想像以上の活躍と評していい。シカゴ・カブスの鈴木誠也外野手が米メジャーリーグ(MLB)移籍1年目からチームの主力として連日にわたり海の向こう側で話題を独占している。

海の向こうで快進撃を続ける鈴木誠也選手。その魅力とは(USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 広島東洋カープから今オフ、MLB挑戦を表明しポスティングシステムでカブスへ入団。長引いていた労使交渉のもつれによるロックアウトの影響が懸念されたものの、労使交渉の妥結によって解除されるや否や、新天地との契約は無事にまとまった。さらに短期間しかスプリングトレーニングに参加できず調整不足も心配されていたが、ここまでのプレーを見る限り驚くべき速さでMLBにアジャスト(順応)している。

〝最速〟での週間MVP獲得の快進撃

 開幕から9試合連続安打、12試合連続出塁をマークし、いずれも日本選手最長タイを記録した。さらに4月11日からの1週間で計6試合に出場し、3本塁打を含む17打数7安打で打率4割1分2厘、5打点、OPS(出塁率+長打率)1.604と驚異の数値も残した。MLB機構からナ・リーグ週間MVP(4月11〜17日)に選出され、日本選手として新人で4月に受賞したのは2018年のエンゼルス・大谷翔平投手以来の快挙となった。

 昨今のMLBでは「チーム最強打者の打順」とされている「2番」に置かれるようになった4月20日のタンパベイ・レイズ戦以降は当たりが止まっていたものの、同24日のピッツバーグ・パイレーツ戦でメジャー移籍以来初の1試合3安打と初盗塁も決め、21得点を奪ったチームの大勝に大きく貢献。米スポーツ専門局「ESPN」など一部メディアから「初のスランプ突入」を疑う声も出ていたが、そんな指摘をあざ笑うかのような暴れっぷりで全米の度肝を抜いている。

 それでも鈴木という男は相変わらず謙虚だ。24日のパイレーツ戦後は「本当にいい試合ができた」と一瞬だけ安どしながらも、その後は「できれば毎日打ちたいですけど、そうはいかないのが打撃」と自らに言い聞かせるように表情を引き締めた。単に野球人としてだけでなく人間的にも模範となるような、慎み深く向上心あふれる姿勢は広島時代から何ら変わらない。

 前所属の広島でプロ入り後9シーズンで打率3割1分5厘、182本塁打、82盗塁、長打率5割7分のハイアベレージを記録。侍ジャパンでも4番に君臨する日本の天才バットマンにはかなり早い段階からカブスを含むMLBの複数球団が注目し、走攻守のあらゆる能力に秀でた「5ツールプレーヤー」として水面下で激しい争奪戦を繰り広げていた。