「5Gの特徴として超高速、超低遅延、多数同時接続の三角形が描かれることが多い。しかし、ミリ波を使う5Gでは高精度な位置測定を加えた四角形になるのではないか」。こう語るのは、ノキア ソリューションズ&ネットワークスで最高技術責任者を務める柳橋達也氏。同社が2020年10月に開催したプライベートイベント「Connected Future 2020」でのことだ。

▼ミリ波の5Gによる高精度な位置測定を解説するノキア ソリューションズ&ネットワークス 最高技術責任者の柳橋達也氏

5Gでは、6GHz以下を使うSub-6だけでなく、より高い周波数のミリ波帯を使うmmWaveにより高速広帯域の通信を実現する。柳橋氏は、「ミリ波を使う5Gでは、搬送波の間隔をLTEの15kHzから120kHzに広げることで、送信間隔をLTEの8分の1まで詰めることができる。これにより無線区間の遅延を減らすことができるだけでなく、同時にデータのタイムスタンプの解像度を高められる」と語る。

5Gの低遅延性能は、リアルタイムで制御する必要がある遠隔機器制御や自動運転車などへの効用が多く語られるが、違う視点に立つことで端末の位置を高精度に推定することに応用できるとの指摘である。移動通信端末は、基地局との通信による三角測量法で端末位置を推定できるのだが、この際のタイムスタンプの解像度が高まることで位置の精度を高められる。「最終的にはcm単位の精度で測位が可能になるだろう」(柳橋氏)。

ミリ波を使った5Gの特性として、「高精度な位置測定」の視点を取り込むことで、これまで低遅延性能にばかり目が行きがちだったミリ波5Gのソリューションの幅が広がる。「例えばスマートファクトリーでも、倉庫内を動き回るロボットのAGV(無人搬送車)の位置を正確に測定できるようになれば、できることが格段に増える。デジタルツインを実現するときも物理空間をより正確に仮想空間で表現できるようになり、価値を高めることができる。ミリ波の5Gの高精度な位置測定技術を応用すれば、正確な空間認識につなげることもできるだろう」と柳橋氏は説明する。ミリ波の5Gのユースケースに、「位置」の視点を取り込むことで、これまで想定していなかったような用途が今後見えてくる可能性がある。

▼ノキア ソリューションズ&ネットワークスの新社長ジョン・ランカスターレノックス氏

Connected Future 2020では、フィンランドのノキア CEOのペッカ・ルンドマルク氏が、5G対応のリモート3Dホログラム投影で「日本のSociety 5.0をノキアがパートナーとして支えていきたい」とメッセージを述べた。またノキアの日本事業の責任者に2020年10月1日に就任したジョン・ランカスターレノックス氏は、「4大キャリアに向けたビジネスはもちろん、固定ネットワークやソフトウエア、グローバル・サービスも含め無線の枠を超えた5Gソリューション、そしてエンタープライズ向けのソリューションの3つの柱で日本市場に取り組んでいく」と述べ、ノキアが重要な市場と考えている日本でエンドツーエンドの通信のサービスプロバイダーとして今後も価値を提供していく意気込みを示した。