新車は本当に人生最後になるかも知れない! いま味わわないと手遅れになる「純ガソリンエンジン」車4選+α

この記事をまとめると

■ガソリン車が消滅する可能性が否定できない今、買っておきたいクルマを紹介

■ハイブリッドなどが増えた今でもガソリンエンジン車はまだまだ販売されている

■楽しいエンジンが載ったバイクを選ぶのも手だろう

最後にガソリンエンジンを楽しむなら、今なにを選ぶべき?

 人生最後に乗る(持つ)クルマの理想、というお題はある程度年齢のいったクルマ好きが集まると盛り上がるテーマのひとつ。とくに電動化が進んでいる情勢のなかで、「人生最後の純ガソリン車」にどんなクルマを選ぶか、というテーマで考えることも増えているようだ。

 そうなると「やっぱりポルシェだ」、「最後に選ぶのはフェラーリだ」といった夢を語りたくなるものだが、ふと現実に引き戻されれば虚しくなるのも事実。なにしろ日本は「失われた30年」と言われるほど経済成長をほとんどしておらず、平均年収は450万円足らず、中央値は400万円以下となっている。

 そうなると、いくら最後のガソリンエンジン車だから奮発しようと思っても、限界はあるだろう。というわけで、ここでは「人生最後の純ガソリン車」にふさわしい国産車を、2022年5月時点で販売されているモデルから選んでみようと思う。

 まず、注目したいのはホンダ・シビックだ。すでにタイプRのプロトタイプやハイブリッドの追加もアナウンスされているが、1.5リッターターボを積んでいる現行モデル「FL1」型には6速MTが用意され、エンジンパフォーマンスを引き出して走る楽しさがある。

 ターボエンジンといっても、まったくドッカン的なテイストはなく、むしろ上質なNAエンジンのようなリニアリティがある仕上がりになっている。そのため、6速MTを駆使して回転をあわせながら走らせるという楽しみ方ができる。

 最大トルクは240Nmもあるため、高いギヤのまま再加速するといったズボラな運転にも対応してくれる。「MTだから日常的にもキコキコと操作が必要で忙しない」ということもないのが、高レスポンスターボ+MTのメリットだ。そんないいところが存分に味わえるのがシビックなのである。

 エントリーグレードの価格が319万円と聞くと高価に思えるが、先進運転支援システム「ホンダセンシング」やホンダコネクト対応カーナビは標準装備。乗り出し価格で考えると、それなりに現実味を帯びてくる純ガソリンエンジン車だ。

 とはいえ、やっぱり人生最後のガソリンエンジンはNA(自然吸気)を味わいたいという意見もあるだろう。そうした人におすすめしたいのがトヨタGR86/スバルBRZだ。専用開発といっても過言ではない「FA24」型エンジンの最高出力は173kW(235馬力)、発生回転は7000rpm。いまどきの環境性能・騒音規制を考えるとギリギリの高回転型エンジンという見方もできる。最大トルクは250Nm、十分に余裕を感じたドライブも可能となっている。

 さて、GR86/BRZのトランスミッションは6速MTと6速ATのふたつが用意されている。先進安全装備「アイサイト」はATにしか設定されないという点を考慮しても、最後のガソリンエンジン車として味わうのであれば、MTをおすすめしたい。

 なぜなら、MTとATで最終減速比が異なるからだ。具体的には、MTのほうがローギヤードなこともあって、エンジンを使い切る楽しさを味わいやすい。専用スピーカーからエンジン回転数に応じた電子サウンドを再生する「アクティブサウンドコントロール」機能により、エンジンとの対話をしている気分も盛り上がるというものだ。

 そうしたおかげもあって、MTを運転する醍醐味のひとつであるヒール&トゥが決まりやすいのもGR86/BRZのチャームポイント。人生最後のガソリンエンジンに水平対向を選ぶというのもオツかもしれない。GR86が279万9000円〜、BRZは308万円〜という価格帯は、平均的な収入であっても無理をすれば届きそうに思えるが、どうだろうか。

まだまだ元気だぞ国産ガソリンエンジン車!

 おなじく6速トランスミッションと4気筒エンジンの国産FRモデルとして忘れられないのがマツダ・ロードスターだが、ここではあえてATで楽しく走れる2リッターエンジンを積むロードスターRFをピックアップしてみよう。

 エンジンスペックは最高出力135kW(184馬力)、最大トルク205Nmと平凡で、実際に運転してみてもFRスポーツカーと呼ぶにはもうひとつパンチが足りないと思うかもしれないが、ドライブセレクション(ドライブモード変更機構)でSPORTを選べば、かなりダイレクトにエンジン性能を右足でコントロールしている感触が高まってくる。

 現行ロードスターにはコーナリング中の姿勢を制御することで人馬一体感を強める「KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)」という制御が入っているが、コーナリング中にクルマとの対話を味わいたいならば微妙なステアリング操作が必須で、そのためには両手でステアリングホイールを保持し続けることのできるATのほうが、むしろ純度が上がるという印象さえある。

 最後のガソリンエンジン車として、エンジンだけに注目するのではなく、車両全体としての一体感を重視するのであれば、エンジン出力に余裕のあるロードスターRFをおすすめしたい。ちなみに、ATグレードのスターティングプライスは348万9200円となっている。

 ここまで日本の平均年収を考慮して、市民感覚でも手の届きそうな300万円台の純ガソリンエンジン車を紹介してきたが、もう少し予算的に頑張れるという方におすすめしたいのがレクサスIS350だ。

 ISといえば、ほとんどがハイブリッドとなっているが、唯一のガソリンエンジン車がIS350だ。そして、このグレードが搭載するエンジンは「2GR-FKS」型で、8速ATと組み合わせられている。

 2GR-FKS型は、2005年にレクサスの日本展開にあわせて導入された2GR系エンジンの最終進化形ともいえる排気量3456ccのV型6気筒エンジン。IS350のスペックを見ると最高出力234kW(318馬力)、最大トルク380Nmとなっている。

 数字の上でも十分なパフォーマンスが期待できるが、このエンジンの美点は絶妙な回転フィールにある。かつてクラウンに搭載されていたとは思えないほどシュンと吹き上がる様は、期待をはるかに上まわるもので、まさに奇跡の名機と呼びたくなる仕上がりだ。

 IS350は「F SPORT」だけのモノグレード構成で、価格は650万円。簡単に手が届くとは言い難いが、その内容を考えれば十分にバーゲンプライスであり、最後の純ガソリンエンジン車として無理をして手に入れても後悔はないだろう。

 ところで、ガソリンエンジンを存分に味わいたいというのであれば、バイクという選択も考えてみるといいだろう。

 四輪では考えられないほどの高回転エンジンは数多く、エンジンと一体になっている感覚は四輪の何倍もの濃度で味わえる。快適性とはほど遠い乗り物だが、エンジンの熱をダイレクトに感じることができるというのはバイクだけの特権といえる。

 筆者はそうした思いもあって、人生最後に味わうガソリンエンジンの乗り物として、ホンダのリッタースーパースポーツ「CBR1000RR-R FIREBLADE」を購入した。総排気量999cc、最高出力160kW(218馬力)というスペックは、市販バイクとしては最高峰といえるものだが、エントリーグレードの価格は242万円。

 バイクとしては強烈に高価だが、「250万円以下で、カテゴリーにおける最高峰のエンジンを買える」と思えば、非常にリーズナブルといえる。

 普通二輪免許しか持っていないのであれば250ccクラスで4気筒エンジンを積んだ「カワサキNinja ZX-25R」に注目したい。まさにエンジンを味わうためのモデルで、スターティングプライスは84万7000円。

 最後の純ガソリンエンジンを楽しむという経の験ための投資として考えれば、納得できる価格ではないだろうか。