今年に入りスキャンダル続き、ついにはトラヴィス・カラニックCEOの退任という騒ぎにまで発展したライドシェアサービスのウーバーだが、もう一つ大きな問題を抱えている。ドライバーに対するカーレンタルサービスにより自己破産など、経済的に追い詰められるドライバーが増えている、という。

 これはウーバーに限ったことではなく、ライバルであるリフトにも同様の問題がある。ただしリフトにはジェネラル・モーターズ(GM)が出資し、「エキスプレス・ドライバー」と名付けたGM車両の貸し出しサービスが存在する分、問題が表面化しにくい。しかし会社を通して車を借りたドライバーが「レンタル料のために働き続ける」現状は同じだ。

 まずウーバーの場合だが、ドライバーになりたいが、適する車を持っていない人のためにレンタルサービスを開始したのは2015年。提携する複数のディーラーやレンタカー会社から車を借り、毎週その料金がウーバーからの報酬から差し引かれるシステムだ。

 ところがこのレンタル料金、通常のリースと比べて非常に料金が高い。最近米国で問題となったケースでは、ニューヨークでリンカーンMKSを借りた男性のレンタル料は初期費用3000ドルに加え、1週間の料金が495ドル。リース期間は3年のため、総支払額は8万ドルを超える。リンカーンMKSは4万6000ドル程度の車で、通常のリースであれば月々5〜600ドルの支払いが一般的だ。

 このような高い料金となる理由は、保険が含まれ、さらにマイレージ無制限、という特典があるためだ。通常のリースは年間の走行距離が1万2000〜5000マイル程度の制限があるが、ウーバーのような配車サービスではすぐに上限を超えてしまう。このためマイレージ無制限は利用ドライバーにとっては助かるシステムだ。もう一つの大きな理由は、こうした会社を通してのレンタルサービスを申し込む人の大半はクレジット履歴が悪い、あるいは現金がない、などで自分で車を購入したりリースするのが難しい人々である、という点。ディーラーもウーバーという後ろ盾があるからこそ、こうした人々にほぼ無審査で車をリースできる。

 しかしながら問題となったニューヨークの男性の場合、月々の車の支払いだけで2000ドル近くになる。これを支払いさらに生活費を稼ぐためには、「昼も夜もウーバードライバーとして働き続けるしかない」という状況に陥る。もしウーバーによる稼ぎがレンタル料に満たない場合は、男性の元に直接請求が行われ、支払いが滞れば遠隔操作により車のエンジンがかからなくなる。こうなると自己破産に一直線、である。

 リフトにはGM車両を提供するエキスプレス・ドライバーの他、ハーツレンタカーと提携するレンタルサービスもある。しかしこちらも多少は安いとはいえ週のレンタル料は150〜250ドル程度。ただし3年、といった縛りがなく週ごとに更新するレンタルサービスのため、途中解約がたやすい分ウーバーよりはマシ、と言える。

 ウーバーやリフトのドライバーは「個人事業主」という立場だ。会社が提供する健康保険もなければ、401Kのような年金システムもない。両社共に「ドライバーの平均手取りは時給で20ドル以上」と謳っているものの、実際にはガソリン代、車両のメンテナンスなどもドライバー負担になるため、ひどい場合は「自治体政府の定める最低賃金を下回る」収入にしかならない。

 しかしドライバーに対する車両貸し出しはディーラーなどにとっては旨味の多いビジネスでもある。会社が保証するためレンタル料金の取りっぱぐれがない。通常よりもかなり高い価格設定ができる、など。