一時代を作ったハイブリッド車は早くも消える運命!? 生き残るのはバイオ燃料の純エンジン車かEVという流れ

この記事をまとめると

■ハイブリッド車はいまでは「自動車=ハイブリッド」というほどの存在になった

■カーボンニュートラルの観点からは二酸化炭素を排出しないEVにハイブリッド車は劣ってしまう

■ハイブリッドは二酸化炭素排出ゼロに向けた時代への過渡的なシステムといえる

燃費のいいクルマという認識しかなかったハイブリッド車

 ハイブリッドシステムをどう見ているだろうか? 乗り物でいうハイブリッドシステムは、複合動力であることを指し、古くは潜水艦(洋上航行=ディーゼル機関、潜水航行=電気モーター【バッテリー駆動】)がその先例としてよく知られているが、クルマの場合は、一般的に内燃機関と電気モーターによる複合動力を意味している。

 量産ハイブリッド車は、1997年にトヨタが初代プリウスを上梓したのがその第一号となったが、プリウスの登場に際し、当時の市場はハイブリッドシステムの意味を深く追求せず、燃費に優れた新型車が登場したという程度の認識だった。当時は、ガソリン/軽油といった燃料事情は現在ほど逼迫したものではなく、二酸化炭素の排出による地球温暖化に対する深刻度も、それほど差し迫ったもりのではなかった。つまり、ハイブリッドシステムそのものに対する理解度は、それほど高いものではなかったのである。

 しかし、2000年代に入って石油事情や温暖化の問題が深刻化してくると、ハイブリッド車に対する理解が変わってきた。燃費性能に優れたクルマ(=二酸化炭素の排出量が少ないクルマ)という意識が深まったのである。経済的な視点に立つ燃費志向なのか、環境保護視点に立つ低公害性志向なのか、おそらく両者を合わせた認識がもっとも多かったと受け止めてよいと思うが、現在は、自動車と言えばハイブリッド車を指す、世の中の認識となっているようだ。

 ただ、日本がこうした流れにあるなか、ヨーロッパでは環境保全=自動車の二酸化炭素排出ゼロという意識が支配的となり、今後の自動車が進むべき道は、「二酸化炭素を一切排出しないEVにシフトすべき」という方向に舵が切られるようになった。もっとも積極的な言い方としては、「2030年をメドに内燃機関車は作らない、販売しない」という姿勢を打ち出したメーカーがいくつかあったことだ。

 EV対HV。これは決して性能競争の構図ではないのだが、二酸化炭素の排出ゼロに取り組む姿勢に対しては、いっさい二酸化炭素を排出しないEVに軍配が上がるのは当然かもしれない。では、ハイブリッド車が環境保全に適していないかといえば、決してそんなことはない。熱効率向上を目指して開発が続く内燃機関、高効率(モーター&バッテリー)を目指したモーター駆動システムの研究・開発により、従来型の内燃機関車1台が排出する二酸化炭素量の2分の1から3分の1へとその排出量を抑えている。

ハイブリッド車が生き残るためのウルトラCはあるのか?

 では、将来的にハイブリッド車は存続するのか、という疑問だが、世界的な潮流(良識?)に照らし合わせれぱ、非常に難しい問題だと考えられる。なぜなら、化石燃料をエネルギー源とする内燃機関を搭載する限り、いかに排出量を抑えても、機関の運転に必要な燃料を燃やしたぶんだけ二酸化炭素は排出されるからである。これに対し、動力源に化石燃料を使わず、電気エネルギーを使うEVは、走行に際して排出ガスはゼロ、つまり二酸化炭素も排出しない方式である。

 逆の言い方をすれば、化石燃料を使わない内燃機関を動力とする自動車なら、将来的に成立する可能性は十分ある。まだ、サーキットレースだけに限られているが、トヨタが積極的に研究・開発を進める水素燃料車は、動力性能的には現行のガソリン車並のレベルに達し不満はない。どれほどの意味があるのか現状では断言できないが、水素を燃料とする内燃機関を使ったハイブリッドシステムの成立も可能である(水素燃料の内燃機関だけで二酸化炭素の排出がゼロとなるからだ)。

 一方、EVに問題がないわけではない。EVの動力源となるバッテリーに充電する「電気をどうやって発電するか」という問題である。EV自体は二酸化炭素ゼロでも、車両に充電する電気が、「石炭、石油、LNGを燃やして発電されるのでは本末転倒した話ではないか」という問題提起である。実際、発電によって排出される二酸化炭素の量は、自動車が排出する分をはるかに上まわっている。

 もちろん、火力発電所の発電電力すべてがEVの充電に振り向けられるわけではなく、その一部が使われるだけだが、EVの絶対数が増えれば事はさらに深刻化する。また、石炭、石油、LNGを燃焼して作られる電力量が、全体の4分の3を占める日本では、発電方法そのものの見直しが迫られていることも事実である。

 二酸化炭素の排出量は、確実に抑えなくてはいけない。しかし、実際には解決困難な問題が山積している。二酸化炭素の排出を抑える表現として「ゼロカーボン」ではなく「カーボンニュートラル」という言葉が使われている理由もここにある。一方で二酸化炭素を排出する要素があってももう一方で発生を抑えれば、大気内に存在する二酸化炭素は相殺勘定、プラスマイナスゼロなら容認するという考え方である。

 ハイブリッド車は、二酸化炭素排出ゼロに向けた時代への過渡的なシステムと考えるのが妥当だと思う。一方で、自動車による二酸化炭素排出ゼロは、EVがその先頭を走っているが、水素燃料を使う内燃機関の実現化という選択肢も存在し、インフラも含めた社会環境全体の問題として、今後さまざまな発展の可能性が残されている。