軽トラ&軽バンの王者がフルモデルチェンジ! ダイハツ・ハイゼット&アトレーが「わくわく」のるつぼだった

この記事をまとめると

◼︎ダイハツの軽バン&軽トラック「アトレー・ハイゼット」がフルモデルチェンジ

◼︎新開発のCVTや安全装備などを採用

◼︎充実の装備ながら低価格を実現

軽バン&トラックのパイオニアがフルモデルチェンジ!

 軽トラック/バンのトップ人気モデル、ダイハツのハイゼットがフルモデルチェンジを実施した。1960年に初代モデルがデビュー(バンは1961年〜)してから11世代目にあたり、その歴史はじつに61年と、軽トラック/バンでもっとも長い歴史を誇る。累計販売台数はざっと750万台。ダイハツは1957年からミゼットを販売しているので、軽自動車規格の商用貨物車の歴史は64年にも及ぶのだ。

 ハイゼットは、中小企業や零細な自営業者にとって絶対欠かせない廉価な自動車として幅広く愛され、日本の様々なビジネスシーンで重宝され続けてきた。昭和の時代の日本のモータリゼーションの真の立役者は乗用車ではなく軽トラック/バンと言われるが、ハイゼットはその中核を担ってきたといえる。日本の経済を支え続けてきた偉大な存在といってもいい。

 12月20日に行われた報道会見でも、社長の奥平総一郎さんは新型の開発にあたり、「これまで同様お客様に寄り添うこと。使われ方やニーズを確かめながら良品廉価であることを強く意識しました」と語り、コンセプトや思想にブレのないことを強調。同時に軽トラック/バンは労働人口減少や働き手の多様化、Eコマース需要など今の時代にマッチしたクルマでもあり、社会的な重要性の高まりへ対応する工夫も凝らしたことをアピールした。

 そんな新型ハイゼットの注目ポイントは、カーゴとアトレーに新世代プラットフォーム「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー/英: Daihatsu New Global Architecture)」を採用し、17年ぶりの全面刷新を行ったこと。商用車向けの「DNGA」は初登場ながら、合理化や軽量化、使い勝手の向上など、すべての分野を一括で企画開発することにより企画の推進や開発のスピードアップが図れたという。コロナ禍は新型車の開発にもネガティブな影響を及ぼすと言われるが、「DNGA」の採用により、むしろ開発の効率化が図れたようだ。

 さらに全車のATをFR向けの新開発CVTとするなど、軽トラック/バンとして大きく踏み込んだ内容が盛りだくさんとなっている。カーゴとアトレーはプラットフォームからすべてを刷新しているので、車体剛性の飛躍的な向上により、運動性能とコンフォート性は従来型比で別世界レベルに進化したことは間違いない。ATのCVT化は主に燃費性能の向上に寄与するが、静粛性と快適性の向上にも大きく貢献するという。

新開発CVTの採用など、機能面が充実しながらも低価格を実現

 軽自動車の場合、CVTは従来のATよりも大きく重くなりがちで、過積載で使われることが当たり前な軽トラック/バンでは耐久性の面でも難しさがある。今回、FRの軽トラック/バン向けのCVTを開発するにあたっても、ユニットの全高を従来のAT並みにするのが難しかったというが、オイルストレーナーの配置や機能を工夫することでこれを克服。従来のATより幅はやや大きくなったものの、それ以外は同じサイズに収めることができた。また、従来のFF向けCVTと異なり、リバース側だけベルトを介さない駆動としてアイドラギヤで逆転させ、リバースギヤを通して軸がすべて固定される構造を採用。駆動ベルトの負荷を低減させることで耐久性を向上させたという。

 CVTの変速フィールを嫌う人がよく指摘する「滑り感」についても「技術的に解消できた」とエンジニアは胸を張る。2022年度から小型貨物車に新しく適用される商用CAFE規制の基準値にも対応できている。

 さらに、軽トラック/バンとして初めて電子制御式4WDを採用。用途に応じたスイッチ操作で2WD/4WDオート/4WFロックの3モードが選択可能となっている。4WDオートモードでは、路面状況に合わせた最適な前後駆動力配分を行うことで滑りすい路面での走行安定性を確保。

 気になるバンの荷室容積については、従来型は車体を輪切りにすると台形型をしていたのに対し、真四角に近いスクエアな形状とすることで、上部の空間容積を拡大。リヤウインドウは昇降させるのをやめてレギュレーターの出っ張り部分をなくすなどして、内装の凸凹を徹底的に減らしたことも荷室の広さ拡大に寄与している。リヤウインドウをはめ殺しにした(換気用のポップアップ開閉は可能)のには賛否がわかれるが、おかげで荷室の広さはクラス最大となった(荷室長1915mm×荷室幅1410mm(4名乗車時)×荷室高1250mm)。荷室ナットの数は2倍に増やしてユーティリティ性を高めている。

 ちなみに、従来型は乗用登録だったアトレーは、拡大した積載量と積載スペースを最大限に活用するため4ナンバー(商用車)化されている。この点を残念がる声もあるようだが、労働人口減少や働き手の多様化、Eコマース需要など、今の時代に合わせた設定というわけだ。

 トラックのほうはラダーフレーム構造ということで車台はキャリーオーバーとなるが、荷台フロア長はクラスナンバーワンを誇る。ATは同じくCVTを初採用。従来型ではMT車のみに搭載されていたスーパーデフロックをCVTでも設定している。また、トラックの販売の約2割を占める大型キャビン採用の「ジャンボ」に廉価なスタンダードグレードが追加された。

 さらに、電動格納式ミラーやキーフリードア施錠システム&プッシュボタンスタート、バンの両側スライドドアイージークローザーを軽トラック/バンとして初めて採用している。

「スマートアシスト」の全車速追従機能付ACCとLKC(レーンキープコントロール)を採用するなど予防安全機能も充実。この内容で価格はほぼ据え置きというのも嬉しい。

 新型ハイゼットシリーズは、働くクルマとしてはもちろん、クルマ好きとしても純粋に興味を惹かれる内容が盛りだくさんなのである。