テック業界の先行きを見るにあたっては、一体どういう人々がどういう場所で働くのかということも 重要ですね。どういった場所で次のホットな技術が生まれるか、ということを予想するのに大変役に立つからです。

昨年、「2026年までにアメリカのどの州でテック人口が増えるか?」という予測が発表されましたが、大変興味深い結果(https://www.cyberstates.org/pdf/CompTIA_Cyberstates_2019.pdf)になっています。
最も増加が予想されるのはテキサス州オースティンの20%、次いでコロラド州デンバーの15%です。

日本だとあまり注目されない地域ですが、テック人口がオースティンやデンバーにどんどん移動していく、という予測なのです。いまだにシリコンバレー詣でをしている日本人にとっては、大変驚くべきことなのではないでしょうか。

しかし、サンフランシスコも増加が継続で16%増加という予想です。メディア系に強いニューヨークや、サンノゼ、シアトルは10%程度となっています。テック系主要都市はすべて増加が予測されるのですが、人が南部に移動しているのです。

なぜこれが発生しているかというと、やはり不動産の高騰の影響が強いといえます。

シリコンバレー周辺は、不動産価格が恐ろしいスピードで上昇していて、1億円以上払わなければまともな家は買えないといわれています。

不動産だけではなく、子育ての費用や生活費もどんどん増えていますので、いくら高い給料をもらっても、どんどんお金が出ていってしまいます。そういった状況を嫌った人が先に挙げたような地域に移動しているわけです。

いわゆる「普通」の人や若い人が他の地域に移動してしまう、というのはあまり良い状況ではありませんね。コミュニティが消滅しますし、お金はなくてもやる気とアイディアを持った人が集まりにくくなってしまうので、革新的なスタートアップが誕生しにくい状況になってしまいます。シリコンバレーの先行きは、あまり明るくないのかもしれません。

しかしこの状況は、欧州でベルリンやロンドンの東側に、より家賃が安い場所を求めて若くて画期的な考え方を持った人達が集まっているのと大変似ています。

ロンドンの場合は、西側は不動産価格が異様に高いので、東の方にある倉庫を改造したり、治安があまり芳しくないので人気がなかった地域にオフィスを構えるスタートアップやアーティストが多いのです。

しかし最近では、東ロンドンでさえも不動産価格が上がってしまい2DKのマンションの家賃が月30万円くらいしますので、南部の郊外の方にオフィスを構えたり地方に移転する人も少なくありません。