最強のコバライネン+シュコダに落とし穴! 超一流レーシングドライバーの「能力」が通用しない高速グラベルの難しさ

この記事をまとめると

■全日本ラリー選手権第7戦「ラリー北海道」をリポート

■ここまで好調だったヘイッキ・コバライネン選手は9位に敗退

■原因は右リヤをヒットし、タイヤをパンクさせてしまったことなど

高速グラベルへの対応力が勝敗の決め手に

 全日本ラリー選手権の第7戦「ラリー北海道」が9月9日〜11日、北海道帯広市を舞台に開催。最高峰のJN1クラスを制したのは、トヨタGAZOOレーシングでGRヤリスを駆る勝田範彦で、レグ1で抜け出すとレグ2ではペースをコントロールし、今季2勝目を獲得した。

 激しい2番手争いを制したのはヌタハラ・ラリーチームでGRヤリスを駆る奴田原文雄で、アライモータースポーツでスバルWRXを駆る新井敏弘が僅差の3位で表彰台を獲得。

 一方、ここまでの6戦で5勝をマークするなどシュコダ・ファビアR5を武器に猛威を発揮していたヘイッキ・コバライネンは9位に敗退した。

最終戦を待たずしてコバライネンのタイトル獲得が決定

 コバライネンの低迷の直接的な原因は「橋に右リヤをヒットしてタイヤをパンクさせてしまった。SSでタイヤ交換をしようとしたけれど、ジャッキアップがうまくできなくてタイムロスをしてしまった」と本人が語るように、レグ1のSS5のハプニングがきっかけであり、その結果として20分のタイムロスを強いられ、レグ1で総合39位/クラス10位と最下位に沈むこととなったが、ペースの上がらなかったもうひとつの原因は高速グラベルへの対応能力にある。

 今季初のグラベル戦となった第6戦のラリー・カムイで勝利を飾っているコバライネンだが、レグ1をフィニッシュした段階で「同じグラベルラリーでもカムイと違って北海道は高速ステージだから自信を持って走れなかった」とコメント。さらに「全日本では先頭スタートだったけれど、先にインターナショナルクラスが走っていたからね。スリッパリーだったけど、それでもラリー・カムイよりは走りやすかった。圧倒的にグラベルラリーの経験が不足している」と語っていた。

 事実、コバライネンがSSウインを獲得したのは、パーマネントコースの陸別オフロードサーキットを舞台にしたSS4のみで、レグ1とレグ2を通して林道SSでは4番手タイムがコバライネンのベストリザルトだった。

 某ドライバーによれば「コバライネンのペースノートでは高速グラベルのラリー北海道は厳しいと思う」と語っていたが、確かにコバライネンのペースノートは、数字でコーナーの大きさを表す通常のスタイルと違って、スロー、ファースト、ミディアムで表現するなど幅のあるペースノートを採用。サーキット経験を生かせるターマックラリーでは、この幅の広いペースノートでもコバライネンは目視を頼りに抜群の反応でカバーしていたが、高速グラベルでは精度の高いペースノートが求められるのだろう。ラリー北海道の経験が豊富な勝田、奴田原、新井らトップ3に引き離されたほか、前述のとおり、SS5ではマシンを破損させることになったのである。

 まさに経験不足ゆえに、コバライネンにとってラリー北海道は悔しいリザルトとなったが、それでも最終戦のラリーハイランドマスターズのポイント係数が発表され、ポイント争いのライバルに逆転のチャンスがないことがわかったことから、最終戦を待たずしてコバライネンのタイトル獲得が決定した。

「最終戦も勝ちに行きたい。安全に速く走れることを学びたい」と語っているだけに、10月14日〜16日に岐阜県高山市を舞台に開催されるラリーハイランドマスターズではコバライネンのアタックに注目したい。