6月19日に行われたフランス国民議会(下院)選挙の決選投票では、マクロン大統領の与党連合「アンサンブル」が過半数を大きく下回る敗北を喫した。複数の閣僚や、与党連合出身の国民議会議長までもが落選の憂き目にあった。

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 国民議会の定員は577、したがって過半数は289であるが、「アンサンブル」の獲得議席は選挙前の345から約100減らし245に大きく落ち込んだ。これに対し、5月の大統領選挙でも健闘した極左のメランション率いる左翼連合「環境・社会 新人民連合(NUPES)」が131議席、極右マリーヌ・ルペンの国民連合(RN)が89議席を獲得、躍進した。

 総得票率は、アンサンブル38.6%、NUPES 31.6%、RN 17.3%などとなった。投票率はかなり低く、46.2%だった。

 フランス国民議会の選挙制度は小選挙区2回投票制で、1回目の投票で選挙区の過半数の票を獲得した候補が当選となるが、そうでない場合、獲得票数が12.5%を超えた者が決選投票に進む。また、12.5%を超えるものが1人以下の場合は、上位2人が決選投票に進む。

 1週間前に行われた1回目の投票では、アンサンブルの得票率が25.75%、NUPESが25.66%、RNが18.68%などとなっていた。投票率は過去最低の47.5%と極めて低かった。

 1回目の投票後に行われた各種世論調査では、2回目の投票を経て獲得する議席数はアンサンブルが260〜310程度、NUPESが160〜210程度、RNが15〜30程度などと予測されていた。これを見ると、マクロンの与党連合は予想以上に大きく負け、左翼連合NUPESも躍進はしたが予測されたほどは伸びなかったと言える。そして、予想外の大躍進(議席が約10倍増)となったのが極右のRNである。

 今回の選挙結果は、傲慢なイメージと強権的手法が何かと批判されるマクロンへの極めて強い異議申し立てとなった。そして、低投票率が示す通り、フランス有権者の政治に対する幻滅ぶりは明らかだろう。

 国民間の和解により支持層拡大を狙ったマクロンにとって、低投票率は手痛かったはずだ。マクロン派の候補たちの多くは十分な地方組織を持っていなかったという事情もある。

 左翼連合NUPESが大きく議席を伸ばしたのは、メランションの作戦が奏功したことが大きいと思われる。メランション自身は極左政党「不服従のフランス」を率いているが、共産党、それに、明らかに極左ではない緑の党と社会党を、政策の違いを棚上げして糾合しNUPESを結成することができた。大統領選で見せた勢いをうまく使ったと言える。

 しかし、メランションの公約には、定年退職年齢の62歳から60歳への引き下げ、最低賃金引き上げ、エネルギーの大部分を供給する原子力発電所を段階的に廃止し、欧州連合の規則を曲げて債務と赤字の拡大の容認を目指すなどのやや非現実的な措置が含まれており、更に、反米親露の傾向が強く、北大西洋条約機構(NATO)からの脱退、ベネズエラのチャベス元大統領の礼賛など過激な主張もあった。