毎月のように、新しい子育て本、教育本が書店に並ぶ。教育熱心な親、子育てに悩む親がそれだけ多いということなのだろう。教育に関してはさまざまな考え方があり、どのような考え方を選ぶかは各家庭の裁量だ。ただ、一つの考え方に固執するよりも、他種多様な手段・方法・考え方を知って選択肢を持っておきたい。正解はないが、結果はあるのが子育て。あなたは親としてどう子どもと向き合いたいだろうか。この連載では、教育関連本を出版した著者の方たちにインタビューしていく。

 育児の常識は時代によって変わる。たとえば昔は「抱き癖がつく」という理由で乳幼児の抱っこはなるべく控えるべきという風潮があった。今は愛着形成のために、スキンシップは必要という流れになっている。祖父母世代と子育て世代の価値観の違いを埋めつつ、お互いがより良い協力をしていく方法を探る一冊が『祖父母手帳』(日本文芸社)だ。「子どもが夜早く寝ないと成長に問題が出ますか?」「同時に予防接種すると子どもの体に負担がかかるのでしょうか?」などの、何気ないけれど多くの親が育児中にぶつかる疑問にイラストを交えながら答えている。監修を務めた小児科専門医の森戸やすみさんに話を聞いた。

森戸やすみ(もりと・やすみ)。
1971年東京生まれ埼玉育ち。1996年私立大学医学部を卒業し、医師国家試験に合格。小児科専門医。一般小児科、NICUなどを経て、現在は小児科クリニックに勤務。2000年生まれと2006年生まれの娘たちの母。雑誌やブログ、Twitterを通して主に小児の健康についての啓もう活動を行う。高度先進医療と医療関係者ではない人たちの間をつなぎたい、専門的な学術書と手に取りやすいマンガの中間の方法で育児を支援していきたいと考えている。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、『産婦人科医ママと小児科医ママのらくちん授乳BOOK』、『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(いずれもメタモル出版)、『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)がある。

不安になりやすい母親、なりにくい父親

――産んだら親と言われますが、誰にとっても初めての育児は不安です。

森戸:現代はお父さんもお母さんも、初めて抱っこするのが自分の子ということが多いです。だから祖父母やその年代の経験者から口を出されると、「そういうものかな」と思いやすい。特に若いお母さんは不安に思うことが多い上、周囲の人がいろいろなことを言います。

――気の毒です。

森戸:そうなんですよ。それで私は日々、あんまりだと思っていました。子育てに横から口を出す人の中にはとんでもないことを言う人もいるんです。頭ごなしに「そんなやり方じゃダメ」だとか、「咳を2回もした。これは大丈夫なの? 小児科医に連れていきなさい」とかね。

――実際によく受ける相談はありますか?

森戸:「離乳食を食べない」という相談はよくあります。「母乳をやめれば食べるようになるから、断乳してみれば?」ってアドバイスする人がいるのですが、断乳しても食べてくれる保証はありません。成長する上で必要な栄養が不足しては困りますね。無理に食べさせるのはよくないので、楽しく食べられる工夫をしたり、親が食べているものに興味を持ったらなるべく同じものをあげたりするのがいいんです。「離乳食は月齢が大きくなるまであげないでできるだけ遅くし、母乳や粉ミルクだけのほうがいい」と思っている人も多いので、本書では5〜6カ月に始めるのが適切で、アレルギーを起こす危険性がある物でも現在ではむやみに除去しないということを書いています。

 あとは、子どもに何かあるとお母さんは自分のせいって思ってしまうことが多いんですよね。「風邪を引いたのは寒くさせてしまったから」とか。子どもは1年間に平均6〜7回風邪をひきますからって説明するとホッとしてくれます。