Brexitの争点の一つに移民問題がありましたが、12月に迫った解散総選挙でも、Brexitでの交渉においてEU国籍者のイギリスにおける扱いをどうするのか、また非EUの移民を今後どの程度入れていくのか、といったことが大変重要な争点になっています。

保守党は、以前と同じく移民を制限していくという方針で、EU国籍者に対しても何らかの滞在制限を実施する可能性が高いです。

労働等に関しては、最近発表された大変共産党色の強いマニフェストで、EU市民に対しては これまでと同じく移動と滞在の自由を保障すること、 労働力不足を解消するために、不足する高度技能労働力は非EU圏から無制限に受け入れることを保証するということを述べています。

このマニフェストに対しては驚いている人が多く、既存の支持者の労働党離れを起こしており、現時点では保守党が労働等をリードしているわけです。

しかし興味深いのが、最近の世論調査ではイギリスというのは移民に対して最も寛容な国であるということが判明したことです。

労働党のマニフェストは、移民問題に関してかなり過激なことを書いていますが、有権者が注目しているのは企業の国有化や税金であって、以前に比べると移民問題を争点と考える人はあまり多くはないようです。

アメリカのPew Researchが実施した大規模調査では、イギリスは62%が移民は国を豊かにすると答えており、29%は国の負担になると回答していますが、この数字は調査対象の先進国の中で最も低い数字です。

Around the World, More Say Immigrants Are a Strength Than a Burden(https://www.pewresearch.org/global/2019/03/14/around-the-world-more-say-immigrants-are-a-strength-than-a-burden/)

この調査で大変興味深いのは、同じEU加盟国とはいっても、国によって移民に対する意識が二分されることです。

イギリス、ドイツ、フランス、スペインといった経済的に豊かな国は、移民対する意識は前述のイギリスの結果に似通っていて、50-60%は移民を国に豊かにすると述べています。

移民が国の負担になると答えている人も、イギリスと同じく30%前後です。これは、アメリカや日本も同じくらいです。日本は意外と移民に寛容なのです。

カナダは、移民に対して好印象を持っている人が多く、68%が移民は国を豊かにすると述べています。これは、先進国の中で最も高い数字です。アメリカと隣り合っていても、移民に対する意識はかなり違います。

ところがイタリアは、移民が国を豊かにすると答えた人がたった12%、ギリシャは10%、ハンガリーは5%です。国の負担になると答えたのは同じく54%、74%、73%という驚くべき高さで、イギリスやドイツのほぼ倍以上です。

経済状況が良い国ほど移民が国に良い影響をもたらすと考えており、 ハンガリーを始めギリシャやイタリアなど経済状況が悪い国ほど、移民が国の負担になると考えているわけです。

Brexitに関する報道で大手メディアでは、イギリスではヘイトクライムが増えた、イギリスは外国人に対して不寛容な人が多い、というアジテーションが目立っていますが、このような調査の結果を見ると欧州大陸の南部や東欧の方がはるかに反移民感情が高いということがよくわかります。