触媒単体の盗難まで発生する事態に! いまクルマの触媒の価格が爆上げしている理由

この記事をまとめると

■触媒は自動車の排気ガスを浄化する装置のひとつ

■いま触媒が高騰していて盗難も発生している

■触媒が高騰している理由について解説する

プリウスがとくに狙われている!

 自動車の排気ガスを浄化する装置のひとつが触媒だ。クルマ好きなら一度は聴いたことがあるだろうし、下まわりを覗けば排気管の途中に付けられた触媒を簡単に見ることができる。エンジンから出た排気ガスはこの中でクリーン化されるのだが、この触媒が高騰している。

 あまりの高騰ぶりに触媒だけの盗難も発生しているほど。古いクルマは盗まれる心配はないと油断していると、触媒だけ抜かれてしまうこともあるので注意が必要だ。車両まるごと盗むよりも、下に潜って取り外せばいいので、時間も手間もかからないし、盗まれたことに気付かれにくいというのが拍車をかけている。

 とくに狙われているのが2代目あたりのプリウス。じつは最近の触媒はレアアース減に力を入れていて、パラジウムも以前ほどは使われていない。逆を言えば、2代目プリウスの頃は使用量が多く、しかもハイブリッドでは常に排ガス浄化していないので、劣化もあまりしていないことも盗まれやすい理由となっている。そのうえ、触媒と中古車価格が同じだったりするから、手間のかからない触媒はなおさら狙われやすい。

パラジウムの高騰が主な理由

 そもそも触媒がなぜそれほどまでに高いのかというと、中に使われているパラジウムという貴金属の高騰が主な理由。そのほかにもプラチナも使われているが、こちらも高騰しているとはいえ、パラジウムの比ではない。実際の相場価格を見てみると、1グラムあたり、5年前では2000円ぐらいだったのが、最近は8000円にまで上がっていて、まさに爆騰状態だ。触媒での使用量はサイズによって異なるので一概には言えないが、中古の触媒が20万円から30万円ぐらいで取引されている。

 なぜパラジウムが金以上の価格にまで高騰しているかというと、いくつかの理由があって、まずはディーゼル一辺倒で来た欧州がガソリンにシフトしたということがある。そのきっかけはVWのディーゼルでの不正がきっかけとされ、ガソリンエンジン用の触媒にはパラジウムが多く必要なために高騰を招いたとされる。

 もちろん希少性もあって、レアアースというと中国が独占というイメージがあるが、パラジウムは南アフリカとロシアの2カ国で産出量の約85%ぐらいを占めていて、もともと偏っていた。最近はアメリカとロシアが対立関係にあり、ロシアがパラジウムの輸出を絞っているのではないかとされ、事実ならばもちろん高騰の一因となる。また南アフリカの鉱山が豪雨で被害を受けたのも高騰に影響があった。

 触媒価格の高騰は、当然新車価格にも直結するだけに、今後の推移に注目する必要はある。ただ、今後はEVへのシフトも進むことから、需要が減ることも考えられるが、古めの触媒ですら一気に路上からいなくなるわけではないので、盗難はしばらく問題になりそう。また、バナジウムも含めたあらゆる素材が高騰しているだけに、触媒高騰はまだ続くのは確実だろう。