20年に渡る不正発覚の「日野」を除名! トヨタ・いすゞ・スズキ・ダイハツが参画する「CJPT」ってそもそも何?

この記事をまとめると

■認証試験での不正が明らかになった日野自動車は国内向けの生産が全て止まっている

■CJPTはこの事態を重く受け止め、日野自動車をCJPTから除外する処分を決定した

■「商用分野での脱炭素への取り組み」を目的に設立された共同出資会社だ

日野自動車の新たな不正発覚で国内向け生産が停止

 2022年3月に公表された日野自動車の不正問題、当初は2016年以降の不正で、その対象も一部車種という話だったが、結果的に国内向け全車種について不正があり、一時的に国内向けの生産がすべて止まるという非常に大きな問題になった。

 さらに、少なくとも2003年から不正が確認されるという調査結果もあった。不正が長期的かつ常態化していたのは個人の問題ではなく日野の社風というのが第三者による結論だ。商用車における優れた技術を持っているという日野ブランドの価値は下がり、企業としても不信感を高める結果となっている。

 ご存知のように、日野自動車の主要株主はトヨタ自動車(持ち株比率50.1%)の連結対象企業であり、いわゆるトヨタの子会社にあたる。ともすればトヨタがカバーしてくれると思いがちだが、さにあらず。

 実際、8月24日に親会社であるトヨタの豊田章男社長は次のようなコメントを出している。

「今回、日野が起こした認証試験不正は、お客様をはじめすべてのステークホルダーの信頼を大きく損なうものであり、日野の親会社としても、株主としても、極めて残念に思います。長期間に亘りエンジン認証における不正を続けてきた日野は、550万人の仲間として認めていただけない状況にあります。CJPTは日本のCASE技術をベースに、みんなで未来をつくるプロジェクトです。現状では日野がいることで皆様にご迷惑をおかけしてしまうと考え、CJPTから日野を除名することが適当であると判断し、関係各社とも協議のうえ、今回の結論に至りました。パートナーの皆様とは引き続き、輸送業が抱える課題の解決や、カーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指して、プロジェクトを進めてまいります。」

 人間の親子関係でいえば、ある意味で“勘当扱い”のような厳しい態度で接している印象がある。

商用部門の協業で業界をリードするために設立された「CJPT」

 ところで、このコメントに出てくる「CJPT」というのは何だろうか。

 CJPTというのは2021年4月に、いすゞ、日野、トヨタの3社が出資して生まれたCommercial Japan Partnership Technologies株式会社のことだ。その目的は、「CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速し、輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会の実現への貢献」を目指すというものであり、2021年7月にはスズキとダイハツも参画することで、国内輸送全般におけるCASE対応を進めるという体制になっていた。

 あらためて整理すればCASEというのは、コネクティッド・オートノマス・シェアリング・エレクトリックの頭文字をつないだものであり、100年に一度といわれる自動車の大変革期を象徴する言葉である。その要素の中でも、CJPTが重要なテーマとして掲げているのがコネクティッドとエレクトリックといえる。言い換えれば「物流効率化」と「カーボンニュートラル」を個社ではなく業界全体として進めるための組織がCJPTである。

 たとえば、カーボンニュートラルといえばクルマの電動化が必須といえるが、商用車は常に運用していることが収益性の面からも重要であり、充電に時間のかかるBEVとの相性は悪いとされている。そこでCJPTは、ヤマト運輸と共同でカートリッジ式バッテリーの規格化についてのプロジェクトを進めている。商用車限定であってもバッテリー交換ビジネスをデファクトスタンダードにすれば、CJPTに参画している企業で市場を独占できるという部分もあるだろう。カーボンニュートラルという社会課題の解決を進めると同時に、参加する各社が大変革時代を生き残るための組織がCJPTといえる。

 そうした点でいえば、物流効率化というもうひとつテーマのほうが意味深い。長距離・中距離・近距離・短距離とさまざまなフェイズにおける物流を一括管理して効率的に運用するシステムを構築して、参加している企業の車両に共通するコネクティッドシステムによってのみ利用できるようにすれば、実質的に市場を独占することが可能になる。もちろん、諸々の規制との整合性を取るべき要素は多々あるが、商用車という世界において生き残りをかけた施策を進めるのがCJPTといえる。

 その意味ではCJPTから除名された日野は、将来的には日本市場からの退場寸前という見方もできる。もっともトヨタが得ている技術を日野に供与することはあり得るであろうし、今回の除名についても、不正防止の対策が社会的に認められるレベルで実現すれば再加入はあり得えるという見方もできる。いずれにしても不正を二度と起こさないという体制が確立されない限り、日野が自動車の大変革期を生き残ることは難しいだろう。