新しいコミュニティや地域のありかた、そして郊外が持つ力を捉え直すオンライン私塾の第2回の開催が決定しました。開催日は2021年8月27日(金)です。

秀でた建築に贈られる賞を次々と受賞し、郊外の再生について考えてきた野沢正光氏が主宰する当塾の第2回目のテーマは「都市、郊外をスポンジ化させない都市計画」。ゲストには『都市をたたむ』の著者であり東京都立大学東京都市環境学部教授の饗庭伸氏をお迎えします。

当塾は全7回連続で開催しますが、単発でのご参加も可能。トークの後には、両氏に聞いてみたいことを直接ご質問いただいり、参加者にと意見交換のできる交流会を開催します。奮ってご参加ください。

お申し込みはこちら https://peatix.com/event/2173405(https://peatix.com/event/2173405)

主宰・野沢正光氏より すでにスポンジ化の始まった郊外は再編できるのか

人口が減り、住宅着工数が年々減る一方で、空き家が増え続けている。郊外は低密度になっていき、ゆくゆくは荒廃し、さらには消滅するようなところが出てくるかもしれない。第1回目では、ソーラ―タウン府中を題材に、今後の郊外を考えていく上で重要になるであろう、共の育まれる場所としてのコモンについての話をした。ソーラータウン府中での発見は、地役権を利用した設けた園路によって、「負担」とそれによる「利益」が生じていて、それが生き生きとしたコモンを成立させているということだった。第2回はもう少し大きな視点で、今後の郊外をどのように豊かな生活の場に再編・再構築していくのか、都市計画の視点から考えてみたい。

今回ゲストに迎える饗庭伸氏は、多摩ニュータウンの中にある東京都立大学で教授をされていて、いわゆる都市計画から地域に根差した活動・まちづくりまで、幅広く研究・活動をされている方である。多摩ニュータウンと言えば、多くの方が思い浮かべる郊外の代表例といえる場所であり、その中の空き店舗を事務所兼カフェに改装した施設をお借りしてセミナーを行うことになった。今後の郊外のあり方を先取りするリアルな場所からお届けしたい。

饗庭氏の著書『都市をたたむ』では、都市が低密度化していく状態をスポンジ化と説明されている。郊外がじわじわと自然発生的に低密度していく感じをうまく表現していると思う。多摩ニュータウンのような戦後計画されてつくられた郊外とさらにその周縁に広がる経済優先で無秩序に開発された郊外では、そのスポンジ化の進行のし方が違い、その対処の仕方にも差が出るのではないか。まずは都市計画や郊外の歴史を振り返りながらそのあたりをうかがってみたい。意外と郊外とはどこのエリアでどのようにできたか説明ができる人は少ないのではないか。やはり、郊外について語るには都市計画という視点が出発点になると思う。

また、同書の中では、いわゆるこれまで行われてきた都市拡大期の都市計画としての「中心×ゾーニングモデル」とスポンジ化した状況で目指すべき都市計画としての「全体×レイヤーモデル」が対比的に語られている。都市を農業、住宅、商業、工業、自然等の様々なレイヤーが重なったものと捉える視点自体は新しいものではないが、縮小し隙間が空いていくことが必ずしも後ろ向きなことではなく、より良い都市をつくっていくためのチャンスだと捉える姿勢が興味深い。都心に働きに出ていた人がテレワークをするようになり、昼間の郊外の滞在人口が増えている。滞在する人が増えれば、それに応じて様々な活動の場が生まれてくるだろう。多様な活動の受け皿になれる郊外住宅地とは、どのようなレイヤーの重なりの上に成り立ち、スポンジ化で生まれた空隙にどのようなピースを埋めればよいのであろうか。私もかねてより、住むだけの住宅地ではなく、職場や商いの場が混在することが郊外住宅地をより豊かにするために必要だと考えていた。ただ、そのような規模が小さく自然発生的な都市の更新を積み重ねていくだけで都市は、郊外は変わっていけるのだろうか。しかし、権力や経済力を持ったものが主導権を持つ「中心×ゾーニングモデル」が復活するとも思えない。コロナ禍で郊外が働く場所として、生活する場所として着目されることとなったが、アフターコロナの郊外を計画していく主体は一体何なのか。もはや計画するという考え方自体が有効でないのか。戦後の都市拡大期の都市計画を傍らで見てきた私としては、そのあたりが大変気になるし、今後の郊外を考える上で鍵になる部分ではないかと思っている。

私はやはり、その地域に主体的に関わる人びとの集まりとしての「共」が今後の郊外を再編・再構築していく主体になると考えている。それは、責任や負担を伴って主体的に関わるからこそ、より本質的な利益の教授につながるからだ。さらに「共」が拡大・進化すれば、エネルギーを含むインフラを運営するドイツのシュタットベルケのように、地域でお金が回って自立的な運営・経営がされるようになるのかもしれない。それは、生活者が単なる消費者ではなく、自らが暮らす都市により主体的に関わる存在になるということである。今後増えていくであろう既存の社会資本を利用した地域に根差した活動や場を、どのようにしたら地域を運営・経営するという段階につなげていけるのか。少し夢見がちな話なのかもしれないが、そのあたりまで話をできるとうれしい。私たちはどうしても昨日までの社会を前提として未来を考えてしまうところがある。饗庭氏との対話の中で、アフターコロナの郊外の来るべき姿を考えてみたい。

第2回は、単なる都市計画の話としてではなく、次回以降のテーマにも共通する郊外を考える際に基礎となるものと考えている。都市計画や不動産、建築に限らず、郊外を拠点に活動する方々や郊外を仕事場とする工務店の方々にも是非聞いていただきたい。

ゲスト・饗庭伸氏より これからの郊外に必要なのは暮らしを考え、空間を整えること

大都市の郊外において、人口が減ること、空き家が増えることは、それほど悪いことではなく、かつそれがどこかに集中してあらわれるわけではないので、都市の拡大期のようにスラムがあらわれたりすることもありません。そんなことを恐れて切迫した気持ちで都市計画や建築設計をやるのではなく、現在の郊外の空間の構造を読み切り、そこの人々の暮らしや仕事のあるべき姿を考え、それにあわせて空間を整えていくこと、これから考えるべきことはそんなことでしょう。

一口で郊外といっても、細かく見ていくと人口は異なる振る舞いをし、そこでの空間の状態は異なります。ではそれぞれの人々の暮らしや仕事の必要性はどのように読み取れるのか、空間の構造はどのように読み取れるのか、その空間を使ってどのように課題を解決していくことができるのか、郊外住宅地の実態についての調査研究や、ニュータウン再生のワークショップ、空き家の再生といったいくつかの具体の取り組みを素材にしてお話ししたいと思います。

ゲストプロフィール

饗庭 伸(あいば・しん)饗庭 伸(あいば・しん)
1971年 兵庫県生まれ。東京都立大学東京都市環境学部教授。早稲田大学理工学部建築学科卒業。博士(工学)。専門は都市計画・まちづくり。人口減少時代における都市計画やまちづくりの合意形成のあり方について研究すると同時に、まちづくりの合意形成のための技術開発も行っている。主な現場に山形県鶴岡市、東京都国立市谷保、岩手県大船渡市三陸町綾里、東京都日野市程久保などがある。著書に、人口減少時代の都市計画の理論をまとめた『都市をたたむ』(2015年・花伝社)、平成期の都市計画の歴史をまとめた「平成都市計画史」(2021年・花伝社)など。

プログラム(予定)

19:00 野沢氏によるトーク
19:30 饗庭氏によるトーク
20:00 野沢氏、饗庭氏のそれぞれのトークを受けてのディスカッション
20:45 質疑応答
21:00 オンライン交流会
※プログラムの内容・順番・時間などは予告なく変更となる可能性がありますのでご了承ください。

開催スケジュール等

●日 程:2021年8月27日(金曜)19:00〜
●会 場:Zoomを利用したオンラインイベントです。
   お申込みいただいた方には、前日までに参加URLをメールにてお送りします。
●参加料:¥3000(税込)お申し込みはこちら https://peatix.com/event/2173405(https://peatix.com/event/2173405)
※チケットの購入期限は当日8月27日の18:00までとさせていただきます。
●オンライン交流会: Zoomミーティングを使用したオンライン交流会を開催します。
●主 催:WirelessWireNews編集部(スタイル株式会社)