中古車が店から消えた! レンタカーが不足! 新車の納期遅延がもたらした驚きの余波

この記事をまとめると

■新車の納期遅延が販売現場だけでなくさまざまな範囲に影響を与え始めている

■程度のよい中古車が人気となり、中古車市場から認定中古車が姿を消しつつある

■レンタカーが代車として長期間使用されるために車両のやりくりが困難になっている

新車の販売現場だけでは収まらない納車遅延問題

 深刻さを増す半導体不足など、世界的なサプライチェーンの混乱。完成車生産の滞りにより、販売現場は深刻な新車の納期遅延に悩まされている。新車を購入したのに、人気車なら納車まで1年待ちも珍しくない。さらに、困っているのは購入者だけでなく、販売するセールスマンも受注したのはいいが、新車がなかなか来ないので新規登録しての納車ができず、販売マージンがもらえないために頭を悩ませている。

 今回のサプライチェーンの混乱は、すでに新車販売の世界を越えて影響を広げている。その際たるものが中古車販売市場だ。「いま新車を買っても1年近く待つのなら」と、いままで中古車に乗ったことがない人が、高年式で程度が良く選びやすい中古車に殺到しているのである。しかも、ディーラーが社有車として試乗車や代車などで持っていた車両の中古車に人気が集まっているというのである。しかし、そのような中古車はすでに奪い合いとなり、ウエブサイトへの掲載や展示場に並ぶこともなく売れてしまうとのことだ。

 ある輸入新車販売ディーラーの中古車展示場では、「実車を見る間もなく購入をまず決めてもらえないと、二度とその良質な中古車には巡り合えないでしょう」と語ってくれた。平時には、認定中古車というと、新車の未登録在庫からディーラーの社有車としてナンバープレートをつけ、短期間使用した後に認定中古車として展示場に並ぶケースが多かったが、頼みの新車の在庫がどこを探してもほとんど存在しない。それでもごく稀に「元ディーラー試乗車」なる高年式の中古車が出てくるが、まさに奪い合いとなるそうだ。

「ディーラーの社有車は自社工場でメンテナンスが行われていることもあり安心感があるようです。しかも、車内での禁煙や飲食禁止、走行距離も厳格に管理されているところもあります。そのため状態にバラつきがないので選びやすいともいえるでしょう」(事情通)。

新車の納車遅延がレンタカー業界にも直撃

 実際、いくつかの中古車展示場をまわったが、平時に比べると展示車両が少なめで閑散としているところも目立っていた。新車の納車が進まないと下取り車が中古車市場に放出されないこともあり、いま高年式で程度の良いクルマに乗っていれば、買い取り専業店などへ買い取りに出すと、程度の良い車両ほど平時よりは確実に高値で処分できるとのことである。このため、中古車専業店が自分のところで展示している中古車をオークションに出品して売りさばくこともあるとのことだ。

 ただし、登録から5年以上経過した中古車は在庫不足ということでもないようなので、新規登録から5年以内ぐらいの車両に人気が集中しているようである。

 さらに意外だったのがレンタカー業界。そもそも新型コロナウイルス感染拡大による行動自粛要請が全面解除となってから、出張などの業務やレジャーでレンタカーの需要が増していたのだが、今回のサプライチェーンの混乱がさらに状況を悪化させているとのことである。

 ある新車販売セールススタッフによると、「車両保険に入っていて事故により全損した場合、1カ月間保険会社で代車(レンタカー)を手配してもらえる特約があります。しかし、いまは深刻な新車の納期遅延だけでなく、中古車も良質なものほど不足しています。そのため、特例措置ではないですが、代車を1カ月以上乗る人も多いようで、事故代車として貸し出したレンタカーが戻ってこないようです」と話してくれた。

 そのため、レンタカーのなかでもよく借りられるクラスでは、車両が足りずに異なるクラスで空いている車両を貸し出すなど、やりくりに苦労しているようである。「予約なしで借りるのは難しいのでは」と前出セールスマンは語ってくれた。

 だんだん問題が広範囲に及んでいる。状況改善はますます長期化していきそうである。