クルマはズタボロの状態からでもレストアは可能! では事故による「全損」ってどういう状態?

この記事をまとめると

■事故車について「全損」という言葉が使われることがある

■この記事では「全損」の判断基準について解説

■自動車保険で全損扱いとなっても金額が低いことが多い

保険で全損扱いとなっても同程度のクルマは買えないことが多い

 実際になったかどうかは別として、全損という言葉は普通に聞いたり、使ったりする。意味としては、クルマがめちゃくちゃになって、再生不能といったところだろう。ただ、よくよく考えてみると、基準は非常に曖昧だ。まず、予算は別として、車台番号が打ってある部分が残っていればどんなクルマも再生は可能。グサグサで朽ち果てたクルマをレストアして復活させることができるのをみればわかるだろう。もちろん普通に乗っているクルマをグチャグチャの状態から復活させるのは現実的ではなく、そうなると全損の基準が曖昧になってくる。

 現実に即して考えてみると、まずは購入価格との兼ね合い。要は買い直したほうが安いとなれば、実際に廃車となって鉄くずになるので実質的に全損だ。また物理的にはやろうと思えばかなり激しい状態からでも直すのは可能とはいえ、費用を考えると、フロントやリヤまわりが潰れたり、横から突っ込まれて大きく凹めば半分ぐらい形が残っていても半損ではなくて全損だろう。具体的には、ボディ骨格が大きくダメージを受けて、フレーム修正機にかけてもすぐには直らない状態だ。

 ただ、これらは事実上の全損で、よく言われるのは自動車保険を使うとき。自分で車両保険をかけていたり、相手の対物補償を使う場合で、保険料の支払い額を超えてしまったとき、それ以上算定しても無駄になることから、全損扱いでマックスを払いますとなる。理にかなっているというか、効率的な処理とはいえ、問題はその支払い上限額。

 経験した方も多いだろうが、支払い額で揉める。全損扱い=同じ状態、程度のクルマが代わりに買えると被害を受けた側は思いがちなのだが、実際に支払い額が提示されて呆然。保険の補償額の算定は減価償却を元に設定するのが基本なので、代わりに同じクルマを買うことができないような低い価格となってしまう(場合によっては同じクルマを買ってもらうことはある)。また過失割合が適用されても金額は低くなる。

 正確に言えば、「全損」ではなく、「全損扱い」なのでそうなってしまうのだが、回避するには保険会社の指定工場や高くなるディーラーで修理するのではなく、安くやってくれるところを探すしかない。ちなみに車両盗難も全損扱いになって、こちらも金額で揉めたりする。

 現実的には保険的な全損がいわゆる一般に使う全損であり、保険の支払い額が基準になっているということだけは覚えておくといいだろう。全損扱いで保険を支払ってもらうと、所有権は保険会社に移るので、直して乗るということはできない。保険で補填してもらって自費で直したい場合は、修理費として支払ってもらうように交渉する。

 こういった状況を変えることはできないし、実際の被害状況や費用などは二の次というのは残念ではある。