またも運転席は真ん中の3人乗り! マクラーレンF1を生み出したゴードン・マレーの最新作「T.50」の衝撃度

この記事をまとめると

■鬼才と呼ばれたゴードン・マレーのスーパーカー「T.50」の生産が間もなく開始される

■T.50はブラバムBT46Bと同様にリヤにアンダーボディの空気を排出するファンを備える

■シートレイアウトはマクラーレンF1と同じ1+2の3人乗りとなる

F1マシン開発で名をはしたゴードン・マレーのスーパーカー

 ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)社が、まもなく最新作となる「T.50」の本格的な生産を開始する。

 ゴードン・マレーの名は、F1のブラバムやマクラーレンのレースエンジニアとして1970年代から1980年代にかけて有名な存在だったが、その中でもとりわけ個性的なマシンといえたのは、ブラバム時代にクーリングファン(あくまでも第一機能はラジエターの冷却でアンダーボディの空気排出は副次的機能としていた)を採用してF1の世界を驚かせた「BT46B」だ。

 マレーはその後ブラバムからマクラーレンへと移籍。1988年にはホンダ製のV型6気筒エンジンと、アイルトン・セナ、そしてアラン・プロストというドライバーのラインアップを得て、マクラーレンにコンストラクターズ・チャンピオンシップを獲得させるために大いに貢献した。

 1990年まで3年連続での同タイトルをマクラーレンに獲得させたマレーは、翌1991年にはマクラーレン・カーズへと移籍。そこで現在でも20世紀最高のスーパースポーツ・カーと評価されることも多い、あの「マクラーレンF1」を生み出す。

 さらに2004年にはメルセデス・ベンツ、メルセデスAMGの両社とともに、「メルセデス・ベンツ・SLRマクラーレン」の開発にも参加。

 その後もマクラーレンを離れ、ライトカー・カンパニーの「ロケット」など、さまざまなプロジェクトに参画。2017年には自らの名を掲げたGMAを創立するに至っている。

 このGMAで企画、開発されたモデルが、2021年のグッドウッド・スピード・オブ・フェスティバルで走行シーンを初披露した「T.50」だ。そのネーミングは、マレーがデザイナーとしての活動を始めて2021年が50周年にあたることと、それがちょうど50作目にあたるモデルであることを意味するもの。

 過去を振り返れば、1993年に開催された第1回のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて、彼は前述のロケットを発表している。そこはマレーにとっても縁のある特別な舞台だったのだ。

かつて手がけたマシンの機能を採用したスーパーカー「T.50」

 T.50のメカニズムに迫ってみよう。エクステリアデザインは、もちろんエアロダイナミクスの極致ともいうべきもので、そこにはやはりマクラーレンとの共通項を見出すこともできる。

 ボディサイズは全長×全幅×全高で4352×1850×1164mm。現代のスーパースポーツとしてはコンパクトな数字といえるだろう。基本構造体はもちろんカーボン製のモノコック。したがって車重はわずかに986kgしかない。

 最大の特徴といえるのは、もちろんリヤに備えられる400mm径のファンで、これは正確には「ファン・インタラクティブ・エアロシステム」と呼ばれる。走行中にアンダーボディを通過してきた空気をさらに加速して排出し、同時に左右ツインのリアスポイラーを作動させることで空気効率を最適化する。

 ちなみにそのモードは2タイプのオートマチックと、ドライバーが選択できる4タイプが設定されている。もっとも大きなダウンフォースを得るモードでは、スタンダードな設定と比較してその数値は50%増にも達するという。

 ミッドに搭載されるエンジンは、コスワースから供給を受ける3.9リッターV型12気筒自然吸気。注目の最高出力&最大トルクは663馬力&467Nmとされるが、驚くべきは最高出力の発生回転数。それはじつに1万1500rpmという数字で、レブリミットは1万2100rpmという高回転型だ。アルミニウム製のエンジンブロックを始め、チタン製のコンロッドやバルブなどの軽量化も徹底されており、エンジン自体の単体重量は178kgが達成されている。

 これもまた妥協を許さないマレーの仕事、まさにあのマクラーレンF1が30年の時を超え、21世紀に復活を遂げたかのような印象である。

 組み合わせられるミッションは、オーソドックスな3ペダル&Hパターンの6速MT。ドライバーズシートをコクピットのセンターにレイアウトし、斜め後方に2名分のパッセンジャーシートを装備するのも、マクラーレンF1という前例に等しい。

 ブレーキはフロントに6ピストン、リヤに4ピストンのブレンボ製モノブロック・キャリパーを装備。ディスクも同様にブレンボ製で、径は各々370mm、340mmのカーボンセラミック製となる。また、ブレーキング時には、ブレーキモードを選択しておくことで、リヤのファンやスポイラーとの協調制御で、約240km/hからの完全停止までの距離を約10m短縮することも可能となる。

 GMAではさらに、このT.50をベースとしたサーキット走行専用モデルの「T.50・ニキ・ラウダ」を25台限定生産するプロジェクトも進行中だ。

 そもそも100台という限定数を掲げてすでに完売したとされるT.50。さらにハイパフォーマンス化が図られ、希少性の高いニキ・ラウダもまた瞬時にソールドアウトしている可能性は高いだろう。ちなみにこのモデルが発表された2月22日は、ラウダの誕生日にほかならなかった。