国内でも対応端末やエリアの増加で、画面に「5G」のピクトを見る機会が多くなった人もいるだろう。それでは今後の普及はどのようなものか。エリクソンは年に2回公表しているエリクソンモビリティレポートの最新版(2021年11月版)で、2027年の5Gの加入数を全世界で44億に達すると見込む。これは全モバイル加入の49%と、ほぼ半数に上るという予測だ。

2021年末の5Gの加入は6億6000万に達すると推計しており、従来の予測よりも増加する傾向にあるという。一方で、4GのLTEは2021年第4四半期の47億加入がピークで、今後減少に転じる。2027年には33億加入にまで減少すると予測する。

▼モバイル加入数の予測(エリクソンの資料より)

エリクソンがモビリティレポートを公表して10周年ということで、今回は過去の予測と実際の状況の乖離についても説明があった。エリクソン・ジャパン チーフ・テクノロジー・オフィサーの藤岡雅宣氏は、「2011年に2016年を予測した予測値と2016年の実績値、2015年の2021年を予測した予測値と2021年の推定値を比較すると、だいたい当たっているとは言え、乖離もあった。4G、5Gともに加入者数は予測よりも実績や推定が上回り、普及が進んだことがわかる。トラフィック量も予測を大きく上回る。一方で、モバイル加入者数は予測をやや下回り、モバイルPC/タブレットの加入契約数は予測に比べてあまり伸びなかった」と語る。

5Gの加入契約数が、2015年時点の2021年予測では1.5億だったのに対して、2021年の推定6.6億は大きく上振れしている。これは、サービス開始時点からの加入数が、4Gよりも5Gのほうが早く推移していることからも見て取れる。「10億加入に達するまでの期間は、4Gより5Gが約2年短いと見込んでいる」(藤岡氏)。

▼モバイルトラフィックの推移(エリクソンの資料より)

モバイルトラフィックの観点では、年間増加率がやや低下して、2021年第3四半期には40%程度の伸びになっている。2018年ごろには80%を超える伸びがあったことを考えると、トラフィックの増加は落ち着いてきているようだ。それでも、トラフィックの総量は膨大なものになっていて、「2021年第3四半期のトラフィックだけで、2016年末までのデータ通信総量を超える」と藤岡氏は説明する。将来の予測としては、2027年にはモバイルデータのトラフィックの62%が5Gになるとともに、固定型で利用するFWA(Fixed Wireless Access)のトラフィックが現状の6倍、全体の約2割を占めるようになるという。

特集記事のトピックとしては、持続可能なネットワークの構築について説明があった。エネルギー効率の高いネットワークをどう作るかへの答えだ。「モバイルネットワークのトラフィックはどんどん増えてきて、10年間で300倍近くになった。一方で、基地局を中心としたネットワークのエネルギー消費は10年間で1.6倍に収まっている。スペクトル利用効率の進化によりトラフィック拡大とエネルギー消費の抑制を両立してきた。今後、5Gではいろいろエネルギー消費を削減するイノベーションの導入により、さらにエネルギー効率を高めることができる。エリクソンとしてもいろいろな仕組みを入れてエネルギー消費を抑えている」(藤岡氏)。

▼エネルギー効率の高いネットワークへの変化(エリクソンの資料より)

モビリティレポートの中では、インドネシアのIndosat Ooredooがスリープモードを中心に運用することで4Gネットワークで大きな省エネ効果を実現していることや、Vodafone UKが最新のアンテナと無線ユニットが一体化したAIR (Antenna-Integrated Radio)ソリューションを導入して平均43%のエネルギー消費の削減を達成したことなどを例に挙げている。またDeutsche Telekomが太陽光発電を基地局サイトに導入することで、総エネルギーの11%を賄っている事例も紹介した。