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 上海のロックダウンは解除されたが、事態の推移の中で中国経済の長期的課題が改めて浮き彫りとなってきた。経済を下押しする「需要の収縮、供給ショック、期待の弱さ」という「3つの要因」には、長期的構造問題が含まれていることが明らかになりつつある。

 第1の「需要の収縮」には、就業人口の減少、老齢化の急進展という人口構造問題が存在している。「一人っ子」ならぬ「二人っ子政策」を導入しながらも出生数が1786万人(2016年)から1200万人(20年)へと減少する一方、老齢人口(65歳以上)比は20年13.5%、21年14%超で国連基準の「高齢社会」に突入した模様だ。また、都市・農村間格差に代表される格差問題の改善は遅々としている。これでは需要は力強さに欠け、「中間層を育成して新しい成長構造を構築する」戦略も画餅に帰する。

 第2の「供給ショック」については、新型コロナウイルスの流行やウクライナ侵攻の発生によって資源、エネルギーの供給ネックが強まっている。06年水準を100とした原油(ドバイ)、銅、小麦の価格の指数は、22年にそれぞれ170、150、250超。「産業のコメ」と言われる半導体も、米中摩擦や新型コロナによる物流停滞、サプライチェーン麻痺で供給が滞っている。これは経済の成長構造を左右する問題だといえる。

 第3の「期待の弱さ」については、経済を牽引する不動産業の不況や、プラットフォーマー企業や教育産業への規制、ゼロコロナ政策が消費動向にマイナスの影響を与えている。特に不動産業の不調は銀行業や財政にも悪影響を及ぼすだけに深刻だ。企業の将来期待を示す全国製造業購買担当者景気指数(PMI)は4月に47.4と近年にない低水準を記録した。

 期待の弱さは、政策の形成・実施の透明性不足からきており、中国共産党に権力を集中する現在のガバナンスのあり方が問われているとも言える。

 5月末、中国国務院(政府)は「経済をしっかり安定させる政策パッケージ」と銘打って6分野33項目にわたる政策措置を公表した。①財政政策、②通貨・金融政策、③投資・消費安定政策、④食糧・エネルギー安定政策、⑤産業チェーン、サプライチェーンの安定政策、⑥基本的民生保護政策、で構成されているが、あくまでそれを実行できるかがポイントとなる。

 国際機関が4月に改定した22年の中国経済の成長率予測は、アジア開発銀行(ADB)5.0%、世界銀行5.0%、国際通貨基金(IMF)4.4%と前回より引き下げられた。予測自体は短期のものだが、それを超えて本稿で記した長期的課題にどう取り組むのかが、中国経済の今後を左右することになろう。

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