昨年末のイギリス総選挙では、保守党が80年代以来最大の勝利となり労働党が大敗しました。

この結果は、テクノロジー業界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

テクノロジー業界にとっては、保守党の勝利は大変ラッキーであったというほかありません。 その最も大きな理由は、保守党はビジネスフレンドリーであるということです。

保守党と異なり労働党の方のマニフェストは、企業の一部の国有化を提唱したり、法人税のアップを提唱するなど、テクノロジー業界にとってかなり不利な条件だらけでしたから、選挙前は労働党が勝利した場合には海外への移転を計画していた起業家もいたほどです。 

ロンドンの郊外には、起業家が集まっている住宅地がいくつかあるのですが、選挙前には住宅価格が下がっているのにも関わらず売りに出ている家が目立ちました。労働党勝利に備えて海外移転の準備をしていたわけです。選挙が終わった途端に売り傾向が落ち着きました。住宅価格が上昇基調ですので、若干待ってから売りに出そうという人が増えているということがわかります。保守党が勝ってホッとしている人が多いのでしょう。

保守党は今回の選挙でも、特に起業を推進するための施策を重視していましたが、それらの少なからずが実施される可能性が高くなりました。イギリスを本拠地とするスタートアップや創業者にとって大変有利です。

まず保守党マニフェストでは、企業のR&D投資に対する税控除を12%から13%に増額するとしています。

イギリスのR&D投資には、中小企業向けと大企業向け2種類が存在しています。そのどちらもが増額されるのかはまだ分かりませんが、どちらにしろ開発を推進したいテクノロジー企業にとっては良いニュースでしょう。

イギリスには他の国同様、企業が自社の特許から得た利益に対して法人税を減額するパテントボックス税制がありますが、これがどのように変化するのかには注目するべきです。保守党がビジネスフレンドリーということを考えますと、何らかの変化が起きる可能性があります。

さらに注目すべきなのが、アントレプレナー特別控除(Entrepreneurs’ Relief ER)です。事業の一部またはすべてを譲渡した場合、譲渡益の20%に課税されていたのが10%となります。この制度がロンドンに多数の起業家が集まってくる理由の一つです。他の欧州大陸だと、創業者にはあまり有利ではないのです。Brexitでもイギリスが欧州のテック業界の中心的存在である理由です。

この控除は起業家にとって大変有利なものですから、イギリス国内だけではなく欧州全土や他の国からの起業家を惹きつけることになるでしょう。

次回の記事でも、保守党の勝利がテクノロジー業界に及ぼすその他の影響を解説します。