没入感のあるVR(仮想現実)とセンサー情報から得た生体情報を併せて用いることで、様々な「体験」をデータ化して分析するサービス基盤が登場する。AOI Pro.が開発する「VR Insight」がそれで、第一弾サービスとしてテレビコマーシャルの視聴体験をデータ化して分析する「VR ON AIR TEST」のプロトタイプが公開された。

▼「VR Insight」が提供する価値と適用分野20170731_aoi001

VR Insightは、VRヘッドセットを付けた被験者にVRコンテンツを体験させ、そのときの視線や脳波、心電心拍などの生体情報を取得して、「体験」が与える生体反応をデータとして可視化、分析する機能を備える。VR空間では視聴覚的に外的ノイズを排除してコンテンツを視聴できるため、コンテンツを体験するシミュレーターとして利用が可能になる。そうした状態で生体情報を得ることで、実際の体験をすることなくVRで様々な状況をシミュレートしてその際の生体反応を容易にデータ化できるようにする。

VR Insightを利用した第一弾のプロトタイプとして公開された「VR ON AIR TEST」は、テレビコマーシャルの視聴体験をシミュレートして、科学的な分析をできるようにするサービス。VR ON AIR TESTにはVRによる生体反応取得に加えて、テレビコマーシャルの評価を行う際に必要な機能を用意した。

▼「VR OAT Tablet」は効果的な前後のアンケート実施を支援する20170731_aoi002

評価試験で映像を視聴する前後に行う属性入力やアンケートのための「VR OAT Tablet」は、タブレットを使った平易なアンケートの実施とクラウドによるデータの一元管理を実現する。

テレビコマーシャルの評価用の動画視聴と生体反応取得は「VR OAT PC」の名称で提供する。VR空間では、リビングや寝室などシミュレートした複数の視聴空間を切り替えてテレビコマーシャルを視聴させることができる。取得した生体反応は、VR OAT PCで感情データを抽出してクラウドに送信する。

▼「VR ON AIR TEST」のデモ。「VR OAT PC」の画面にはリアルタイムに被験者の生体情報が表示される。中央はVRで実際に見ている画像で、中央の○に十文字が入ったマークが視線の位置20170731_aoi003

VR OAT Tabletを使ったアンケートの回答と、VR OAT PCで得られた感情データは、クラウドに収集されてレポーティングダッシュボードの「VR OAT Dashboard」でリアルタイムに可視化して表示が可能。感情データをフレーム単位でヒートマップとして表示できるため、どのフレームのどの場所を見たときに被験者が反応しているかといったことを精緻にデータ化できる。今後は、蓄積した感情データを元にして機械学習や深層学習を使った人工知能(AI)のよる分析の導入も検討している。

▼「VR OAT Dashboard」の画面。感情データの分析が容易に行える20170731_aoi004

こうした分析により、テレビコマーシャルを制作するクリエイティブ側ではデータに基づく映像や音声のチューニングが可能になる。また広告主は、放送前に精緻な効果測定が可能になり、効果の高いクリエイティブだけを実際の広告として放送することでマーケティングの成果に結びつけることが可能になるという。

VR ON AIR TESTは、AOI Pro.のほか、コンサルティングなどを手がけるアルティチュード、超高速開発基盤を提供するBlueMeme、VRヘッドセットの「FOVE 0」を提供するFOVE,Inc.、脳波計や心電心拍計を提供するニューロスカイジャパン、VRアプリケーションの開発を手がけるアップフロンティア、圧力や体温を測定するコントローラなどを提供するブライセンの各社と共同で開発した。

VR Insightは、VR ON AIR TESTによるテレビコマーシャルの視聴体験試験だけでなく、商品のコンセプトやデザインの調査、トレーニング、ヘルスケア、工業ラインのシミュレーションなど多くの用途での利用を想定し、今後ソリューションやサービスの提供を目指す。

【報道発表資料】
・VRをビジネス活用するサービスライン「VR Insight」の第一弾サービス「VR ON AIR TEST」のプロトタイプが完成(http://www.aoi-pro.com/news/releases/20170726)