【試乗】タフギアのエクストレイルにe-POWERってアリ? と思ったらアリだった! 新型に乗ったらタフな上に上質までプラスして死角はほぼナシ

この記事をまとめると

■4代目となるエクストレイルが登場した

■e-POWERに新開発のエンジンを組み合わせている

■コンパクトSUVのキックスに4WDモデルが追加された

ついに登場した4代目エクストレイルを早速試乗!

 アリア、サクラ、フェアレディZと、今年は次々に新型車の話題が出てくる日産。

 その勢いは留まるところを知らず、次なる話題は4代目となるエクストレイルである。『NO LIMIT、タフギア』をコンセプトに2000年〜2006年まで販売されてヒットした初代T30型。キープコンセプトで2007年〜2012年まで売られた2代目T31型。タフギアであることに加え、アーバンSUV色、そしてプロパイロットを盛り込んだ3代目のT32型は2013年〜2021年までのロングセールスを記録。それを受けての4代目は、先代のコンセプトに上質であることを加えようとしている。

 エクステリアは先代よりもスクエアなシルエットとなり、そこにフロント&リヤの立体感あるディテールを加えたところが目新しい。上下2段になったヘッドライトまわり、日本伝統の切子パターンをあしらい、サイドまでテールレンズをまわり込ませたテールランプはかなりのインパクトを与えながらも、上質さは明らかに高まった感覚がある。全幅は先代比+20mmとなる1840mm、全高は−20mmの1720mm、全長は−30mmとなる4660mmとなった。

 インテリアを見れば12.3インチのナビと、これまた12.3インチのフルTFTメーターが近年の日産車と共通する感覚を伝えてくる。だが、それで終わらず10.8インチ相当の大型ヘッドアップディスプレイを持ち、さらに視認性を豊かにしているところも特徴的だ。さらに最上級グレードであるGでは、オプションにタンカラーのナッパレザーを準備するなど、上質に対する姿勢は抜かりない。ドアの閉まり音もまた一段高まった感覚だ。エクストレイルが次のステージへ移行しようとしていることが肌で伝わってくる感覚がある。

 ポイントとなる技術は、アライアンスを組む三菱がアウトランダーPHEVに採用したものと同じ新型プラットフォーム、アリアにも採用されるという4駆システムのe-4ORCE、そして可変圧縮比を可能とするVCターボエンジンを発電機とし、モーターで走る世界初登場のe-POWERだ。さて、それらをミックスした新型はどう走るのか?

e-POWERとVCターボエンジンの組み合わせは秀逸!

 モーター駆動で静かに動き出し、スタート地点となるテストコースへと合流する。

 そこまでの静けさは当然ながらかなりのもので、外界からシャットアウトされたかのような空間が広がっている。スタートから少しグッとアクセルを踏み込むと、エンジンが目覚める。このVCターボエンジンは3気筒であるから、振動も音も来るだろうと構えていたのだが、それがまったく気にならない。

 エンジンが遠くにいるかのような感覚を持つほど静粛性に優れている。回転だけが一気に吹き上がるようなことはなく、車速に応じて回転数が上がるリニアさを持つ。常用域は高圧縮比低回転で動かし、加速時には低圧縮比、ハイブーストで動くという複雑な機構だが、それをまるで感じさせないスムースさも嬉しい。また、モーター最高出力はフロント150kW/300Nm、リヤ100kW/195Nmを誇るだけに、リヤからもしっかりとアシストされ、減速側ではピッチングも少なくフラットライドを可能としているところも好感触。正直に言えばEVのような目覚めるようなパンチではないが、程よく豊かに仕上がった加速感だと思えた。

 唯一気になるというか独特だと感じたのはe-Pedal stepのフィーリングだった。これはe-POWER初となるエネルギー回生+ブレーキ協調制御が行われるもので、最大0.2Gの減速度を発生させるのだが、その際にブレーキペダルが奥へと引き込まれるのだ。完全停止までは行われず最終的にはフットブレーキを踏む必要があるほか、制動力が足らなければこれまたフットブレーキを踏む必要があるのだが、その際に普段はあるはずのブレーキペダルが奥に行っていて、”いない”と感じてしまうため、若干の慣れを必要とする。もちろん、そのシステムはスイッチで解除し、普通のクルマと同じようにもなるのだが、できたら減速はして良いけれど、ペダルは元の位置にいて欲しいというのが個人的な感想だった。

 シャシーは旧型に比べて車体剛性40%、サスペンション剛性55%、リヤスタビリティ10%、ステアリング剛性50%アップというだけあって、懐豊かに駆け抜ける感覚がある。荒れた路面を上手くいなしながら駆け抜けて行く感覚はなかなか。

 今回はもっとも奢ったオーテックの20インチタイヤ&7人乗り仕様と18インチ&5人乗り仕様に乗ったが(ともにサスペンションセッティングは共通)、20インチ&7人乗りはピッチやロールの大きさ、そしてうねった路面の収まりはやや悪くなるものの、重厚さがありラグジュアリーな雰囲気に。

 18インチ&5人乗り仕様は軽快さが際立つ動きを展開したスッキリとした乗り味が特徴的だった。18インチは今まで通りのタフギア方向、19インチ(試していないのでわからないが)と20インチは上質方向なのかもしれない。

 ポイントとなるe-4ORCEは、各車輪のグリップ限界、つまりは摩擦円理論をもとに、ぞれに合わせた駆動力をモーターとブレーキで振り分けているところは三菱のS-AWCと同様の動きだ。コーナーリングする様はまさに兄弟と言った雰囲気があり、少ない操舵角でグイグイ曲げられて行く感覚がある。三菱のそれよりは若干リヤを安定方向としている。また、パワーステアリングの設定も特徴があった。それは砂地であってもセルフアライニングトルクをしっかりと生み出したいと、強めにしたことだ。やはり悪路もこなすタフギアであることを忘れてはいないようだ。

 このように、コンセプトどおり、かつての世界に上質さを加えたということが確かに伝わってきた新生エクストレイルは、かなり魅力的な一台に仕上がっていることは間違いない。ただ、唯一気になるところは若干大きくなってしまったというところだろうか? 都市部の路地裏では気を使いそうな横幅がリアルなシーンではどうなるのかは気がかりだ。

キックスにも待望の4WDが登場!

 だが、日産はソコに対しても答えを出していた。

 かつてのエクストレイルよりも大きいのはちょっと……、というユーザーに対しては、FFモデルしか存在しなかったキックスに対し、今回のマイナーチェンジで4WDを投入してきたのだ。

 フロントモーターが変更となり出力は約5%、最大トルクは約7%向上。最高出力100kW、最大トルク280Nmとなる。一方、リヤには最大出力50kW、最大トルク100Nmのモーターを搭載する。

 センターコンソールが改められ、シフトまわりが近年の日産車と同様になったコクピット、そして内装色を改めたことはなかなか新鮮だ。

 走り始めればなかなかトルクフルに動き出し、キビキビとした身のこなしが感じられる。フル加速をするとエンジンがフワッと吹き上がってしまうところはエクストレイルとは違った感覚で、エンジンの存在をかなり感じるが、静かに走ればもちろんそんなことはない。リヤが蹴り出す感覚はそれほど強くないが、回生ブレーキ時のノーズダイブの少なさは4WDならではの世界観。e-4ORCEに慣れきった身体からすれば、運転手が曲げなければならない従来通りの仕上がりに新鮮味はないが、低ミュー路に行けばしっかりとしたトラクションを生み出してくれるのは間違いないだろう。

 e-Pedal step作動時にブレーキ協調をしていないため、違和感が少ないところは好感触だ。そしてやはり全幅1760mmのサイズ感は扱いやすく手の内に収めやすいことは間違いない。エクストレイルで走った時より車線が広く感じるところも嬉しい。

「エクストレイルじゃ大きすぎるな」という向きにはコチラを、と4WDを準備したあたりはさすがである。新車ラインアップの充実により、全方位でユーザーの使い方に細かく合わせられるようになった今日の日産は、どこか元気を取り戻してきたと感じずにはいられない。エクストレイルとキックス4WDをほぼ同時にリリースするあたりが、その証拠と言っていいだろう。