日本のクルマの「高い安全」にSUBARUが果たした役割は多大! 500万台を突破した「アイサイト」の偉大さとは

この記事をまとめると

■スバルのアイサイトの技術的な優位点を解説

■原点はレガシィ ランカスターの一部に導入されたADA

■現在、アイサイトは他メーカーからも一目置かれている

アイサイトの原点はADA!

 アイサイトの原点は、90年代末に「レガシィ ランカスター」の一部に導入されたアクティブ・ドライビング・アシスト(ADA)である。ふたつのカメラを人間の目のように使う、ステレオカメラという考え方を量産することは技術的には大きな実績だったが、その必要性に対して当時、ユーザーも新車販売店もほとんど意識していなかった。

 当時はまだ、クルマの安全性については、事故が発生したあとの衝突安全が最重要視されており、衝突を事前に回避する予防安全について、日本だけではなくグローバルでも、あまり認識されていなかったのだ。

 ADAが登場したのと同じ頃、中東イスラエルではモービルアイというベンチャー企業が誕生している。こちらは、ひとつのカメラ(単眼カメラ)を使った画像認識技術による、クルマの予防安全を研究開発する企業だ。筆者はイスラエルのエルサレムにある同社の本社を単独取材し、同社幹部から創業時の状況について詳しく聞いている。

 それによると「起業した当時、日系の大手部品メーカーの支援を受けていた」という。だが、その後にその日系部品メーカーが手を引いてしまうなど、日本の自動車産業界は予防安全技術についてしっかりとした将来像が描けていなかったと言えるだろう。

 また、同社幹部がスバルのアイサイト開発の意義深さについても話していたことも記憶している。

各社はスバルの予防安全技術に対して”一目置いている”

 そんな、モービルアイとスバルは2000年代半ば過ぎ、世の中の状況が大きく変わる場面を目の当たりにすることになる。欧州を中心に、予防安全技術が自動車開発のなかで重要視されるようになったのだ。

 量産化に向けても、画像認識技術に必要な性能の半導体のコストが徐々に下がったことも、予防安全技術の普及を後押しした。

 その結果、モービルアイが欧米の大手自動車メーカーや大手部品メーカーに技術提供をするようになる一方で、スバルは日本国内でアイサイト装着車を拡充させていく。

 すると、国内ではトヨタや日産などの販売店からは「アイサイトが優れているから、ウチからスバルにお客が流れている。ウチも早期にアイサイトのような装置が必要だ」という声があがるようになる。

 また、欧州での自動車アセスメントで予防安全技術が評価試験項目に加わることが決まり、それが日本のアセスメントにも採用される見込みとなり、日系各メーカーも予防安全技術の研究開発を急ピッチで進めるようになったという経緯がある。

 実際、筆者は2000年代後半から2010年代前半にかけて、自動車メーカーや自動車部品メーカーで作るさまざまな会合で意見交換した際、「アイサイトが日本の予防安全技術領域を切り開き、つねにリードしてきた」との共通認識があった。

 それから10年以上が経過した現在(2022年)、予防安全技術は自動運転技術という大きな枠組みのなかで語られるようになっている。その上で、日米欧韓中の自動車メーカーや自動車部品メーカーによる予防安全技術のレベルは上がり、ユーザーにとっては各メーカーのシステムの差分を実感することは難しくなってきている。

 それでも、スバルのアイサイトに対する研究開発、さらに量産技術には、これまで他社をリードしてきた知見が十分に活かされており、メーカー各社はスバルの予防安全技術に対して”一目置いている”といった印象を受ける。アイサイトの強みとは、リアルワールドでの人に寄り添ったモノづくりである。