【試乗】2ドアの「90」は悪路で圧巻の走破性! 「110」のディーゼルは上質さ最高! ランドローバー・ディフェンダーの魅力が驚異的だった

この記事をまとめると

■ディフェンダーに2ドアモデルの「90」登場と「110」に3リッター直6ディーゼルを追加

■ディーゼルエンジンの出来栄えはよく、上質な走りを実現

■「90」は非常に実用的で山岳地帯をいきいきと走れる生活密着型の扱いやすさ

2ドアの「90」、110から「3リッター直6ディーゼル」が登場

 昨年登場するやSUV市場において大きな存在感を示しているのが、イギリス・ランドローバー社の新型ディフェンダーだ。ディフェンダーは、もともとオフロードに強いモデルとして70年もの歴史がある。

 ランドローバー社にはラインアップとしてラグジュアリーセグメントの「レンジローバー」、レジャーセグメントで「ディスカバリー」があり、そして「ディフェンダー」はデュアルパーパスとして位置付けられており、頑強性、ファンクショナル、実践、オフロードエキスパートといったイメージにカテゴライズされている。

 2020年7月にまず5ドアロングホイールベースの「110」(2リッターガソリンターボエンジンモデル)が登場し、その独創的なスタイリングや圧倒的な走行性能で一躍注目を浴びているわけだが、今年になってショートホイールベースの「90」、そして110には、待望の3リッター直6ディーゼルターボエンジンを搭載した仕様が追加され、さらに注目度を高めている。

「110」、「90」というのはもとはホイールベースの長さを表していた。つまり、90はホイールベースが90インチであり、また110はホイールベースが110インチであったということだ。だが、現代に蘇ったこの最新モデルのディフェンダーのホイールベースはもちろんその90インチや110インチにはなっていない。1インチを25.4mmとして計算すると90は2286mm、110は2794mmとなり、新型ディフェンダーの90のホイールベースは2585mm、110では3020mmとなっていて、「90」「110」といった数字はもはやホイールベースを表したものではなく、単純にクルマのネーミングとして採用されているものだ。

 90の最大の特徴は2ドアとなっていることで、110の荷室部分を切り取ったかのようなデザイン性が特徴である。一方、今回110に追加されたディーゼルエンジンは3リッター直列6気筒のDOHCターボで、最高出力300馬力を4000rpmで発揮し、最大トルク650Nmは1500〜2500rpmというレンジで発揮するパワースペックとなっている。

 このディーゼルエンジンには48Vのマイルドハイブリッドシステムが採用されており、駆動はジェネレーターモーターBISG(ベルトインテグレーテッドスタータージェネレーター)によって発進時などにアシストをするようになっている。では早速試乗してみることにしよう。

最大の注目は何と言ってもディーゼルエンジンの出来栄え

 まずはオンロードでディーゼルの「110X」を試す。「Xグレード」は、今回登場したアッパーグレードの高級仕様となっていて、室内の作りはラグジュアリーブランドのレンジローバーに匹敵するような高級感に溢れている。

 だが、最大の注目は何といってもこのディーゼルエンジンの出来栄えにある。エンジンをスタートすると直列6気筒のディーゼルエンジンはジェネレータースターターモーターにより直ちに始動を開始し、アイドリングは極めてスムースで音も静かである。ボンネットまわりの遮音性に優れていて車外騒音も低く抑えられ、一般的な「3リッター直6のディーゼル」といったノイジーな印象はまったく受けない。もちろん音質的にはディーゼルのサウンドではあるが、「ガラガラ」とやかましいものではなく、どことなく上品な低音の迫力あるアイドリング音となっている。

 走り出すとまず低速トルクの豊かさに驚かされる。もともとディーゼルは低回転からトルクが大きく発揮され、さらにターボチャージャーで過給されているので充分なパワーを発揮できるものだが、それに加えてBISGでパワーアシストされることにより、よりスムースで力強い発進加速性能を誇っている。

 また、変速も極めてスムースで8速のオートマチックトランスミッションを搭載しているが、変速時にもBISGによってトルク変動が抑えられているようで、ツインクラッチDCTのように滑らかで瞬時の変速が可能だった。加速性能は素晴らしく2420kgある車体の重さをまったく感じさせないストレスフリーな走りを体感できる。微低速域から高速域まであらゆる速度域で、6気筒らしいスムースな回転フィールと力強い加速によって、オンロードでの上質な走りを実現していた。

 室内はもちろん静かで快適だ。2リッター直4ガソリンターボエンジンの110と比べれば、エンジン音だけでなく加速のスムースさ、力強さ、上質感などで大きく上まわっていることが体感できるだろう。

 価格は1000万円を超えるものとなり、レンジローバーにも届きそうな価格帯となってくるが、それに見合った価値は充分に与えられている。

 一方、今回からデリバリーが開始された90は、従来通り2リッター直4ガソリンターボエンジンが搭載されている。2リッター直4ガソリンエンジンを搭載することで車両重量が抑えられ、ショートホイールベースで軽量かつコンパクトな車体パッケージングで2100kgという車両重量は、110Xのディーゼルから乗り比べると相当に軽く軽快に感じられる。とはいえ、車幅は1995mmとほぼ2mあルカら110モデルと変わりない。全長が4510mmでこちらは400mm以上縮められていて、外観的には非常にコンパクトな印象となっている。

 90はショートホイールベースとなったことで、よりオフロード性能が向上したと考えられる。110もそうだがオフロード走行の重要な指標となるアプローチアングルやデパーチャーアングルは、アプローチアングルが37.5度、デパーチャーアングルは40度と大きく取られ、それは110も90も共通している。

 一方、踏破性を判断する指標となるランプブレイクオーバーアングルについては、110は27.8度だが、90は31度とこちらも大きく取られていて、より悪路での走破性が高いということが数値的にも理解できるのだ。実際にこの90で悪路の特設コースを走ってみることにしよう。

「90」は山岳地帯をいきいきと走れる生活密着型の扱いやすさ

 まずは日本国内に多くあるような幅の狭い林道を走る。雨でぬかるんだ路面、そして岩の突き出た路面、さらに草が生い茂り滑りやすい路面なども組み合わされた難しいコンディションだが、90はまるで普通の道を走っているかのようにまったく何事もなく走破してしまう。ステアリングにキックバックが起こらず、ドライバーはただ四方の路面状態や草木などに車体を擦らないよう注意するだけで、トラクションコントロールはすべて機械が適切に行ってくれる。インストルメントパネルの中央に設置された液晶タッチモニターからドライブモードでオフロードを選択すれば、センターデフやリヤデフのロッキングについてもオートマチックに機能させられ、ドライバーはただハンドル操作、アクセル、ブレーキだけに集中していればいい。

 こうした悪路ではクルマの周囲の状況を直接目で見ることが重要だが、実際に窓を開けて外を見ても、右ハンドル車の場合、左前方や斜め後方などタイヤ周辺の状況を直接目で見ることは難しいだろう。だが、今回のディフェンダーにはクリアサイトグランドビューと呼ばれる前方カメラを利用した3次元で見られる仮想的な表示が採用され、前輪の周囲やエンジンの下など、まるでボンネットが透明になったかのようにモニターを通じて路面状況を視認することができるようになった。また、従来からある360度のアラウンドビューモニターも大画面で表示されるので狭い山道でも安心感がある。

 車幅が2mの車体ながら、短いホイールベースの効果により最小回転半径はわずか5.3mで、こうした林道のような狭い道でもまるでコンパクトカーであるかのように小まわりが利き、切り返すことなく難コースを走破することができた。その取りまわし性の良さは、視認性に優れていることと相まって、90の悪路適応性の高さを示しているのだった。

 次に、さらに難しいコースにチャレンジする。泥がぬかるんだ泥濘路において、30cmから40cmほどの深いため池を利用して渡河性能を試すことができた。ディフェンダーは最大渡河性能が900mmと大きく確保されていて、30cm程度の水深では何事も無いように走破してしまう。

 今回のディフェンダーにはウェイドセンシングと呼ばれる水深を測る機能も装備されており、サイドミラーの中にあるセンサーで水面の反射を利用して渡河水深を計測してモニター内に表示することができる。これで水の深さを知ることが可能となり、濁った水で水底が見えないような沼地でも走りきることができる。

 その踏破性の高さは圧倒的だ。最大発進傾斜角は45度で、立つことも不可能なほどのきつい傾斜角でもディフェンダーは登っていくことができる。その屋台骨となる車体の骨格は、非常にタフなボディ剛性が与えられていて、オフロード車の一般的なラダーフレーム車の3倍ものねじり剛性が実現されている。ディフェンダーに採用されているボディは「D7Xアーキテクチャー」と呼ばれる最新のもので、さまざまな過酷な耐久試験をクリアして採用に至っているのだ。70年間の歴史を感じさせ、ディフェンダーの名をさらに高めるものとして完成させられているといえる。

 90のベーシックなモデルは551万円からという価格設定で、ホイールはスチール製のホワイトにペインティングされた、かつてのディフェンダーを彷彿とさせるものだが、これが非常によくマッチングしていた。また、さまざまなオプションパッケージプランも提案されているので、自分好みの1台に仕上げることができる。そうしたパッケージオプション群は、悪路を知り尽くしたランドローバー社だからこその実用的かつ高性能なものばかりで、選ぶことも楽しみのひとつとなっているといえるだろう。

 今回の試乗で直6ディーゼルの110と、2リッター直4ガソリンターボエンジンの90を乗り比べることができたわけだが、重厚さと高級感のある110に対して、90は非常に実用的で山岳地帯をいきいきと走れる生活密着型の扱いやすさが魅力となっていることがわかった。

 90と直6ディーゼルエンジンの登場で、ディフェンダーシリーズはさらに高い人気とユーザーからの支持を得ることになると確信することができた。