STIなのにFFの衝撃! スバルにとって異例の「インプレッサSTI Sport」2WDモデルはアリなのか?

この記事をまとめると

■スバル・インプレッサスポーツには、上級グレードSTI Sportがラインアップされている

■そのなかにはFFの設定されている

■スポーティなグレード、かつAWDを強みとするスバル車であるにも関わらず、FFの必要はあるのかについて解説する

スバルはFFのパイオニアでもある

 2022年に誕生30周年を迎えるスバル・インプレッサ。5世代目となる現行型のインプレッサスポーツに、地味ながら貴重なグレードが存在する。それは、スバル車の歴史の中で「STI」の名がつく唯一のFF車、インプレッサスポーツのSTI Sportだ。

 スバルはAWDの販売比率が9割を超える特殊なメーカーで、とくにスポーツ性能を高めたSTI車は、台数限定/量産を問わずFRのBRZをのぞきすべてAWD。今のインプレッサスポーツにSTI Sportが追加されたとき、スバルのコアなファン界隈はFFを設定したことに驚き、おおいにザワついた。

 スバルは乗用車向けの四輪駆動車を販売するようになって50年の歴史をもつこともあり、古くから四駆メーカーのイメージが浸透しているものの、自動車づくり創世記のスバル1000や1300Gの時代はFF。四駆のパイオニアであるとともに、国産車としてはFFのパイオニアでもあるので、古参のファンなら「原点回帰」として頷ける話と言える。

 現行型インプレッサスポーツ/G4の後期型、追加グレードSTI Sportの開発をまとめた高津益夫さんによると、インプレッサスポーツのSTI SportにFFを設定したのは、より幅広い客層にSTI車の性能と乗り味を知ってもらいたいとの思いが込められているという。

 昔からずっとAWDに乗っているスバルファンは「AWDがスタンダード」と認識するなど感覚がマヒしているが、ごく一般的なドライバーの場合は、AWDは過剰な機構だと考える人が多い。

AWDにはないFFならではのフィーリングも!

 降雪地帯で暮らしていない人にとって、実用重視のハッチバック車はFFが普通。逆に選択肢にFFがなかったとしたら、その設定に戸惑う人は少なくなく、せっかく比較的低価格なインプレッサにSTI Sportを追加しても購入候補から外れてしまうリスクが多分にある。そこでインプレッサのSTI SportにはFFを導入したわけだ。

 もちろん、AWDにはないFFならではのフィーリングを味わってほしいとの思いもあるという。スバル車の場合、もともとAWDシステムが軽くフリクションが少ないこともあって、フィーリング面や燃費面でAWDとFFの差はあまりないのが特徴で、FFのメリットを活かしにくいところもある。

 とはいえ、FFとAWDの車重差は50kg程度あり、駆動フリクションはさらに小さいため、AWD車よりも軽快感が得られるなど、FFを選ぶメリットや価値は十分に備わる。

 ただし、燃費はそれほど変わらないので、経済性を重視する際は慎重に検討して欲しい。AWDとFFは価格差もそれほど大きくはないので、なんとなくAWDの方がお得だと思いながらAWD車に乗り続けているスバル車ユーザーも少なくない。

 インプレッサスポーツのSTI Sportから採用された新開発のショーワ製SFRDフロントダンパーは、路面から伝わる振動の周波数に応じて減衰力を自動調整。乗り心地と旋回性能の両立を高い次元ではかる工夫のひとつだ。旋回時には内側の前輪のグリップ感や駆動力の確かさが実感できる。

 “SUBARUのスポーツモデル用サスペンション開発の父”と呼べる存在、高津益夫さんをはじめとするSTIの職人たちが自信を持って仕上げた乗り味は、レヴォーグにも迫る高いレベルに達した。現行型インプレッサシリーズはデビューから早5年。次世代モデルのウワサもチラホラ出ているが、走りの質や動的質感の面においては現行型の熟成度合いは本当に素晴らしい。次世代モデルにはFFのSTI Sportが設定されるかどうかわからないので、スバルファンとしてはおおいに気になるクルマなのだ。