ RAV4にはご存じのとおり2リッターガソリン車とハイブリッド車があるが、私は「Adventure」のビジュアルが好きなので、それを買うと仮定しよう。RAV4 Adventureは2リッターエンジン車にしか設定がなく、車両価格は331万円。それに基本的なオプション装備を付けて諸費用も合わせると、総額は385万円とのオンライン見積もりであった。まあキリの良いところで「新車のRAV4=380万円」としておこう。

 そして総額380万円で買える中古のレンジローバーは……現行型が買えればベストだが、さすがにこの予算では無理で、走行8万km以上のちょっとボロそうな個体でも総額600万円以上である。

 では先代のレンジローバー(2002〜2013年)ならどうかというと、こちらは逆に安すぎる。イメージとしては「走行9万kmぐらいのやつが総額230万円ぐらい」といった状況だ。

 まぁお安いのはありがたいが、そのあたりの中古車を仔細に見てみると、どうにもこうにも「破滅の予感」しかない。これはちょっと手を出さないほうが無難であろうと、中古車記者歴25年である私の本能が告げている。

 よって「新車のRAV4対中古のレンジローバー」はRAV4の不戦勝となったわけだが、これで終わらせるのもアレなので、他の候補も考えてみよう。

 同じランドローバーのSUVでも「レンジローバー イヴォーク」は……悪くはないが、明確な「格上」とは言えない気がする。

 では、「ちょっとだけ小さなレンジローバー」である「レンジローバー スポーツ」はどうだろうか?

 現行型はさすがに380万円では無理だが、先代(2005〜2013年)であれば、何台かが総額380万円付近で流通している。具体的には「2012年式の5リッター V8、走行距離は5万km」みたいな感じだ。これを、脳内で新車のトヨタRAV4と対決させてみよう。

 ……5分間ほど長考に入ると、答えはすぐに出た。

 新車のRAV4 Adventureの勝利である。

 純粋な動力性能は5リッターV8エンジンを積むレンジローバースポーツのほうが当然上であり、いわゆる「ブランドイメージ」みたいなものも、ランドローバーのほうが上ではあるかもしれない。

 だが5リッターV8のパワー&トルクを解き放ってこの巨体を激走させられるシチュエーションなど日本にはあまりない。仮に高速道路などで激走させても、「はは、バカが中古でイキってやがる。はは、捕まりゃいいのに」と、周囲のドライバーおよびパッセンジャーから嘲笑されるのみである。

 そして嘲笑されながら5リッター分の自動車税を払い、高級車(元高級車)ならではの修理代の高さにおびえて暮らすのは、「幸福」とはもっとも縁遠いライフスタイルであろう。

 いや、「それでも俺は先代レンジローバースポーツが好きなんじゃあ! 放っとけやボケ! アホ!」という人がいらっしゃるなら、そのエモーションはもちろん否定しない。ご自由になさればいい。ただ、「私は御免だけどね」という話である。

 まずは国産新車の1勝である。そして次へまいろう。「新車のトヨタ GR86対中古のポルシェ」である。

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 GR86のグレードは上から「RZ」「SZ」「RC」があり、RC以外には6速MTと6速ATの双方が用意されている。で、もしも私が新型86を買うならトランスミッションは6速MTで、グレードは大人の余裕をカマして「RZ」でいきたい。となると、基本的なオプションと諸費用を加えた支払総額は380万円ぐらいになる計算だ。

 総額380万円ほどで買える中古のポルシェは、まずは2代目ボクスター(2004〜2012年)だろうか。これの「2009年式で走行5万km」みたいなイメージの個体を、数は少ないが、だいたい総額380万円前後で探すことができる。

 また、ボクスターでは格上感が足りないと感じる場合は、天下の911をこの予算で見つけることも可能だ。当然ながら現行世代や、それに近い世代の911は380万円では無理で、探せるのは「おっさんずポルシェ」として名高い996型カレラ ティプトロニックS(1998〜2004年)の、しかも人気薄な前期型が中心となる。

 この2つ、すなわち2代目ボクスターPDKまたはおっさんずポルシェ(996カレラのオートマ)と、新車のGR86では、果たしてどちらがより幸せになれるのだろうか?

「それはもう新車のGR86の圧勝、秒殺でしょ?」と、多くの人は思うかもしれない。私も、当初はそう予想していた。

 だが長考に入ってみると、勝負はそう簡単ではなかった。中古ボクスターとおっさんずポルシェは、私の脳内で意外と健闘したのだ。

 引っ張っても仕方ないので結論を申し上げよう。おっさんずポルシェ軍団の勝ちである。

 最高速度とかは出す場所もないので知らないが、全般的な走行性能は、もしも快適性や利便性をも含めて考えるなら、86の圧勝だろう。運転支援システムについてはとくに86の秒殺勝利である。

 だがそれでも……「人生のある時期、ポルシェを所有する」というのは、自動車好きにとっては果てしのないロマンである。それがボクスターであっても、おっさんずポルシェ(996のオートマ)であったとしても、だ。

 そうであるがゆえに、ここはGR86および新型BRZの各種性能に敬意を表したうえで、「それでもポルシェは、存在もフィーリングも特別である」ということで、中古のポルシェを手に入れることを「幸福」と定義したいのだ。レンジローバースポーツの修理代にはメンタルがもたないが、ポルシェなら、耐えられそうな気もする。

 そしておっさんずポルシェ(996のオートマ)も、クソ安い中古車は破滅への道以外の何物でもないが、総額380万円も出すと、じつはけっこういいのが買えるのだ。

 気がつけば本稿も長くなってしまったので、あとはコンパクトにまとめよう。

 新車の日産ノート対中古のフォルクスワーゲンゴルフ(先代VII型)。これは、ノートにプロパイロットを付けると支払総額300万円級の戦いになるわけだが、「僅差でゴルフの勝利」である。

 インテリアのおしゃれ感はノートも決して負けておらず、日本の道路では中心となる低中速域では、ノートの走りもけっこうよろしいと感じる。だが、簡単に言ってしまえば「乗り心地」はゴルフ7のほうが圧倒的によろしいため、やはりここは「ゴルフのほうが幸せ」とするほかないのだ。総額300万円で、走行1万kmぐらいの末期型が買えるだろう。とはいえ私はノートも好きだ。「オーラ」のほうは、さらに好きだ。

国産快速ワゴンとアウトバーンが育てた欧州ワゴンが真っ向勝負!

 まぁ私の好き嫌いはどうでもいいとして、最後の勝負に移ろう。「新車のスバル レヴォーグ対 現行BMW 3シリーズツーリングの中古車」、総額450万円級の戦いである。

 これは過去に私の私物であるレヴォーグSTIスポーツと318iツーリングの広報車をみっちり比較試乗したうえで言うのだが、レヴォーグの勝ちである。レヴォーグのほうが、幸せになれる。

 いや走行性能と運転支援システムについては甲乙つけがたく、ブランドイメージは明らかに「ビーエム」のほうが上だろう。デザインも、まぁ3シリーズのほうがカッコいいと思う。

 だが日本の道路で使う限りにおいては、骨太でゴリゴリの重厚感がありすぎるBMW 3シリーズツーリングよりも、比較的軽やかなレヴォーグのほうが「向いている」のだ。それゆえ、シアワセな気分になれるのだ。

 ……まぁ以上はすべて私の勝手な意見に過ぎないわけだが、いずれにせよ全4戦となった今大会は、ぞれぞれ2勝2敗ずつという「引き分け」に終わった。

 10年ぐらい前、国産車の諸性能とデザインが――私に言わせれば――今ひとつショボかった時代なら、中古輸入車の4戦全勝に終わっていたような気がする。

 だが、ここ最近の国産車はすげえいいし、デザインもイケてるよな……というのが、昔は超絶輸入車党であった私の、偽らざる思いである。