米国ではさまざまな分断が問題となってきた。99%運動に代表される所得格差、続いてBLM(ブラック・ライヴズ・マター)に代表される人種間格差、そして今浮上しているのが「保守・革新」間の格差だ。

(Elisa Lara/gettyimages)

 保守・革新の格差が浮き彫りとなったのが、今年6月米最高裁で出された実質的な妊娠中絶禁止容認だ。これにより州が堕胎を禁止する法律を持つことは違憲ではない、という認識が広がり、現在までに26の州で部分的なものも含めた堕胎禁止の法律が存在する。

 堕胎の問題は、しばしば大統領選挙の争点にもなっており、カトリックや保守系キリスト教では基本的に禁止を支持、一方でリベラル派は女性の権利として禁止に強く反発している。最高裁判決が出る以前から堕胎を禁止する法律を持つ州は中西部や南部に存在し、軋轢を呼んでいた。

カリフォルニア州とフロリダ州の対立

 例えば代表的なものとして、フロリダ州が挙げられる。同州内に一大テーマパークを展開するディズニー社は社員が堕胎のために他州に移動する場合の旅費を支給する、など州の方針に反発してきたが、これに対し州側がディズニーにリースしている土地の返還をほのめかす、など火種がくすぶっていた。

 こうしたことも含め、カリフォルニア州とフロリダ州が対決色を強めている。2つの州の知事はそれぞれギャビン・ニューサム氏(カリフォルニア)とロン・デサンティス氏(フロリダ)で、共に次期大統領候補に目されている。

 ニューサム知事は今年7月、フロリダ州内でテレビコマーシャルを放映、その中で「あなた方の共和党のリーダーは本の出版の差し止め、選挙投票をより困難にする、言論の自由の統制を学校の教室で行い、さらに女性や医師を犯罪者として扱っている」と非難した上で、「デサンティス知事と戦おう、カリフォルニアに移住しよう」と住民に呼びかけた。

 この女性や医師を犯罪者、という部分は、フロリダだけではなくミズーリなど中絶を禁止する州で、「州民が州外で堕胎手術を受けた女性や、堕胎手術を行った医師、医療機関などを提訴できる」という法案が可決されたことを意味する。

 ニューサム知事は「国内のすべての女性の健康と生活を守るために出来得る限りのことを行う」というスピーチを行い、こうした他州からの攻撃に「徹底的に抗戦する」とも訴えている。