日本人に「セダンは不人気」とは言い切れない! 着実に「売っている」メーカーとは

この記事をまとめると

■セダンが売れていないと言われているが実際のところそうでもない

■輸入車メーカーのセダンはよく売れており、あまり不況ではないようだ

■じつはレクサスも着実にシェアを伸ばしている

セダンが不況……なのは日本だけ!?

 SUVがこれだけ国内に定着してしまうと、スポーツカーのような趣味性の高いクルマはともかく、いわゆる「セダン」が生き残る余地は残されていないような気がします。ところがどっこい、日本国内においてドイツ製セダンだけはしっかり売れているのです。国産セダンは壊滅的、アメリカ車やドイツ以外の欧州セダンだっているのかいないのかわからないような状況なのに、ドイツ製セダンだけは売れているのです。

 ぶっちゃけるまでもなく、売れているのはツートップ、すなわちメルセデス・ベンツとBMWで、読者諸兄のお察し通り。彼らとてSUVを売りまくっているのですが、だからといってセダンが沈み込んでいるというわけではなく、純粋に総販売台数が増えているウハウハな状況、というわけ。

 これ、さまざまな理由があげられると思いますが、端的には「生涯顧客率が圧倒的に高い」ことにほかなりません。生涯顧客とは、現在乗っているメーカーを次も購入するか、さらにその次も購入するかという質問に「イエス!」と声高にこたえるユーザーのこと。つまり、メルセデスに乗ったら死ぬまでメルセデス! ってお客さんですね。

 BMWなんかは「生涯顧客」を増やすための施策としてサービスフリーウェイや残価設定ローン(買い替える際、BMWにすれば下取りが有利、といった宣伝文句)をいち早く導入(始めた頃は、歓迎できない副産物として中古車がだぶついて、ブランド価値に影が差すこともありましたっけ)。

 こうした顧客の囲い込みこそ生涯顧客を生み出す方程式でしょう。

クルマ以外にも魅力があるからセダンでも売れる

 もっとも、こうした生涯顧客はドイツ製セダンの「性能」や「安全性」を統合した「ブランド」が生み出すものと考えがちですが、一方でディーラーやセールスマンのたゆまざるサービスも欠かせないファクター。笑顔のまぶしいセールスマンが、それこそ下にも置かないおもてなしをしてくれたら、クルマそのものの満足度もアップしてしまうのです。ウソだと思うなら、ヤナセやMBJのトップセールスマンと5分でいいから話してみましょう。いつの間にかポケットから印鑑だそうとしている自分に気づくはずです。

 当然、ドイツ製セダンが購入できる層は高級SUVにも手を出していますが、これはセカンドカーやファミリーユースといっていいでしょう。買い替え、というより買い足しなので、セダンを手放してまでSUVに乗り換えるというのはレアケースではないでしょうか。前述のトップセールスマンが、ある得意先をフルサイズSUVで訪問したところ、お客様が興味津々。さてはセダンから買い替えか、と頭の中で下取り計算をし始めると「駐車場に入るなら、それ置いてけ」とあっさり購入された、なんてエピソードもあるくらいですからね。

 ちなみに、ドイツのツートップ以外にもロールスロイスやベントレーといった高級セダンをリリースしているメーカーも売り上げを伸ばしていますが、こちらはズバリSUV人気でしょう。セダンについては(少量ながらも)新車が出るたびに無条件で購入している生涯顧客がいるので、浮き沈みは少ないようです。

 もちろん、国産セダンに生涯顧客がいないわけではありません。ドイツのツートップに迫らんとしているのが、ご存じレクサス。国産メーカーでセダンの売り上げが落ち込んでいない稀有な存在といえるでしょう。レクサスは2005年から国内販売を開始しているので生涯顧客の獲得時間がツートップより少ないだけ。ディーラーの雰囲気やセールスマンの出来の良さは抜群なので、ツートップに追いつくのも時間の問題といえるでしょう。

 とはいえ、メルセデス・ベンツ&BMWだってその場で足踏みをしているわけではありませんから、ここしばらくツートップ堅持という状況は変わらないことでしょう。それにしても、国産セダンがバブル期のように隆盛を取り戻してくれる日はいつになったら訪れてくれるのでしょうね。