君は誰? 名前は同じなのに国によって違うクルマになる「ZR-V」と「HR-V」と「ヴェゼル」のややこしすぎる関係

この記事をまとめると

■ホンダの新型SUVである「ZR-V」は北米では「HR-V」として販売されている

■北米での「HR-V」はもともと「ヴェゼル」の車名だった

■欧州では「ヴェゼル」が「HR-V」の車名で販売されている

北米ではHR-Vとして販売されているホンダZR-V

 ホンダから新型SUV「ZR-V」が発売間近で、先行予約が始まっている。当初は今秋の発売予定だったZR-Vだが、2023年春発売開始へ延期された。

 その理由として、慢性的な半導体不足や不安定な海外情勢などの複合的要因により、全般的に納車遅れが発生したことがあげられている。まずは、すでに発注しているユーザーを優先したため、というのがホンダの見解だが、それでもZR-Vへの注目度は高まり続けている。

 すでに一部メディアでは、有力モータージャーナリストによるインプレッションも掲載されている。そうしたリポートから、ブランニューモデルのZR-VがCセグメント級のプラットフォームを使ったクロスオーバーSUVであること、日本仕様は2リッター直噴エンジンのスポーツe:HEV(ハイブリッド)や1.5リッターVTECターボエンジンが積まれていること、FFを基本に4WDも用意されることなどが明らかとなっている。

 さて、そんなZR-Vだが、じつは北米では異なる名前で売られていたりする。北米ではZR-Vではなく「HR-V」という名前となっているのだ。

 もともと北米でHR-Vというのは、日本でいうヴェゼルのことだった。しかし、北米のHR-VはBセグメント級のヴェゼルからZR-Vへと成長しているのだった。

HR-Vという名前でまったく違うモデルが販売されている

 話を複雑にしているのは、欧州では日本でいうところのヴェゼルをHR-Vという名前で販売していることだ。グローバルで見ると、HR-Vという同じ名前でまったく違うクルマを売っているのである。

 さらに中国ではヴェゼル・ベースの電気自動車が「e:NS1」、「e:NP1」という名前で売られており、日本でいうところのZR-Vについては、そのままZR-Vとして販売されている。

 というわけで、日本のヴェゼルとZR-Vを基本に欧米中の展開を整理すると次のようになる。

 旧型ヴェゼルは欧米でHR-Vという名前で売られていた名残と、HR-Vのネームバリューが、欧米における同名で異なるモデルを販売するという状況を生んでいるといえる。こうして並べてみると分かりづらいと感じるが、北米ではヴェゼルを売っていないことを考えると、各市場での最適化を考えると、ベストアンサーなのかもしれない。

 ちなみにHR-Vというモデルは、かつて日本でも販売されていたのを覚えているだろうか。

 日本では一代限りで終わったHR-Vの誕生は1998年9月。当初は3ドアボディだけの設定で、トップグレードには125馬力仕様の1.6リッターVTECエンジンを搭載するなどスポーティさも持つニュージャンルのモデルとして誕生した。

 1999年7月にはホイールベースを100mm伸ばした5ドア仕様を誕生させ、それがグローバルでのHR-V人気を高めることになったという経緯がある。それでも2013年12月に初代ヴェゼル(海外名:HR-V)が生まれるまでの間、数年間はHR-Vは生産休止されたモデルとして埋もれていた時期もある。

 こうした背景を考えると、なぜ北米でHR-Vの名前にこだわるのか少々不思議な部分もあるが、それだけ先代HR-V(日本でいうヴェゼル)のインパクトがあって、その名前に高いブランド価値があるとアメリカホンダが判断したということなのだろう。